カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

仕事が進む職場

5連休も終わり、職場が再開。職員たちが次々と入ってきて、それぞれこれからの課題を処理する方向性を、報告やら相談に来てくれました。中には、どうしようかなと密かに悩んでいた案件もあり、職員が私より先にかつ十分な検討をしてくれていて、驚きました。ありがたいことです。私は、少し注文を付けるだけで、すみました。できる職員を持つ上司は、楽です。朝から、気分が良かったです。

上司の仕事:戦略を立てること

先日、「業務の管理=予定表」を書きました。ようやく、部下=各課の仕事の全体像をつかんだという話です。
さて、予定表を作ることで、自分の仕事の見通しが立ち、部下とも仕事の重要度とスケジュールを共有できます。しかし、上司の仕事としては、ここまでで半分です。ここまでは、管理職としての仕事です。
さらに必要なのは、この予定表に載っていない「戦略」を立てることです。各課長が作った課題と予定表は、課の仕事であって、局の仕事ではありません。課の仕事を積み上げても、局の戦略にはならないのです。
もちろん、各課長が作った予定表に、その局の戦略が書かれておれば、それで良いのですが。通常は、与えられた各課の仕事を前提に、課題と業務が載っています。
課の課題を足し上げても、局の戦略にはなりません。組織の責任者としては(私は、まだ責任者ではありませんが)、その組織の中長期的戦略を立てることが、もう一つの大きな任務なのです。本当は、先に局の戦略があり、それに基づいて課の目標があるのです。
民間企業の場合、社の目標があり、それを達成するために部の目標があります。そして、それに基づいて課の目標があります。当たり前のことです。社の目標を達成するために、その下部組織が作られているのですから。ところが、官公庁や古くなった会社では、組織全体の目標をブレイクダウンして、各課の目標を作っていないのです。所掌事務は決まっていても、課の目標は決められていないのです。目標による管理が、行われていません。
この構図は、課長と係の関係でも、当てはまります。

今週も働きました。明日も働きます

さて、今日は金曜日。今週も、あっという間に過ぎました。困ったものです。前日に秘書が渡してくれる翌日の日程表は、空欄が目立つのですが。これが「大嘘」です(笑い)。
「よし、今日はこの資料を片付けよう」と思っていると、次々と職員が相談に入ってきます。「ちょっと良いですか」と。さらには、上京した被災地の町長や議員さん、記者さんや他省庁の人が、様子を見に来てくれます。よって、自分の時間は取れず。いつも同じことを書いています。今週も進歩無し。原稿執筆や講演の依頼も来ているのですが・・・。明日は、福島県で視察の案内と、講演です。

復興を通じた異業種交流

昨日は、政界の大物たち(復興を支援してくださっている方々)との会合、今日は民間企業で復興を支援してくださる方々の会合でした。名前は書きませんが、皆さんが知っておられる有名人です。いつも書いているように、身内との飲み会より、異業種交流の方が勉強になります。経済の話はもちろん、中国の話や韓国との関係など。なかなか聞けない話もあります。
共通しておっしゃるのは、官民の垣根を越えた協働の重要さ、しかしその難しさ。会社や役所の管理部門を駆け上り、「純粋培養」されたエリート幹部の「できの悪さ」です。いろんな部署や他の組織を経験すること、できれば海外での経験、そして苦労してくることがこれからの幹部に必要だということ。競争のない組織、競争に打って出ない組織が腐敗し、ダメになっていくことです。お詫びの記者会見をした経験談で、盛り上がることもあります(苦笑)。
こんな方々と親しくできるのも、復興というご縁です。皆さん、「全勝さんも、長くなったねえ」「次官を辞めても、死ぬまで復興に関わるのでしょ」と言ってくださいます。貴重な会なので、復興庁の職員たち特に若手を、連れて行くことにしています。霞が関がいかに狭い社会か、そして社会の中で一部分でしかないかを、知ってもらうためです。井の中の蛙を、野原に引き出すのです。

組織の不正隠し

先日書いた「会計帳簿が変える世界の歴史、2」で、正確な会計とその公表が会社や国家にとって必須だと書き、他方で不正が後を絶たないことを書きました。日本を代表する企業である東芝の不適切会計(損失の過少計上など)が問題になっています。6月22日の日経新聞「経営の視点」で、中山淳史編集委員が、次のような指摘をしています。
・・・組織としては何重にもチェックする構造になっている。東芝はカンパニー制を採用し、それぞれ最高財務責任者がいる。その下の工場や事業所にも経理部がある。つまり、事業所経理部→カンパニー経理部→東芝経理部、さらには監査法人、取締役会と何か所も関所があるが、「現場が『見積もりは正しい』と主張すれば、反証は難しい」という・・
・・・だが、不思議な点がいくつかある。東芝だけになぜこうした問題が生じたのかだ。さらには「内部告発」とされる問題表面化の発端だ。東芝には内部通報制度があるが、最初に動いたのは金融庁だった。社内での報告体制に構造的問題はなかったか・・・
また、東洋ゴム工業では、建物の免震ゴム性能の偽装が問題になっています。こちらでは、経営陣が何度も性能不足の報告を受けながら、公表や出荷停止を遅らせていたことが明らかになりました。不正を防ぐはずの品質保証部門もデータを改ざんしていたとこのとです(6月23日、日経新聞)。

部下からの問題点の指摘を吸い上げる仕組み、あるいは組織の問題点を見つける眼、そしてそれを隠さず是正する決断。民間企業に限らず行政組織でも、管理職の大きな責任です。何度もお詫びの会見を経験した私にとって、他人ごとと思えません。