カテゴリーアーカイブ:政治の役割

オバマ大統領、国民は何を期待したか

2014年11月11日   岡本全勝

アメリカ中間選挙で民主党が大敗したことを、各メディアが大きく伝え、解説しています。オバマ大統領への批判に絡めたものが多いようです。
11月6日の朝日新聞、久保文明・東大教授の解説「経済政策の実績、評価されず」から。
・・民主党敗北の最大の要因は、オバマ政権の経済政策の実績が評価されなかったことだろう。米国経済は好調で、株価は過去最高水準で推移。一時は10%を超えた失業率も5.9%まで下がった。にもかかわらず、実質賃金が上がらないことや格差の拡大などで国民のムードは悲観的だ。世論調査で3分の2が「米国は悪い方向に向かっている」と答えており、共和党政権で起きた大恐慌から経済を立て直したという訴えに国民が実感を持てるようになるには、時間が足りなかった。
加えて、オバマ氏のウクライナや「イスラム国」問題に対する弱腰の姿勢から、リーダーシップが方向性を失って米外交が漂流しているという感覚が広がったことも影響している・・
久保教授は、11月11日の日経新聞経済教室でも、詳しく解説しておられます。
10月28日の朝日新聞オピニオン欄、レオナルド・スタインホーン・米アメリカン大学教授の「相反する人心、つかめぬ大統領」から(この記事は、投票日前です)。
・・現在のオバマ氏の不人気は奇妙な状況ともいえます。大恐慌に次ぐ規模だった2008年以降の金融危機から回復して、経済はかなり好調です。失業率は6%を下回り、企業は大きな利益を上げています。
ただ、オバマ氏はこうした成果を、説得力を持って説明することができませんでした。「もっとうまくできたかもしれないが……」といった調子で自己弁護的な説明が多かった。オバマ氏は優れた雄弁家ですが、偉大な「コミュニケーター」ではないのかもしれません。元大統領のクリントン、レーガン両氏のように、感情レベルで人々とつながることができないようです。もちろん今でもオバマ氏を支持する民主党員は大勢いますが、この国の人々の心の奥底にある「核」をとらえることができていません・・
同じく11月8日の朝日新聞オピニオン欄、フランシス・フクヤマさんの「米国と世界のこれから」が、次のような分析をしています。
・・とても失望しています。2008年に当選したときには、カリスマ性のあるリーダーのように思われました。しかし、国を治めるための協力態勢を築くという点において、極めて無力な大統領です。彼は、人と個人的な関係を結ぶよりも、大きなスタジアムで2万人の前で演説するほうがよほど得意な人物です。
もっと深刻なのは、オバマ氏が内政に集中し、国外の問題についてあまり関心を持たず、大きな問題にかかわろうとしなかったことです・・

国会の英訳、Diet

2014年11月3日   岡本全勝

11月3日の読売新聞文化欄、苅部直東大教授の「翻訳語事情」は、「Diet→国会」でした。
日本の国会は、「Diet」と英訳されます。地下鉄の駅名なども、そう書かれています。前から、「ふ~ん、そう訳すのだ。学校では習わなかった単語だなあ」と思いつつ、それ以上は調べませんでした。ある人はこの英語表記を見て、「ダイエットって、減量のダイエット?」と聞いたことがあります。
アメリカの議会はCongressですし、イギリス議会はParliament。中国の全国人民代表大会はCongressで、韓国の国会はNational Assemblyだそうです。
19世紀に、ドイツとオーストリア=ハンガリーの帝国議会(Reichstag)をそう英訳していたので、両国をモデルとした帝国日本の国会を英訳する際に、この言葉を選んだのだろうというのが、苅部先生の説明です。
しかし現在、オーストリアの議会はParliamentで、ドイツはドイツ語のBundestagをそのまま使うのだそうです。Dietを使っているのは、日本だけのようです。勉強になりました。インターネットで調べたら、衆議院のホームページでは国会はNational Diet、憲政記念館はParliamentary Museumとなっていました。

首相と与党との力関係

2014年10月4日   岡本全勝

読売新聞連載「時代の証言者」西尾勝先生、10月4日の「思いがけない活動延長」から。
・・「省庁再編で巨大官庁が生まれるといわれるので、国の仕事を自治体に移譲する勧告に再挑戦して欲しい」。これが、橋本首相の地方分権推進委員会に対する追加要請でした。しかし、それからが大変でした。
国の仕事を自治体に移譲するとなれば、当時の建設・運輸・農林水産の3省が行う道路・河川・ダム・港湾・農業構造改善という公共事業に的を絞らざるを得ない。私はそう考えました。ところが、抵抗が強かったこの3省は、今度は国会議員に訴えたのです。
当時の自民党の政務調査会が動きました。各省と密接につながっている部会ごとに、地方分権改革対策会議などというような委員会を設置した上で、全体を統括するという体制を築き上げたのです。ここが抵抗の拠点となって、各省の官僚には「分権推進委員会からの出席要請には応じるな」と指示を飛ばす事態に発展していきました。
「国会の先生方に止められているので・・・」各省の官僚たちはそう言って、折衝に出てこなくなりました・・
・・首相の発言は非常に重く、官僚に強い影響力を及ぼすことを私は実感していましたが、橋本首相は結局、公共事業の移譲に反対する与党議員を束ねるまでの力は持っていなかったのかと思い知らされたわけです・・

政治家、表と裏の使い分け。許された時代

2014年10月2日   岡本全勝

読売新聞連載「時代の証言者」西尾勝先生、9月30日の「市町村合併推進に反論」から。
1996年12月に第1次勧告(機関委任事務制度の廃止)を出す直前、自民党の行政改革本部で説明した際に、議員が次々と発言します。
・・市町村への権限移譲、市町村合併の推進、首長の多選制限。この3つが党の総意だというのです。
私は市町村合併論に、生意気にも反論しました。「我々は地方6団体の改革要望を基に進めているのに、合併推進を勧告したら地方の結束が乱れます。まずは分権改革の推進を優先し、分権社会が進んでから市町村に考えてもらうのでも遅くありません」
「市町村合併が先生方の信念なら、選挙区でそれを明言して、町村の首長や議員を説得してください」
これに対し、ある議員が「政治がわかっていないなあ。そんなことを我々が言って再選できると思っているのかね」と言いました。
私も負けずに「表と裏を使い分けるから政治はわかりにくい。市町村合併が党の総意なら選挙綱領で明言すべきで、我々に押しつけるのは理解できません」と返したのですが、押し問答になってしまいました・・
このようなことが、許されました。まだ20年前のことです。詳しくは、原文をお読みください。

アメリカ政治、社会倫理的争点

2014年9月23日   岡本全勝

東京財団のリポートから。
アメリカの中間選挙で、同性婚が争点になるかもしれないと伝えられています。「社会的争点で守勢に回る共和党」。このほか、人工妊娠中絶など「社会的」「宗教的」な争点が、政治・政党間で争われます。社会的争点という表現では、貧富格差などを思い浮かべるので、倫理的争点と呼んだら良いのでしょうか。
日本の政治では、このような争点は、どのように扱われているか。マスコミは、これらの争点をどう扱っているか。行政府(官庁)は、どのようにかかわるのか。そのような点に、私は関心があります。