カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

「首長たちの戦いに学ぶ 災害緊急対応 100日の知恵」

出版社「ぎょうせい」から「首長たちの戦いに学ぶ災害緊急対応100日の知恵」が出版されました。宣伝には、次のように書かれています。
「7つの大規模災害において、最前線で災害対応にあたった13人の現役首長をはじめ、国や関係団体、民間企業、NPO等による支援など、関係者の経験と知恵を集約!」

能登半島地震、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、平成26年8月豪雨、平成30年7月豪雨、令和4年8月豪雨災害を経験した市長や町長たちです。
大きな自然災害は、毎年日本各地で起きています。しかし、各地域、そして各首長にとっては初めての経験が多いです。不十分な情報、職員も役場も被災しています。その中で急がなければならない決断、重い任務です。

それは、事前に想定していることと違うことも多いのです。他の市町村長、そして役場幹部に役に立つ本だと思います。
そう思って、推薦の言葉を書きました。

男女格差解消には性別役割意識の変革が不可欠

3月20日の日経新聞経済教室は、牧野百恵・ジェトロ・アジア経済研究所主任研究員の「男女格差解消、性別役割意識の変革が不可欠」でした。

・・・日本のフルタイム労働者の男女賃金格差は、ほかの経済協力開発機構(OECD)諸国との比較でも大きい。女性管理職の割合に至っては先進国最低だ・・・
・・・なぜ、女性活躍推進法が意図する女性の社会での活躍がなかなか進まないのか。筆者は家庭内の性別役割分担や、その背景となっている社会規範・思い込みに原因があると考える。家事負担が女性に偏る現状のまま「女性の活躍は進んだか」を議論することにどれほど意味があるのか。
女性の家事労働負担を解消せず、男性と同じように活躍、キャリア推進、管理職登用をと言われても、多くの女性の答えは「そんなの無理」だろう。では女性の家事負担を減らすにはどうしたらよいか。先進国で最低水準の男性が増やすしかない・・・

・・・女性活躍推進法が公表を促す項目の一つに、男性の育児休業取得率もある。育児・介護休業法の改正により23年4月から、常時1001人以上を雇う企業は男性の育児休業取得率の公表が義務化された(なお25年4月からは常時301人以上に対象が拡大する)。
それを受けたのか23年度の男性の育児休業取得率は30%と、前年度の17%から大きく上昇した。しかし中身をみれば期間は短く、取得した男性の4割弱は2週間も取得していない。
また、たとえ男性が育児休業を1年間取得しても、形だけの取得で実際は自分の仕事に専念したため、男性の育児休業制度の導入がかえって女性にとって不利に働いたという米国の実証研究もある・・・

・・・遠回りのようにみえるが、根本的には社会規範が性別役割分担の根底にあることを社会全体が理解し、その意識変革を促すしかない・・・

内閣官房が持つ法律

私が省庁改革本部に勤務した時(1998年~2001年)、国家行政組織を勉強しました。内閣の事務は各省庁が分担すること(分担管理原則)といった原則や、各省庁の内部組織や職員といった実情です。知らないことが多かったですが、知られていないことも多かったです。
その一つが、内閣官房でした。各省庁についてはそれなりに書かれたものがあり、仕事も見えましたが、内閣官房がどのようなものか、また首相官邸がどうなっているのかは、書かれたものはなかったです。

その時知ったことの一つに、原則として内閣官房は実施事務を持たず、各府省に担わせることでした。私が内閣府官房審議官の時に内閣官房審議官の併任を受け、再チャレンジ政策を担当しました。その際も、よく似た名前の辞令を内閣官房と内閣府からもらいました。首相の指示を受け、内閣官房で再チャレンジ政策を考えるのですが、実施事務は内閣府が行いました。なので、内閣官房は作用法を持っていなかったのです。

省庁改革で、総理の法案提出権を明確にしたこともあり、内閣官房が法律を持つケースは増えてきました。内閣官房のホームページを見ると、所管法律が載っていますが、結構な数になっています。
問題は、他の府省と異なり、さまざまな分野の政策を抱えているので、政策体系を作ることができません。この全体像をわかる人はいないでしょう。何らかの対策を打たないと、さらに膨張して、わかりにくくなると思います。

集団移転した地区で見えた課題

NHKウェッブが、東日本大震災で「集団移転した地区で見えた課題は」を特集しています(3月17日掲載)。

・・・集団移転先として整備された住宅地は324地区。集団移転した人たちの暮らしはいまどうなっているのか。私たちは宮城、岩手、福島の地区で大規模なアンケートを実施。174の地区から回答を得ました・・・

良かった点と悪かった点が、整理されています。
近所づきあいや町内会が、安心をもたらしています。これは、行政では提供できないものです。東松島市あおい地区が紹介されていますが、小野会長が中心になって作り上げてきたものです。市役所も、災害前から町内会支援に力を入れていました。
他方で、小規模な集落では、高齢化とその維持が課題になっています。これは、当時から心配していたことです。

・・・「現在、空き家がある」と答えた地区は174地区のうち64地区ありました。一方で、「過去に空き家になったところに被災者以外の人が住んでいる」と答えた地区は37ありました。
宮城県南三陸町では、自然豊かな環境を気に入ったなどとして移住定住センターを利用して移り住んだ人がこの10年近くで140人以上にのぼっています。地区では移住者が将来の地域の担い手になってくれることを期待しています・・・

孤独死する現役世代

2月26日の朝日新聞「孤独死する現役世代:下」から。

独居の高齢者の問題として捉えられてきた孤独死。そのうちおよそ4人に1人は15~64歳の現役世代だったことが、警察庁が昨年初めて公表したデータで明らかになった。自ら将来の孤独死を予測し見守りサービスを利用する就職氷河期世代も増えている。日本福祉大の斉藤雅茂教授(社会福祉学)と東京大社会科学研究所の近藤絢子教授(労働経済学)に背景を聞いた。

「孤立は当事者に有害」共通理解を 日本福祉大・斉藤雅茂教授(社会福祉学)
現役世代が孤独死するリスクは高齢世代よりも高いと考えられます。
ケアマネジャーやヘルパーが身近にいることがある高齢者は見つかりやすいですが、現役世代の多くはそうではありません。例えば2週間ほど連絡が取れない状態になっても、誰からも気づかれない若い人は少なくないと思います。
家が不衛生なわけでも不健康なわけでもないが、近所からは孤立し、福祉サービスにもアクセスしにくい人たちがいます。こうした人たちは網から漏れやすく気づかれにくい傾向にあります。

孤立している当事者側は「受援力」と言って、支援を受ける力、困っているときに困っていると言える力が大事ですが、当事者に努力を求めるだけでは難しいでしょう。
サービスを提供する側が、何度拒否をされてもリスクのある人に会いに行くことが必要です。孤立しにくい社会を考えていくことも大切です。
いま社会には個人主義が広まっていると思います。居心地の良いことがある半面、社会的な孤立は当事者にとって「有害」であるという共通理解を深めていく必要があります。
社会でそうした認識が広がれば、「困っている」「つらい」という当事者がSOSを出しやすくなる。そこに社会が気づければ、助かる命があると思います・・・