9月28日の朝日新聞に「先送り負担増、年3兆円規模 岸田政権の置き土産、次期政権は」が載っていました。
・・・自民党の新しい総裁に選ばれた石破茂氏は、岸田文雄政権が決めた年3兆円規模の負担増にも向き合うことになる。防衛、少子化対策、脱炭素化の三つの予算を大幅に拡充して事業が始まっているのに、国民に不人気の負担増は始まっていないからだ。
岸田首相は防衛費を5年間で段階的に増やし、2027年度は22年度比で3・7兆円多い8・9兆円にすると決めた。少子化対策でも、28年度までに国と地方の予算を3・6兆円増額する。さらに、脱炭素社会を実現するためとして、32年度までの10年間で20兆円を投じることも決めた。
これらの予算増は22年度以降、順次始まっている。計画通り進めば、三つの政策の予算は、合計で年9兆円程度増える。ただ、岸田政権は、既存の財源をやりくりするだけではまかなえないため、一部を新たな負担として国民に求めることにしていた。
防衛費増に対応するため、法人税、所得税、たばこ税で計年1兆円強の増税を打ち出した。遅くとも26年度までに始める方針だが、与党の反発で実施時期が決まらず、必要な税法の提出の先送りを重ねてきた。少子化対策では、社会保険料の引き上げで年1兆円をまかなう法律を成立させ、26~28年度に段階的に実施する。
脱炭素投資の財源は、28年度から化石燃料賦課金、33年度から有償の排出量取引制度を通じて集める方針だが、具体的な仕組みは未定だ。50年までに投資20兆円の全額を回収する予定で、単純計算で年1兆円弱の負担増になる・・・
10月3日には「増やした、使った、後は任せた 岸田政権、財源確保は3割」載せていました。
・・・岸田文雄政権が3年の幕を閉じた。この間、物価高対策と称して巨額の補正予算の編成を繰り返したうえ、当初予算も大幅に増やし、将来にわたる歳出増を決定的にした。歴代政権は深刻な財政状況に配慮し、一度増やすと翌年度以降に減らすのが困難な当初予算は、高齢化に伴う年金や医療費などの伸びに抑えてきた。その不文律をも破ったことになる。
朝日新聞は、当初予算のうち恒常的に使われる政策の予算(国債費を除いた政策経費)が、前年度に比べてどれだけ増えたかを検証した。元参院予算委員会調査室長の藤井亮二・白鴎大教授(予算制度)の助言を受け、消費増税対策やコロナ対策の予備費など一時的な要因を除いた。
分析結果によると、岸田政権は2023~24年度に計6・2兆円、当初予算の政策経費を増やしていた。防衛と少子化対策の予算を大幅に拡充したためだ。01年度以降でみると、09~10年度(7・0兆円)に続く規模だ。当時、自民党から民主党への政権交代があり、「バラマキ合戦」になった時期だ。
岸田政権は、別枠の特別会計を用い、年平均2兆円のペースで脱炭素化の支援策を増額した。これを含めれば、政策経費の伸びは09~10年度をも上回ると見られる・・・
・・・積極財政を掲げた安倍晋三政権でも、政策経費の伸びは、最大で19~20年度の3・2兆円にとどまる。高等教育無償化などを進めたためだが、消費増税により、支出増を上回る税収増を確保していた。
一方、岸田政権が打ち出した防衛と少子化対策の強化の財源では、将来の増税や社会保険料の引き上げで確保したのは、増やした予算の3割だけ。残りは、特別会計の剰余金など恒久財源とは言えないものばかりだ・・・