1月10日の日経新聞夕刊に「旧態依然、日本の政治カレンダー」が載っていました。詳しくは記事を読んでいただくとして。一部を紹介します。
・・・政府・与党は臨時国会をこなしながら12月に翌年度の予算案と税制改正大綱を決め1年が終わる。年後半のカレンダーも時代の要請に合っているのか検証の余地がある。
典型は税制改正だ。伝統的に議論を主導してきた自民党税制調査会は12月の大綱の決定に向けて10月ごろから稼働する。10〜12月にしか動かないのは党税調の権威付けとの見方があるものの、いわば季節労働で機動性を欠く。
その年に先送りされた税制項目は事実上、1年間塩漬けになる。23年の骨太の方針に明記した労働移動の円滑化に向けた退職金課税の見直しは2年連続で結論を持ち越した。旧来の終身雇用を前提とした税制が改善されない。
各国は適切なタイミングをみて柔軟に税制を変更する。例えば、シンガポール政府は不動産価格を調整するため、住宅不動産を購入する際の「追加印紙税」を変動させており、23年4月は深夜に発表し、翌日から施行した・・・
増山幹高・政策研究大学院大教授(政治学)に日本の政治サイクルの課題を聞いた。
・・・通常国会の会期を150日に定めているのは悪いことではない。一定期間で会期を終えた後、行政機関を国会審議に縛り付けることなく、国会議員は外交や他の活動に注力できる。通年国会にすべきだとの意見もあるが、会期を定めない国でも年中国会を開いているわけではない。
問題は国会を開いている期間をどう活用するかだ。これまでの国会は野党が与党の揚げ足をとることに注力していた。時間を浪費させることにエネルギーを使っていたといってもいい。
野党が与党に対峙し、どちらの政策がよいかを競う論戦になれば、おのずと議会のあり方は変わってくる。
党首討論のさらなる活用を提案したい。野党は一方的に質問できる予算委員会を選びがちだ。むしろ与野党の取り決めで党首討論の開催を制限している慣行を本来の規則通りに改めるべきだ。
予算委員会で予算と関連ない質疑を繰り返しているよりは、規則に沿って党首討論を開催して討論回数を増やすべきだ。少数野党に5分だけの討論時間を与えても十分な質疑にならない。会期中に党首討論を10回やるなら、その1回分を共産党にあてるなどの措置をとればいい。
石破茂首相は熟議の国会を訴える。日程闘争から距離を置くのが一番いい。少数与党の現状にあって、野党が責任政党に脱皮できる好機だ。予算審議の回数や採決日をあらかじめ決められれば、日本の国会歳時記は大きく変わるはずだ・・・