カテゴリーアーカイブ:歴史遺産

ホリデーショッピング

2003年12月23日   岡本全勝
本日(12月23日)米国商務省が発表した11月の米個人消費支出は、7兆8958億ドル、前年に比べて0.4%増とのこと。相変わらず米国の個人消費は好調なようです。
11月第4木曜日のサンクス・ギビング・デーの次の日(通称「ブラック・フライデー」)からクリスマスにかけては、米国消費者が最も買い物をする季節。特に日本の正月の初売りにも例えられるブラック・フライデーは、米国では1年で最も小売業の売上げが多い日といわれています。ブラック・フライデーにあわせ、店側は、事前の広告はもちろん、早朝(朝6時等)からの開店、様々な割引(早いもの勝ち、早朝割引等)をオッファーし、消費者もそれに応えます(笑)。
この雰囲気を味わってみようとブラック・フライデーの当日に近くの大型ショッピングモールに出かけてみましたが、その賑わいはものすごいものでした(報道に寄れば、米国小売最大手のウォルマートでは、今年のブラック・フライデー1日の打ち上げが15億2千万ドル、1日の売上げとしてはこれまでの最高を記録したとのこと)。いつもは、簡単に見つかる駐車スペースもなかなか見つからないくらいの混みようでした(通常大型ショッピングモールには何千台分もの駐車スペースが用意されております。)。日本でいえば、正月初売りやバーゲンの初日といったイメージに近いでしょうか。
それ以来、ほぼ毎週末に近くのショッピングモールをのぞきに行っているのですが、大きな買い物袋を持って歩き回る人の数に変化はないようです。購入しているのは主にクリスマスプレゼントとクリスマス関連商品(ツリー、オーナメント等)でしょうか。米国人のクリスマスにかける意気込みは本当に凄まじいものがあります。
ちなみに、ワシントンDCエリアにもティファニーなどの高級店が存在しており、12月21日(日)にリサーチのために訪れてみたところ、それはそれは大変な混みようで、ラッピングに並ぶ人の数は20人を下らないという状況でした。どこも同じですね。
それでは、我が家はこのホリデーショッピングシーズンに何を買ったかと言えば、特別なものは何も買っていません。なぜなら、クリスマス後にはもっと安くなることを知っているからです。もちろん、既に"いいもの"は売れてしまって残り物しかないかもしれませんが、残り物の中にある「福」を探す旅に出たいと考えています。ただし、このような考えが日本経済をいつまでも停滞させる原因なのかもしれません。  
(陰の声:美人の奥さんにティファニイでペンダントを買ってあげれば)

三位一体改革その3

2003年12月22日   岡本全勝
2003年12月
一般財源化と地方の自由度
三位一体改革が、進みつつあります。今回の補助金廃止削減には、いくつかのものが含まれています。それを解説しましょう。

まず、地方の仕事がなくなるものと、地方に仕事が残り補助金がなくなる代わりに、一般財源で賄うことになるものがあります。後者(一般財源化)の場合は、国に対して補助金の申請をしなくてよくなり、結果についての国による検査もなくなります。その財源は、地方税か地方交付税あるいは一般財源としての交付金となるので、国の指図無しに自由に使うことができます。

しかし、その事務の仕方が地方団体の自由になるかは、別のことです。義務教育職員給与費の国庫負担金がなくなり、地方税に振り替えられても、教職員を設置する基準を定めた法律がある限りは、地方の仕事の自由度は高まりません。
「地方団体の自由度」には、二つの軸があります。
①お金の自由度(縛り)軸
 A:国庫補助負担金で国の縛りがある
 B:一般財源で地方が自由に使える
②仕事の自由度(縛り)軸
 a:国による法令の縛りがある
 b:法令の縛りがなく、地方が自由に仕事ができる
もっとも、aからbには、いろんな段階があります。
ⅰ:事務の実施が義務付けられている(戸籍の受付)
ⅱ:やり方が決められている(道路の幅の基準)
ⅲ:仕事量も決められている、あるいは仕事量が自由にならない(義務教職員の配置)です。
ここでは、簡単にⅲをaとしておきます。

①を縦軸と②を横軸の表にして、4区分にするとわかりやすいのですが、うまくHPに書けないのですみません。
Aa(左上)の例:義務教職員、生活保護
Ab(右上)の例:道路建設(補助事業)、
Ba(左下)の例:高等学校職員、警察官
Bb(右下)の例:独自の福祉、単独の公共事業

すると、左上のAaから右下のBbに持っていくと、地方の自由度がもっとも高まるのです。義務教育費国庫負担金をなくしても、それだけでは①軸でAaからBaになるだけです。②軸の方は変化ありません。(拙著p133)(12月14日)

三位一体改革:初年度の成果
12月18日に平成16年度地方財政対策が決まり、三位一体改革の概要も決まりました。→16年度地方財政対策の概要

三位一体改革評価:始めの一歩
新聞などで、来年度予算での三位一体改革の評価が出始めています。私は、次のように考えています。

「一般財源化の金額が少ない」「税源移譲になっていない」という批判について。その批判は一部当たっています。
(1)今年度国庫補助金削減は1兆円を達成しましたが、その内訳は
①一般財源化:0.2兆円
②暫定的一般財源化:0.2兆円
③公共事業等の削減(事業量の減):0.5兆円
です。確かに本格的一般財源化は0.2兆円でしかありません。
(2)一般財源化等は0.6兆円ありますが、その内訳は
④所得譲与税化:0.4兆円(上記①と前年度に交付金化したものの合計)
⑤税源移譲予定交付金化(暫定):0.2兆円
です。これらは一般財源ですが、確かに地方税になったものはありません。さらに、地方の自由度が高まったかについては、上に書きました。

今年度は「始めの一歩」なのです。
政府の方針は「今後3年間で補助金4兆円削減、基幹税で税源移譲」です。まずは1年目の課題を果たした、と言っていいでしょう。これが3年間続き、そして地方税に本格的に税源移譲されれば、公約達成です。
「一年目が十分でない」という批判はあるでしょうが、進んだことを評価してほしいと思います。これまで永年、関係者が叫びつつも、ちっとも進まなかったことが進んだのです。
批判よりも、来年再来年を「厳しい目で監視」してください。批判だけでは何も生まれません。それよりも、今回の成果を後2年間で立派なものにするように努力すること(させること)の方が大切だと思いませんか。

今回の成果を「だめだ」といえば、喜ぶのは税源移譲反対派です。「だから、これ以上の税源移譲は止めよう」と言い出します。一月ほど前には、「税源移譲をすると、地方団体間の財政格差が拡がる」という当たり前のことを、さも大事件かのように1面で書いた新聞もありました。
マスコミの方にお願いです。皆さんは、税源移譲を推進したいのですか、それともその動きを壊したいのですか?厳しい批判でいいですから、将来の成果につながるような批判をして、応援してください。(12月20日)
【三位一体改革評価:誰が勝ったか負けたか】
今回の三位一体の経緯と成果について、「誰々が勝った、誰々が負けた」といった新聞の解説記事があります。そのような記事に、惑わされてはいけません。そのような記事が出るのは、勝った方がそれをカモフラージュするために、「私の方が負けたんです」と流す「陽動作戦」です。
今回は、「これまで続いた中央集権をお金の面で変えよう」という、政府の方針を実行したものです。それを、「勝った負けた」という次元に落とし込むこと自体が、変ですよね。もしそのような次元で見るなら、次のように見ることができるでしょう。

勝った人は総理です。負けた人がいるなら、その総理の方針に楯突こうとしたか、サボタージュをしようとした人でしょう。それは、3回の局面で出てきました。
①11月18日に総理が、諮問会議の場で「16年度予算で国庫補助金1兆円削減、税源移譲」と指示したこと。
もしそこであわてた人がいたら、?ですね。閣議で6月に「3年間で4兆円」と決めました。誰だって、それなら1年目は、その3分の1と考えますよね。
②12月10日に、「生活保護費負担金の率を削減する案」を官邸が拒否した(という報道がある)こと。
補助率削減は改革の趣旨に反すると、官邸(総理)が明確に指示されたのです。補助率削減では、地方の自由度は増えないからです。12月1日に官邸で開かれた全国知事会議で、各県知事が総理に「それは止めるべき」と意見を述べました。
③12月15日頃に、ほぼ、たばこ税でと決まりかけていた(政府税調案)税源移譲が、自民党と総理との連絡で所得税(譲与税)でと、変更になったこと。
これも、たばこ税では総理の公約に合わないことが、決め手になったと思われます。

こう見ると、「負けた負けた」という発言があること自体が、変ですよね。ということは、そのような発言をするのは、勝ったことを隠すためでしょう。あるいは、「勝った人」を作り上げて、それをたたくためでしょう。だんだん読めてきますよね。それにしても、なぜ記者は、そんな作戦に引っかかったり、そのような話のお先棒を担ぐのですかね。(12月22日)

地方財政の仕組み・ミクロ

2003年12月6日   岡本全勝
小規模過疎県の方が、1人あたり一般財源(経費)が大きくなることについて。

朝日新聞平成15年12月6日の記事「置き去りの改革・下」の補足です。図表で、県民1人あたり一般財源収入額の比較が示されています。財政力の強い(税収が多い)県の方(図表では上)が、一般財源が大きくなっているのは、簡単には次のような理由です。
①上の県の方が人口規模が大きく、規模の経済が働いて、県民1人あたりでは「安上がりになる」こと。人口1千万人を超える東京都も、人口80万人に満たない島根県でも、知事は1人です。
②道路・港湾・農業などの経費は、人口に比例せず、面積などに左右されること。それを人口1人あたりで比較すると、過疎の県ほど割高になります。
③政令市を抱えている県は、仕事の多く(道路の管理や保健所など)が政令市に移管されていて、県の仕事が少なくなっていること。神奈川県では、横浜・川崎と2つも政令市があり、それだけ県の仕事が少ないのです。(12月6日。続く)
(地方団体の財政状況が一目で)
昨日から、全地方団体の主要な財政指標が、類似団体と簡単に比較できるようになりました。総務省が作った様式で全団体が作成し、インターネットでリンクされました。「財政比較分析表」のページから、全国の市町村を見ることができます。あなたの住んでいる市町村がどの位置にあるか、クリックしてみてください。数字の見方も解説されています。
全地方団体「財政比較分析表」の特徴
1 類似団体や県内市町村との比較が一目で
「財政比較分析表」は、団体間で比較可能な財政情報を開示するものです。その市町村の主要な財政指標が、類似団体と比較してどのような位置付けにあるかを図示します。これまでも、これらの数字は公表されていましたが、それだけでは、住民が見ても良いか悪いかすぐには分かりません。そこで、類似の団体との比較をするとともに、それを見やすくすることにしたのです。
2 主要指標の他団体比較とレーダーチャート
(1)まず、地方団体の主な財政指標として、「財政力指数」など6つの指標をとりあげました(画面の左右に6つ並んでいます)。そして、人口・産業構造の似通った類似団体の最大値・平均値・最小値と、その団体の数値をグラフに図示しました。あわせて、全国市町村と県内市町村の平均値も明示することで、比較しやすいようにしたのです。
この6つのグラフは、それぞれ上の方が良好になっています。その団体の数値は赤丸で示してあるので、それが下にあるほど他団体に比べ悪い状態にあることになります。
(2)これを指数化して、真ん中のレーダーチャートに図示してあります。この図では、各財政指標が良好なほどレーダーチャートの六角形が大きくなり、類似団体との比較がひと目でわかる仕組みになっています。
3 自己分析欄
分析表のもう一つの特徴は、「団体による自己分析欄」を設けたことです。ここには、各団体が財政指標の「良し悪し」についてその理由を自己分析し、説明したうえで、指標の改善に向けた具体的な取組を記述するようにしてあります。
4 全国リンク
全団体がこの分析表を公開し、それを総務省のHPでリンクさせました。これで、住民にとって自分の住んでいる団体の財政状況が、簡単に把握でき、また評価できるようになりました。
わかりやすい財政分析表の見方を、長谷川君が作ってくれました。次のページに貼り付けてあります。
(この解説は、長谷川 淳二君の協力を得ました。2006年4月1日)
早速、「「財政比較分析表」の見方 が開けない」との声がありました。だめなときは、一度あなたのパソコンに(デスクトップにでも)保存してください。この部分を右クリックして、「対象をファイルに保存」をクリックしてください。そして保存したファイルを開いてみてください。このHPの読者は、私同様デジタルディバイドな人が多いので・・。
実は、このpdfファイルの貼り付けも自分ではできず、お師匠さんの玉岡雅之神戸大学助教授の手取り足取りでできました。ありがとうございます。(4月3日)

三位一体改革その2

2003年12月4日   岡本全勝
2003年11月~12月
2003年11月18日の諮問会議から、三位一体改革が再び動きはじめました。民間委員の発言を受けて、総理から「16年度予算で1兆円の補助金削減・縮減や税源の移譲を目指す」との強い指示がありました。
私の見方】(「新地方自治入門補足と追加」のページと重複)
私は、2003年11月9日に行われた衆議院選挙は、後世「マニフェスト選挙」と呼ばれるものになると考えています。それは、「今回、有権者がマニフェストによって投票したか」ということではありません。
私が今回の選挙を「マニフェスト選挙」というのは、今回のマニフェスト、特に与党のものが今後の政治を「縛り」、そのことが日本の政治を変えると考えているからです。
躍進はしましたが負けた民主党は、マニフェストを実行する必要はありません(できません)。しかし、勝った与党は、約束を実行しなければなりません。そして、野党は、与党の実績を追求します。
その中でも注目されるのは、「三位一体」です。これは、他のマニフェストと違い、時期と量が明示されています。しかも、「3年間で4兆円」というと、多くの人は初年度にある程度の成果を期待するでしょう。そして、このマニフェストは次回の総選挙はもちろん、来年7月に行われる参議院選挙が「中間試験」になると考えられます。それを考えれば、16年度予算ではなんらかの結論を出さなければならない、と関係者は考えると思います。
交付税改革
11月28日の経済財政諮問会議に、麻生大臣が三位一体改革の中で、「交付税改革」を発表しました。その骨子は、
①総額の削減加速
②算定方法の大幅簡素化
③地方団体の不安解消です。

このうち②は、
ⅰ県分の補正係数を半減
ⅱ県分公共事業の事業費補正(災害等を除く)を原則廃止
ⅲ市町村分の段階補正を引き続き合理化
ⅳアウトソーシングによって単位費用を引き下げ、です。
来年度から、順次実行することになります。

補助率カット
今回の補助金削減で、補助率を引き下げると回答した省があるそうです。私は、順次補助率を引き下げ、3年後に補助率0%(一般財源化)にする第一歩なら、良いと思います。でも、それが生活保護費なら、いかがでしょうか。生保は、中央政府が責任を持つ仕事の代表だと思います。なぜ、厚生省は、真っ先に生活保護を「放棄」するのでしょうか。
また、他の補助金については、「国が責任を持たなければならないので、補助金堅持」という主張もあります。それなら、なぜ補助率2分の1で堅持するのですか。それほど重要なら、10分の10国が持てばいいのです。国の責任といいながら、半分しか金を出さないから、交付税が必要になるのです。

教育の水準論
「教育の水準を確保しなければならない」という意見について。
今、父兄が教育に期待している水準は、何でしょうか?それは、先生の給料の水準でしょうか。私は違うと思います。私が、子供が通っている学校に期待する水準は、教育内容の水準です。それは、いじめがないことや学級崩壊がないこと、必要な知識や生き方を教えてくれることです。
しかも、今回の一般財源化は、教員の数を減らしたり、給与を減らすことを目的とはしていません。先生の給与の財源を、県2分の1から、2分の2にしようとしているのです。
今、教育に求められている喫緊の課題は、「教育の内容の水準の確保」でしょう。それを、「先生の給与の財源を誰が持つか(金額は変えずに)」という問題に「矮小化」しているとしたら、それは「行政と政治の罪」と後世批判されると思います。あなたは、どう思いますか?(11月28日)
朝日新聞一面
12月4日の朝日新聞第1面に、私の発言が載りました。
「破綻の聖域 地方交付税」という表題で、「『地方交付税制度は破綻状態に近く、今のままでは制度として維持できない。官僚だけでは処理できなくなっている』総務省の岡本全勝・交付税課長が地方自治体職員ら約140人を前に、制度の窮状を明らかにした。東京・新宿で11月11日に開かれた地方自治講演会。交付税の責任者が吐露した本音に、参加者は驚いた。」という書き出しです。
その補足と「訂正」です(朝日新聞のHPは有料なので、リンクは張れません)。

「交付税制度は破綻状態に近く・・」 という記述について。
正確には「交付税制度は、制度としては機能的な制度です。しかし、現在は財源が大幅に不足して、持続が難しいのです。そして、その財源は税であり、その総量を官僚は決めることができません」ということです。
新聞記事だと、「交付税制度が破綻」と読めます。担当課長としては、「もし破綻になるような制度だったら、それを改革する」のが務めです。私は、それを放置するような無責任な官僚には、なりたくありません。
記者も私の志を理解して、わざわざ私の名前を出してくださったのだと思います。でも、この文章では誤解されそうなので、この点は朝日新聞に「抗議」します。

「交付税の見直しは手つかずのままだ」という記述について。
この点は、大きな事実誤認です。例えば経済財政諮問会議「骨太の方針2001」で述べられたことを、もっともよく実行したのは交付税です。総額の削減は国の歳出削減率よりはるかに大きく、段階補正・事業費補正の削減も「忠実に」実行しました。その他の提言と、検証してみてください。この点も、抗議します。

これまでのこの種の新聞報道に比べると、今回の記事は「正確かつバランスが良い」と思います。その点では、辻記者と宮崎記者にお礼を述べたいと思います。しかし、正確を期すために、この二点を述べておきます。(12月4日)

東大授業へのゲスト

2003年11月28日   岡本全勝

昨日は、ゲストとして、NHK政治部の土井デスクに来ていただき、ジャーナリズムから見た「政治と行政」、特に今回の総選挙について、画面では聞けないお話を聞きました。学生には大好評で、場所を移した後も、徹底討論になりました。土井副部長ありがとうございました。