カテゴリー別アーカイブ: 図書紹介

地方行財政-図書紹介

2007.09.16

16日の日経新聞読書欄で、北村亘准教授が、西尾勝著「地方分権改革」(東大出版会、2007年)の書評を書いておられます。
・・本書の行間からは、地方分権への情熱、現実の政治への失望、素歌詞、さらなる改革のための政治への期待などの著者の心の揺れが垣間見える・・当事者として政策実現にかかわった著者の興奮が伝わってくる・・
詳しくは、原文をお読みください。

小西先生の本

9日の日経新聞読書欄で、金井利之東大教授が、小西砂千夫関西学院大学教授の「地方税制改革の政治経済学(2007年、有斐閣)の書評を書いておられます。
・・地方財政制度およびその改革に関する書籍は数多いが、久々に、学問的に読み応えのある労作が刊行された・・
・・著者のメッセージは明確である。地方財政制度は市場主義では構築できず、一国の内政安定という統治や、地域間・自治体間での相互扶助という視点が不可欠である。慎重に検討すれば、分権改革と格差是正、あるいは、自治と統治の両立しうる「狭き門」は存在する。必要な仕事に必要な財源を担保することが財政の基本であり、地方財政計画の収支ギャップの解消が必要である。そのために、地方税の標準税率の引き上げをして「小さな地方政府」という呪縛から脱却することを著者は提言する・・
この本については、7月にここでも紹介しました。金井先生が読まれると、どのような書評になるか、詳しくは新聞の原文をお読みください。もちろん本も。

2007.07.25

西尾勝先生が、「地方分権改革」(東大出版会)を出版されました。「はじめに-研究と提言」を読むと、先生の行政学研究の集大成の意味を持っているようです。その意味は本をお読みください。もちろん、「行政学」(有斐閣)などの名著もありますが。
第一次分権改革から、現在、さらには今後の方向を、書いておられます。地方分権推進委員会と地方制度調査会の審議に、参画した体験を基に書かれています。部外の研究者の考察でないと、断っておられます。分権改革は、政治改革ですから、この意味は大きいと思います。
拙著「地方財政改革論議」と拙稿「進む三位一体改革ーその評価と課題」を、参考文献に挙げていただきました。拙い論考をお読みいただき、恐縮です。

小西先生の新著

小西砂千夫関西学院大学教授が、「地方税制改革の政治経済学ー相互扶助の精神を生かした制度設計」(有斐閣)を、出版されました。三位一体改革から道州制・地方債改革・破たん法制まで、現在の地方財政改革が取り上げられています。
その際の視点は、次のようなものです(序章p1~11)。
・地方財政には、2つの観点がある。すなわち、自治体での財政運営論と、国家での地方財政制度構築論である。前者については、各自治体で競争が始まっている。しかし後者については、ノウハウが少数の関係者にのみ共有されており、また全体像を見渡した改革は、なされていない。
・小泉改革は、市場主義的地方財政制度を目指すものであった。筆者は、それに与することはできない。
・日本の農政を批判する言葉に、「農家は保護したが、農業は育てなかった」というものがある。地方財政・地方自治についても、同じことが言えるのではないか。総務省は、地方にとっての利益代表と、規制者の両者を使い分けて省益を守ってきた。早く方向転換すべきであった。

鋭い指摘です。詳しくは、本をお読みください。昨日、私の仕事場まで、ご本を届けてくださいました。「全勝のHPで、宣伝せよ」とのご指示なので、ここで紹介します(笑い)。