「災害復興」カテゴリーアーカイブ

行政-災害復興

復興の状況、平成28年12月現在

復興の状況が数字で分かる最も簡単な資料「道のりと見通し」の12月版ができました。担当職員から、報告がありました。ご利用ください。
見ていただくと分かりますが、高台移転は57%、公営住宅は74%が完成しています。着実に進んでいます。ただし、まだ13万人の方が避難しておられます。「現状と取り組みのページ」。

復興庁平成29年度予算案

12月22日に、新年度予算案が決まりました。「復興庁ホームページ」、「4分野のポイント」。
復興庁予算は1兆8千億円と、今年度当初予算(2兆4千億円)と比べ、6千億円減っています。これは、これまで大きな割合を占めていた災害復旧工事と除染事業が減ったからです。概要の3ページをご覧ください。6年経って、これら工事がピークを越えました。そして、予算総額の半分0.9兆円が、福島の原発からの復興になっています(概要の12ページ)。
予算からも、復興の進捗状況が見えます。津波からの復旧が順次完成しつつある一方で、福島の復興はまだまだです。
進捗に従って、新たな課題が見えてきます。そこに力を入れます。「新たな課題への対応」に、整理してあります。またその2ページ目に、原発被災地域の復興支援を見やすく整理してあります。わかりやすい資料です。ご覧ください。
復興庁は、仕事も予算も、「前年通り」が通用しません。予算も、増えることが善ではなく、一日も早く完成して、地元の人に喜んでもらうことが良いのです。

南相馬市の復興協議

今日12月26日は、南相馬市役所まで、市と県と国との協議に行ってきました。7月に一部地域(小高区)の避難指示が解除されたのですが、その後の復興の課題を検討するためです。
原発避難指示区域は、まずは避難指示を解除することに力を入れていました。おかげで、一部困難区域を除いて、順に解除が進んでいます。しかし、それは住民が戻れるようになったと言うことで、地域の復興の視点からは出発点に立ったと言うことです。
放射線への不安の解消、生活環境整備、産業振興など、ゼロからのいえマイナスからの再生です。病院、買い物、交通が戻らないと、暮らしていけないのです。そして住民に戻ってもらう、さらには新しく人を呼び込むためには、教育と産業が必要です。
すでに1200人の住民が帰還しておられます。常磐線が南相馬市内から仙台まで開通しました。仙台まで1時間20分で行けます(福島市までは車で1時間半はかかります)。来年4月には学校も再開します。課題は、市役所が良く整理されているので、一つずつ解決していきましょう。

風評被害、外国の輸入規制

福島原発事故からの復興で、大きな課題として残っているのが、風評被害です。国内だけでなく、海外にも残っています。日本の産品に、輸入規制をかけているのです。
2016年12月現在で、輸入停止をかけているのが7か国・地域、限定的な寄生をしているのが54か国・地域です。20か国は規制を撤廃してくれたのですが。
外務省を中心にして、関係国に働きかけていて、少しずつ撤廃してもらっているのですが。科学的根拠のない規制は、困ったものです。

気仙沼線・大船渡線BRT、グッドデザイン金賞受賞

大震災の大津波で流された鉄道の一部が、専用バスで復旧しています。岩手県と宮城県にまたがる、気仙沼線・大船渡線BRTです。このBRT(bus rapid transit、バス高速輸送システム)は、元の線路敷きを舗装して、バス専用道にしています。ところによっては、一般道を走ります。今回、2016年度のグッドデザイン金賞を受賞しました。
私も乗ったのですが、車体は格好良い赤で、遠くからでも目立ちます。駅舎=バス停もしゃれたデザインで、待っていても気持ちが良いです。
関係者から、「宣伝せよ」との指示が来たので、紹介します。

ところで、私は、かつては鉄路復旧派だったのですが、地元の人の意見を聞いて、バス復旧派に転向しました。理由は2つです。
1 遠くまで乗る人がいない。
私は、「鉄道はつながってこそ鉄道だ」と主張しました。ところが、地元の人曰く「端から端まで乗る人って、1年間に何人いますかねえ」。言われてみれば、ほとんどの乗客は高齢者と高校生です。町内か隣町までしか乗りません。市町村長や議員さんたちに聞いても、ご自身が県庁に行くにも東京に来るにも、自動車を使っていて、鉄道を使っている人はほぼいないようです。これじゃあ、「鉄道で復旧してくれ」と主張しても、迫力がないですね。
2 本数が増えた。
鉄道時代は、1時間に1本も走っていませんでした。それがバスになって、2倍程度に増えています。利用者にとっては、大きな列車で本数が少ないより、小さなバスでも本数が多い方が便利です。
さらに、
3 近くにバス停ができた。
鉄道の駅は動かせませんが、バス停なら簡単です。高台に移転した病院にも、玄関までバスが来てくれるのです。
欠点と言えば、雪が積もると、遅れることがあるようです。しかし、鉄道も遅れることがありますよね。

なぜ、こんなことになるのか。かつては、道路事情が悪く、車も少なかったのです。鉄道は、唯一の交通機関でした。ところが、その後、道路整備が大きく進み、また自動車も増えました。NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」で、列車で東京に行く人を見送った知人たちが、忘れ物に気付いて車で追いかけ、先回りをして駅で渡すという場面があったそうです(私は見ていないのですが)。それが、現実です。
さらに、鉄道は整備も運行も、料金でまかないます。他方、バスの場合は、道路は税金で造って、乗客の負担はありません。
北海道などで、鉄道の廃止が議論されています。幹線を除けば、高齢者と高校生が利用者なら、バスの方が便利です。