12月12日は、岩手県の被災地で取材している新聞記者さん数人との勉強会に、盛岡に行ってきました。
私は国から全体を見ていますが、記者さんたちは現場を見ています。現状と問題点を把握するためには、鷹の目と蟻の目の両方が必要です。合わせて、縦軸と横との比較も。縦軸は時間軸で、これまでの経緯と未来です。過去はこの5年余りだけでなく、過去の災害復興との比較も含めてです。未来は、この後どのような課題が出てくるか、その予測です。そして、市町村長という当事者とともに、記者という第三者の目が重要なのです。
課題の認識を確認する上で、有意義な意見交換になりました。共通認識の面と、違う点と。記者さんたちはこう見ているんだと。同じ視点で見ていては、問題点が見えません。それが異業種交流の意義です。
お互いに認識している課題は、おおむね共通でした。問題は、それにどのように対応するかです。インフラ復旧ができたとしても、産業の再生、コミュニティの再生が難しいです。そしてこれは、被災地独自の課題でなく、日本の多くの地域の課題です。
「災害復興」カテゴリーアーカイブ
行政-災害復興
大企業による被災地企業の支援
復興庁では、事業の展開に悩む被災地の企業と、応援したい大企業とを結ぶ、「結いの場」を続けています。いわば、支援して欲しい企業と支援したい企業の、お見合いの場です。お見合いするだけでなく、その後の実現へ向けての取り組みが重要です。新商品の開発、新分野への進出、販路拡大、営業支援などです最近の事例をまとめました。
事例を見ていただくとわかりますが、支援企業は関係深い製造業や販売業だけでなく、まったく「畑違い」の企業が、営業や業務改善などにも支援をしてくれています。積水ハウス、パナソニック、富士通、NTTドコモ、住友不動産、三井住友銀行、三井住友海上火災保険・・・。ありがとうございます。
このような、被災企業へのノウハウの支援、大企業の支援を結びつけることも、東日本大震災で始めた政策です。主に民間企業から復興庁に派遣された・採用された職員が、考え実行しています。彼らにも感謝します。
商店街の復興
今日12月11日で、大震災から5年9か月です。復興は進んでいますが、新しい課題も出てきています。その一つが、商店街の再建です。12月10日の朝日新聞夕刊は「岩手・山田 JR駅前に新店舗棟完成、国道沿いにも商店街」を載せていました。11日の読売新聞は「仮設商店街、不安な再出発」として、岩手県大船渡駅前の「おおふなと夢商店街」を解説していました。
津波被災地では、町が流され、隣接する町も流されたので、買い物をするところがなくなりました。そこで、初めてのこととして、国費でプレハブの仮設商店を作り、お店に入ってもらいました。使用料も、無料です。仮設商店と仮設工場は、合計で570を超えます。事業者の数では、約2,800です。
町並みの再建が進み、仮設店舗を撤去し、本格的な商店街に移ってもらっています。市町村は、町の再建を機に、点在していた商店を駅前に集約する、ショッピングセンターを作ってそこに入居してもらうなど、工夫を凝らしています。しかし、発災前から人口減少に苦しんでいて、さらに人口=お客さんの数が減るなど、難しい課題もあります。
復興庁は、商店街再建のためのノウハウの支援や、施設設備への補助金での支援をしています。もっとも、運営費に補助金を出しては、持続する経営ではなくなるので、そこには補助金を出しません。
総理、福島視察
今日12月10日は、総理の福島視察に同行しました。JR常磐線の浜吉田駅(宮城県亘理町)から相馬駅(福島県相馬市)までが、今日開通しました。津波被害が大きく、今回復旧するに際して、山際に移し高架にしました。新地駅での式典には、大勢の町民が集まっていました。
相馬駅から小高駅(南相馬市)までは再開しているので、これで南相馬市から仙台までがつながりました。残る不通区間は、小高駅から竜田駅(楢葉町)です。この区間も、JR東が工事を進めています。
その後、復興が進んでいる工場などを見てもらいました。市町村長や事業者が明るく、元気な様子が、印象的でした。原発事故からの復興は放射能が低減しないと進まないのですが、一部を残して、着実に復興が進んでいます。
復興支援、RCF設立5周年
復興支援に取り組んでくれているNPOの「RCF」が、5周年を迎え、先月末にその記念パーティーが開かれました。「その様子」。RCFは、藤沢烈さんが立ち上げたNPOで、復興支援から今は社会事業に範囲を広げています。「記念誌」をお読みください。その幅の広さと、こんな役割があるのだと、驚きます。「つなぐ」という機能の重要性に、改めて気がつきます。役所に相談されても、「そんなことはできません」と答える場合が多いでしょう。
このような会に参加すると、さまざまなな形で社会の課題に取り組んでいる人たちがいることに気がつきます。その多様さに、驚くばかりです。公務員の親玉のような私が参加すると、場違いなような場所です(苦笑)。彼らとは復興において協働できましたし、これからも、行政と協働できると思います。私が提唱する「異業種交流」です。これからは、もっとたくさんの公務員も参加して欲しいです。
世の中には、公務員だけでなく、このような形で公共の課題を解決している人たちもいます。これからますます、このような社会の課題に取り組むNPOや企業が増えてくるでしょう。また、そうありたいものです。すると、行政と公務員も、負けてはいられません。