カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載の推敲、三つの時間

連載の推敲、三つの領域をまたぐ」の続きです。

「連載の推敲、三層構造」では、日々のできごと、それら問題群の位置づけ、そして近代憲法構造の再検討という3つの層で考えています。すると、時間を3つの層に分けて考えることになります。
・日々のできことは、毎日のことです。
・問題群の位置づけは、平成の30年間で変わったこと、戦後70年で変わったことです。毎日のできごとを追いかけても、それは見えてきません。
・そして近代憲法構造は、1世紀とか2世紀かけての変化です。

これは、ブローデルの、長い波、中くらいの波、短かい波という、歴史を三層構造として把握する手法です。

このように書くと、「三つに分けるのが好きですね」と突っ込みが飛んできそうです。
そうですね。この「連載の推敲」も、層構造、領域、時間と3回です。
「明るい公務員講座」でも、しばしば三分論がでてきます。物事を理解する際に、二分論が当てはまる場合と、三分論の方がぴったりくる場合がありますよね。

連載の推敲、三つの領域をまたぐ

連載の推敲、三層構造」の続きです。連載を書く際に、念頭に置いている構造についてです。三層構造の次に、三つの領域を考えています。

三層構造は、いわば縦に重なった層です。それに対して三つの領域は、平面での棲み分けです。政治と行政、経済、社会です。
この連載の主旨は、これまでの行政学、公共政策学の範囲が狭いということです。社会の課題、公共の問題に取り組むためには、その範囲を広げなければなりません。
そのうち、経済と行政の関係は、新自由主義的改革などで、市場と政治との在り方が議論されています。

しかし、社会に生じている問題を、政治と行政はまだ十分に拾い上げていません。社会学と行政学との間で、協働が十分に成り立っていないのです。その背景には、公私二分論があります。
この三つの領域を、どのようにつなぐか。それが、この連載の主題です。そこで、執筆に苦労しています。そして、この議論は「三層構造」の三層目と連関します。
この項さらに続く

連載の推敲、三層構造

連載の執筆に際して、皆さんになるべく読みやすく、わかりやすいように書くことを心がけています。これは、どのような文章を書くときでも、必須ですわね。

ただし、「明るい公務員講座」と「公共を創る」とでは、少々気配りが異なります。「明るい公務員講座」の内容は、主な読者である公務員の身近にあることなので、項目を立てて、それに沿った具体事例を書けばすみます。他方「公共を創る」は、うまく対応できていない社会の課題をどのように考え、解決するかですから、そうは行きません。次のように、三層構造で文章を考えています。

一層目は、具体事例です。私の体験、皆さんの周りにある出来事、ニュースが取り上げるような出来事です。そこには、外に表れる出来事と内面の意識とがあります。
二層目は、それらが、現在日本社会の課題群として、どのように位置づけられるかです。マスコミの解説(ニュースに取り上げられる個別の出来事でなく、それらの意味です)や、新しい課題を取り上げる新書などを想像してください。
三層目は、それら日本の課題を、どう変えていくか。これまで対応できていないのは、従来の行政の役割、公私二元論、自立した市民という考え方には、はまらないからです。個別の政策では解決できないと、私は考えています。すると、西欧で200年近く続いた、近代憲法構造(思想)を再検討しなければなりません。
こう考えると、我ながら、大それたことに挑戦していますね。

布を織る際に、小さな模様を集めて、一つの大きな模様にします。さらにそれを集めて、もっと大きな柄にします。それを想像してください。
もちろん、全体構成を作り、それを分けて第二層である章や節にしています。そしてその節の趣旨に沿った文章を書く際に、具体事例を並べています。
この項続く

連載執筆状況

連載「公共を創る」の原稿、第3章1(1)「成長から成熟へ」の残りを書き上げ、編集長に提出したのが、5月3日。ゲラにしてもらい、いくつか気づいた点を加筆して、仮誌面ができました。第46回から50回分です。
コロナウイルスの影響で、毎週連載が隔週連載になったこともあり、なんと7月末掲載分までできました。珍しく、余裕綽々です。

つづいて、第3章1(2)「成熟社会の生き方は」の執筆を進めています。
夜の意見交換会がないので、朝早く目が覚めること。休日に出かけることができないこともあり、進みます。
もっとも、今回はさらに扱う範囲が広く、いつものように難渋しています。思いついたことを書き散らかしてあるのですが、並べる順に苦労し、議論の展開を工夫してと。そしてあやふやな点を、書物などに当たって確認するのが一苦労です。常に気にしていた主題なのですが、私の専門でないので。

官僚にも研究者にも、この分野を広く押さえている人は少ないでしょう。この連載の主題は、社会の変化に追いついていない国民の意識と行政です。しかし、それを所管する組織は、ないのです。
私の挑戦は、一人で取り組めるようなものではありません。執筆は、ある程度のところで妥協し、間違いでなければ良しとします。
約3分の1ができたので、右筆さんたちに送って、目を通してもらっています。

連載「公共を創る」第44回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第44回「日本は大転換期―製造業から情報産業へ」が、発行されました。

前回から、平成時代の変化を説明しています。まず経済についてです。
バブル経済崩壊とその後の「失われた20年」は、景気変動でなく、産業構造と国際環境の変化でした。工場がアジアに移転し、また海外の企業に負けるようになると、地方経済に大きな打撃を与えました。

日本経済が、成長期から成熟期に入ったことを、「昭和の成長を主役として引っ張ってきたが、平成時代になって、権威を落とした三つの業種を挙げよ・・・答えは、百貨店と銀行と官僚」という小話で説明しました。
そして、パソコンとインターネットが、仕事も暮らしも変えました。