2007.02.14

宮木康夫他著「いちから見直す公共的事業-適切な民営化と不適切な民営化の選別」(ぎょうせい)が、出版されました。宮木さんは元銀行マン、横浜市の第三セクターである新交通シーサイドラインの経営を軌道に乗せた方です。これまでにも、第三セクターについて何冊も本を出しておられます。
この本では、公共事業を含めた社会資本整備について、官、民、第三セクターに加え、NPOによる手法を分析しておられます。

行政の手法の転換

生活者保護に、話を戻しましょう。ある分野で行政を進める際、限られた業者・業界団体を相手にするのと比べ、消費者・生活者一般を相手にするのは、なかなかやっかいなことです。特定少数から、不特定多数になるのですから。
手法も変わります。業界=供給側への補助・指導でなく、生活者=需要側への補助・支援と業界への規制です。業界を集めて指導したり、補助金を出す方が、簡単で早いです。それに比べ、生活者を相手にすると、指導とか補助金という手法は使いにくいです。
多分、業界が活動する際のルールを定め、それに違反したら罰則をかける、業務を停止・是正させる、という方法に変わるのでしょう。また、公費補助が必要だとしても、業界に補助金を出すのでなく、消費者に補助金を出すのでしょう。機関への補助から、利用者への支援(お金や情報)になります。こうすることで、消費者が良い業者を選ぶという、市場原理が働きます。
介護保険を考えて下さい。かつては老人福祉措置として、老人ホームなど入所施設に措置費(公費)を出していました。今は利用者が施設を選び、その利用に対して公費を出します。医療も基本はそうなっています。患者が病院を選び、費用の3割を窓口で払います。残る7割は、あとから保険者が払います。バウチャーといわれるのが、これの典型です。教育の場合は、父兄に切符を渡して、学校を選んでもらえばいいのです。

霞ヶ関に緊張関係を持ち込む

「生活省をつくって、生活者保護を担わせる」と提案しました。この提案に対しては、業界を担当していたこれまでの省(事業省と名付けましょう)の方が知識が豊富なのに対し、生活省はそれだけの知識がないので、対等に戦うのは難しい、との批判があるでしょう。それは承知しています。しかし、対立する使命を担わせるには、組織を分けなければならないと思います。
今、霞ヶ関にあるこのような対立は、経産省対公正取引委員会、経産省対環境省でしょうか。違った角度では、分権推進の総務省対各省、構造改革についての経済財政諮問会議対各省や規制改革会議対各省などがあります。
省として分けるのが望ましいのですが、そこまで分けられないときは、同じ省にあっても、局や課を分けることがよいと思います。たびたび取り上げた医薬品については、厚労省のなかで医政局医薬安全局に分かれています。農水省に消費安全局があり、経済産業省に製品安全課などがあります(最近も、ガス湯沸かし器による事故が問題になっています)。そしてこれからは、消費者保護。生活者保護の政策分野が大きくなるべきなのです。それを担う組織を独立させることで、それがはっきり見えるのです。
生活省と事業省を対立させることについては、「今でも調整が困難な霞ヶ関に、さらに対立を持ち込むのか」との批判が出そうですが、これは必要な緊張関係だと思います。そして、国民の前にその対立を見せるのです。これまで、それを官僚同士で調整しようとしたから、問題解決が遅れたのです。
生活者保護だけでなく、構造改革についても、担当省をはっきりすべきでしょう。今は、経済財政諮問会議(それを助ける内閣府)や規制改革会議(それを助ける内閣府)が担当しています。これらの仕事を担う省を、はっきりと位置づけるのです。

2007.02.11

東京は雪も降らず、暖かな日が続いています。我が家の椿も、次々と花を咲かせています。ご近所の梅も、何本かは満開近くになっています。ミモザも、鮮やかな黄色の花を咲かせました。過ごしやすいのは良いのですが、野菜などの生育や、雪が少ないと夏の水不足が心配ですね。たまった書類の整理と、美術館や本屋への外出で、休日は過ぎてしまいます。

2007.02.10

政と官」の記述が多くなったので、「行政機構」を独立させ、「官僚論」も整理しました。霞ヶ関の問題や省庁再編は、行政機構」に集めました。先日連載したお詫びの仕方とかは、「仕事の仕方」にあります。もっとも、そんなにきれいには整理できません。改めて読むと、何度も同じことを言ってますね。
これだけページが増えると(380ページ)、どこに何があるか、私も分からないです。目次を眺めて、「そうだ、こんなページもある」と思い出します。そのために、表紙の下に検索機能をつけてあるのですが。先日、新聞記者さんから、「岡本さんのホームページの中を検索しても、たくさん出てきて、探しにくいんですよね」と、苦情をもらいました。