フェイスブックの功罪

4月16日の日経新聞オピニオン欄、ジョン・ギャッパー氏(ファイナンシャルタイムズ)の、「フェイスブック 「つながり」管理に限界」から。詳しくは原文をお読みください。
・・・フェイスブックはすでに、従来おざなりだった個人情報の管理を厳格化した。ところが対処できない問題もある。20億人のユーザーの無数のやり取りの中であらゆるコンテンツがウイルスのように拡散し、人々の感情や行動を左右する可能性があることに対してだ。
フェイスブックはザッカーバーグ氏が創業当初に描いた「愛する人たちとのつながりを維持し、自分の意見を表明し、コミュニティーやビジネスを築く」ようなやり取りを促したいと考えている。
それは賢明なことだろうが、問題の核心からは外れている。というのも、フェイスブックは米社会学者マーク・グラノベッター氏が言うところの「強い紐帯(ちゅうたい)」と「弱い紐帯」を特に区別しないことで急成長したからだ。前者は家族や友人、同僚との親密な関係を指す。後者は遠い知り合いや他グループの人々とのつながりだ。フェイスブックでは全ての「友達」が平等だ・・・

・・・グラノベッター氏が指摘した通り、弱い絆が強い絆より役立つこともある。例えば職探しだ。身近なところで仕事を探すより、幅広い人脈を活用した方がいい。
フェイスブックの95万7000人のユーザーと彼らがつながっている5900万人を分析した調査では「ほとんどのつながりは弱く、人脈も限定的で、やり取りも少な」かった。だからこそ、フェイスブックは「社会的隔たりを超え、幅広い層の人々に情報を伝える強力な手段」となったといえる。ある研究によると、人は気分や行動、そして体重の増減までも弱い絆の相手に影響されるという。
フェイスブック上で家族と遠い知り合いや、強い紐帯と弱い紐帯の境界があいまいになる問題点はまさにここにある。こうしたつながりは思い通りにはならず、良いことも悪いことも増殖していく・・・