「災害復興」カテゴリーアーカイブ

行政-災害復興

福島復興の現場で活躍する女性

福島復興局のホームページに、「 復興のパイオニア」という欄があります。現場で復興に尽くしておられる方の紹介です。今回は女性ばかり10人です。
役所のホームページは、制度の紹介や数字の公表が多く、「無味乾燥」なことが多いです。このような、具体事例、人の活動の紹介は、珍しいでしょう。でも、これなら一般の方にも読んでもらえますよね。

NPOや復興支援員の方が多いです。本来行政が行うべき分野なら、行政かその委託を受けた企業が執行しています。行政が取り組みにくい分野で、活動しておられるのです。
すべてを行政が行う、その反対側にすべてを民間(企業や篤志家)に任せるという「二分論」ではなく、その中間があっておかしくないと思います。行政ができる支援は、財政支援だけでなく、情報の提供、「行政のお墨付き」と言った支援もあります。

復興庁のホームページで紹介することも、その一つだと思います。これまでだと、役人は、「公平性は保たれるのか」「どのような基準で選んだのか」と質問されるのが嫌で、このようなことには取り組みませんでした。従来の「行政の枠」にとらわれることなく、職員たちは、いろいろなことに挑戦してくれています。

河北新報、被災地での企業の役割

前にも紹介しましたが(被災地での企業の社会貢献、社会的役割。1月5日)、河北新報が、被災地での企業の貢献「トモノミクス」連載を続けています。
1月8日から12日は、発災直後の混乱期に、企業がどのように地域の暮らしを支えたかです。
企業もまた被災していました。従業員もです。その中で、店を開いたスーパーマーケット。なくなった粉ミルクを、東京まで仕入れに行ったスーパー。がれきの街で、無償で道を切り開いた建設業者。預金通帳無しでお金を払い戻した銀行・・・。
そして、町の復興には商業や産業の再開が不可欠であることが、紹介されています。これらは、重要な「社会インフラ」です。

被災地での企業の社会貢献、社会的役割

河北新報が新年3日から、「被災地と企業」という連載を始めました。
・・・企業の社会的責任(CSR)。21世紀、世界の企業に浸透し始めた概念だ。東日本大震災後、東北の被災地には無数の企業が足を踏み入れ、試行錯誤を重ねた。艱難の地へ、生活の糧を、癒やしを、希望を。企業を突き動かした衝動は何だったのだろう。あれから間もなく6年。CSRを足掛かりに、あの日に返って経済社会を展望する。見えてくる明日を、私たちは「トモノミクス」と呼ぶ・・・
第1回は、ポケモンGOの河合敬一さん。第2回は、若手漁師らのフィッシャーマン・ジャパン。第3回には、藤沢烈さんが登場しています。詳しくは本文を読んでいただくとして、特徴を次の様に述べています。
・・・以前はボランティアや寄付が中心だったが、本業を通じた支援が活発化し、産業やコミュニティーの再生により深く多様に関わった・・・
・・・地域と長く関わる専任者がいたかどうかが大きい。被災地では顔の分かる人間関係が基本。最初から分厚い提案書を出して、相手に敬遠されたケースもある。地域との関わり合いを勉強するいい機会になった・・・

藤沢さんたちとの共著『東日本大震災 復興が日本を変える』は、副題が「行政・企業・NPOの未来のかたち」です。被災地を復興する際に、行政だけでは限界があること、企業やNPO、コミュニティの役割が大きいことを、実例を挙げて紹介しました。私たちが挑戦したことが、社会に受け入れられつつあります。ありがとうございます。

平成28年の回顧1、復興

年末になり、年賀状も出したので、今年の回顧を始めましょう。
まず、復興についてです。復興庁事務次官を退任したのですが、内閣官房参与、福島復興再生総局事務局長として、引き続き大震災からの復興に関与しています。発災直後からこの仕事に直接関わっている国の職員は、私一人になりました。首長さんたちとも、長い付き合いになりました。過去からの苦労を踏まえた議論、そして本音の議論をすることができます。継続と信頼関係がいかに重要かが、わかります。ありがたいことです。
ところで、公務員は通常2年で職場を変わります。これはこれで合理性があるのですが、このような仕事の場合は、より長期に携わっている職員それも管理職がいると、仕事がうまく進むと思います。各省なら職員が異動しても、どこか関連部署にいれば、彼を頼って継続性を保つことできるのですが。もっとも、局を越えると、それも難しくなります。内閣府のように、分野が違う組織の集合体の場合も、難しくなります。

復興は6年目になり、現地では工事が着実に進んでいます。このホームページでも、随時紹介しているとおりです。津波被災地では、次々と町並みが出来ています。仮設住宅も、撤去されつつあります。平成29年度末には9割の宅地と住宅が完成する予定で、平成30年度中には完成する見込みです。復旧工事費は、予算額でも減少が始まりました。
原発事故被災地では、順に避難指示が解除され、また解除される見通しが立ちました。帰還困難区域を除いて、鉄道も復旧します。除染も、多くの地域で終わりに近づいています。帰還困難区域では、当分の間は帰還は困難なので、一部で復興拠点を作ることにしました。そこから町の復興を始めようという趣旨です。
このように、着実に進んでいます。関係者のご努力のおかげです。

しかし、今なお13万人の方が、避難生活を送っておられます。また、産業再生とコミュニティ再建が、課題です。そして、原発事故の風評被害が収まりません。農産物や観光のほかに、避難した子どもたちへのいじめという「とんでもない被害」が出てきました。悲しい話です。これらの新しい課題に、対応していく必要があります。これらの課題は、お金を出せば、また工事をすれば解決する問題でなく、工夫と継続が必要です。

アサヒビールの復興支援

アサヒビールが、復興支援を続けてくださっています。さらに2020年まで続けることも、表明してくださっています。「復興支援のページ」「CSRのページ」。
今日紹介するのは、その中でも、「商業コミュニティ助成」です。被災地や避難先では、商店が再開しない、再開しても客が少なく経営が続かない、客も高齢者が多く買い物に行けないなどの問題があります。
商店の営業は、事業主の責任です。それぞれの才覚で、儲けてもらいます。経済学では、そうなっています。しかし、住民にとっては、暮らしていくために不可欠の機能です。「市場原理に任せておく」では、地域は成り立ちません。そこをどのようにして支えるか。日本社会や行政に問題を投げかけています。
このアサヒビールの支援は、これに取り組んでくださっています。詳しくは、資料を見てください。それぞれの活動状況も載っています。

ありがとうございます。たくさんの企業が、さまざまな分野で、またさまざまな手法で、支援をしてくださっています。お金やモノの寄付と違って、「集計する」ことができません。すべては無理としても、何か整理して、また一覧表にして世間の人にお知らせできれば良いのですが。