カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

自治体を経営する

11日の日本経済新聞1面連載「平成の開国」第4部3は、「国を飛び越える-架け橋、自治体から」を載せていました。三位一体改革で地方に権限が移ること、そして首長が「自治体を経営する」という発想に立てば、国の指示を待たずに地方から経済外交が進み、地域での外国人教育も変わるという実例と主張です。
拙著「新地方自治入門」第6章では、自治体が取り組むべき課題は、これまでのように国から降りてくるのではなく、地域から起こることを述べました。
ところで、そこでは、地域社会の機能を説明するために、スウェーデンの中学教科書を紹介しました(p175)。「あなた自身の社会」です。先日、皇太子様が詩を引用されたのは、この本です。
読売新聞1面の連載「家族第2部成熟社会のきずな」は、10日が第6回でした。そこでは、国民の意識が『ものの豊かさ』 から『心の豊かさ』に重心を移していることを述べています。これについては、拙著p158で述べてあります。

政治と経済

佐々木毅東大学長が、日本経済新聞「やさしい経済学」に「市場と国家と政治」を連載しておられます。(3月21日)

(幸せ)
朝日新聞で、3日から連載「幸せ大国をめざしてー未来を選ぶ」が始まりました。第1回は、「時代遅れの成長志向、豊かさ映さぬGDP」です。(拙著「新地方自治入門」p161~、p328~参照)。
同じく3日付で「選択のときー年収の4割負担できますか」を解説していました。年金負担や税負担が上がることです。また、経済同友会も歳出削減の上、消費税の増税を提言しました。前にも書きましたが、よく時代劇にでてくる「お上が増税して庶民が泣く」といった絵ではなく、「国民が増税を提言して、政府が先送りする」という不思議な構図になっています。(4月3日、4日)

10日の朝日新聞は、連載「幸せ大国をめざしてー未来を選ぶ」の第2回「消費は美徳か、モノよりゆとり6割」を、「選択のとき」は「消費税20%耐えられますか」を載せていました。

日本の魅力力

浜野保樹著「模倣される日本-映画、アニメから料理、ファッションまで」(祥伝社新書2005年3月)が面白いです。かつては中国、近いところではヨーロッパやアメリカを模倣し続けた日本が、いろんな分野で模倣される対象となったことを解説しています。
日本のアニメが世界を席巻していること、フランスで一番有名な日本人は鳥山明(漫画ドラゴンボールの作者)であること、すしが欧米で珍しくなくなったこと、台湾での「ハーリー族」などが紹介されています。「デザイナーの成功は、市場に出回っている海賊版の数によって測られてもいる」には、なるほどと思います。
日本が世界の生活文化に貢献したのは3つ=インスタントラーメン、カラオケ、テレビゲームだけだ、と聞いたことがあります。
GDPならぬ「グロス・ナショナル・クール」=国のかっこよさ度は、ソフトパワー(拙著「新地方自治入門」p264参照)です。パリを芸術の都としてあこがれること、アメリカ流の生活をあこがれること。これらに対し、日本はどのような「文化戦略」を講じるべきでしょうか。
「官僚は着物を着て出勤しないのか」とか「首相がなぜ外国メーカーのマークの付いた帽子をかぶってゴルフをするのか」も、考えさせられます。

政治ができること

(開発の終了)
23日の朝日新聞で、「全国総合開発計画廃止へ。開発行政の終幕」が解説されていました。
「新地方自治入門」でも述べましたが、戦後日本の国是は「豊かになること」でした。その方法が「成長と開発」だったのです。「豊かさ」とは、経済的なものに偏重していました。人的な「貧しさ」には成長を、面的な「遅れ」には開発を、だったのです。後者のスローガンが、「地域格差の是正」「均衡ある国土の発展」でした。
(国による号令)
全総に代わる、新しい国土計画は見えていません。国の号令の下、全国で何かを作るという手法そのものが、時代遅れなのでしょう。
(政治にできること)
日本の問題は、開発に失敗したことではありません。これに大成功したことで、他の「豊かさ」を切り捨てたことと、その転換に遅れていることです。
開発を重視したことで、道路や文化会館は立派になりましたが、街並みは見にくくなりました。道路やハコモノは、お金があれば作ることができます。しかし、街並みは、政治の力では作ることは難しいです。私が関係資本や文化資本として指摘した、人間関係や共同体意識も、行政では作りにくいものです。政治や行政の「無力さ」を感じます。
もっとも、「霞が関・永田町」では、みなさんそんなことには無関心で、「カネとモノの政治」に浸かっておられるようです。

霞が関

日本経済新聞が、10日から「再編5年目・診断霞が関」の連載を始めました。初回は「経済産業省・惑う司令塔」です。省庁改革から、もう4年経つのですね、早いものです。当時は、「5年経ったら見直して、もう一度再編するべきじゃないか」と考えていました。5年で再々編は短すぎるとしても、次なる再編のために、評価することは大事なことです。連載に期待します。