カテゴリーアーカイブ:再チャレンジ

日本の移民政策

2013年8月25日   岡本全勝

8月25日朝日新聞オピニオン欄、ザ・コラムは、有田哲文編集委員の「移民政策、「だましだまし」に迫る限界」でした。
・・人口減少への対策で、わが国の政治家があまり語りたがらないテーマがある。移民である・・
・・日本には、外国人の技能実習制度がある。建前は実習だが、3年を上限に外国人を労働者として使える・・日本は移民政策の代わりに、変な建前を作ってしのいできた。単純労働は禁止だが、研修や実習ならかまわない。日本人の血を引く日系人なら、3世までは出稼ぎに来ていい―。そんな「だましだまし」は、もうやめにした方がいいのではないか・・
・・移民政策の両輪は、「社会的包摂」と「戦略」である。前者が、外国人を底辺に追いやらずに共生するにはどうすればいいかを考えるものだとすれば、後者は、国力を維持するためにどれだけの人をどう受け入れるかという、冷徹な態度である。

過去20年、社会的包摂は、それぞれの地域で試行錯誤を重ねてきた。しかし、戦略の方はまだこれからだ。
外国人支援を続けてきた多文化共生センター大阪の田村太郎さん(42)は、少子高齢化に立ち向かうための戦略が必要で、外国人受け入れ政策も、その一環として考えるべきだという。
「単純に日本の人口が減る分を外国人で穴埋めしろというのは、乱暴だし無理な話。女性が働きやすい社会をつくるなかで、外国人の力も借りるべきだ」。洗濯や掃除などの家事労働を担う産業を育てるとともに、外国人に労働許可を出していくことを提案する。希望すれば長く働くことができ、いずれは永住資格も得られる。日本版移民制度といってもよさそうだ。「男女とも働きやすくなれば、世帯の所得が増え、子どもも生みやすくなる。欧州には実例があります」
移民政策を語るのは、どこか心が痛む。自分たちのやりたくない仕事を押しつけようとしているだけではないか。でも、日本人だけで人口減少社会を乗り切れるとも思えない。
「だましだまし」は大人の知恵だったのかもしれない。しかし今必要なのは、もっと別の知恵である・・
太郎さんが、有田記者の記事に出てくるとは。世間は狭いですね。

階段で荷物運びを助ける

2013年8月20日   岡本全勝

朝日新聞8月19日夕刊に、「ベビーカーおろすんジャー現る」という記事が載っていました。
東京の地下鉄丸ノ内線の方南町駅(我が家の近くです)に、戦隊ヒーローの格好をした男性が現れ、ベビーカーを抱えて、階段を下ろすのを手伝ってくれるのです。
エレベーターやエスカレーターのない駅で、ベビーカーや荷物を持った人が困っていることが多いです。このヒーローは、顔を見られるのが恥ずかしいので、ヒーローの仮面をかぶっています。最初は、不審がられたそうです。
かつてこのホームページでも紹介しましたが、日本は荷物を持った弱い人に対し、冷たいようです。私は、最近は恥ずかしくなくなったので、見かけたときにはお手伝いしています。もっとも、それくらいでは、我が子の子育てを手伝わなかった(そもそも、手伝いという表現が、間違っています。正確には、責任を果たさなかった)罪は償えません。「今日のささやかな善行」(2010年12月18日)、「読者からの反応」(2010年12月6日)。

女性の有業率M字カーブの改善

2013年7月15日   岡本全勝

7月12日に総務省が、2012年の就業構造基本調査結果を公表しました。「要約」(11ページ)が、わかりやすいです(ちなみに、昔の調査結果には付いておらず、付いていても工夫が足りないです。例えば平成4年。かなり進化しています)。
男性の場合は、年齢別有業率をグラフにすると、20歳前後で就職し、60歳以降で退職するので、台形になります。しかし女性の場合は、結婚や子育てで仕事を離れることが多く、25~39歳のところでくぼむM字カーブです。その落ち込みが減ってきて、台形に近づいてきました。日経新聞が、1997年以降の変化をわかりやすいグラフにしています。年々、へこみが小さくなっていることがわかります。
5年前に比べると、製造業、卸小売業、宿泊・飲食業が減って、医療・福祉、そのほかのサービス業が増えています。産業の構造変化が見えます。農林業が増えているのは、退職サラリーマンが農業を継いだということでしょうか。
非正規職員の割合は、女性で58%、男性で22%です。20年前(1992年)では、女性が39%、男性が10%でしたから、大きく増えています。

シングルマザーの職業紹介

2013年2月12日   岡本全勝

2月11日の朝日新聞に、「求む有能シングルマザー、東京杉並の職業紹介会社」という記事が載っていました。社会に埋もれた有能なシングルマザーを掘り起こして、企業の正社員にする。そんな会社を、5年前に一人の女性が始めました。社員5人だそうです。
私は、この記事を読んで、「なるほど」と思いました。シングルマザーは子どもさんを抱え、収入を得るために必死です。しかし、普通の職員採用では、はねられることもあると思います。でも、腰掛けやええ加減な意欲の人より、よく働かれるでしょう。有能な人も多いです。その人たちを斡旋する。とても効果的な職業紹介です。
これまでに、100を超える会社に紹介してきたとも、書かれています。ぜひ、これからも紹介を求める人からの登録と、斡旋がうまくいくことを期待します。
新卒一括採用、年功序列、終身雇用。これが日本の「標準的雇用」でした。しかし、そのコースを外れる人も多いです。子育てのために退社した女性。就職した会社が、合わなかった若者。会社の職員整理にあった職員。体を壊した職員などなど。そのほかにも50歳代や60歳代で途中退職した人や定年退職した人など、働きたい人はたくさんいます。その人たちの意欲と技能と経験を、生かしたいです。
日本には、まだまだ潜在的労働力がたくさんいます。それを活用しない手はありません。その人たちと職場をつなぐ。そのつなぎ手が必要なのです。これら「働きたい人」の斡旋業が出てくることを期待します。
これからの行政や商売のキーワードの一つは、「つなぐ」ですね。被災地のニーズと支援したい人や支援制度をつなぐ。働きたい人と求めている企業をつなぐ。人やお金はたくさんあるのですが、それが生かされていない。それをつなぐ。これまでの制度や常識を破って、新しい仕組みを考えるのは、両方の知識を持った人しかできません。

ソーシャルワーカーという仕事

2013年2月11日   岡本全勝

宮本節子著『ソーシャルワーカーという仕事』(2013年、ちくまプリマー新書)を紹介します。「ソーシャルワーカー」という言葉は、皆さん聞かれたことがあると思います。でも、その仕事の内容を知っている人は、多くはないでしょう。私も、そうです。
カタカナであることが、まだ身近でないことを表しています。例えば「介護保険」という言葉の方が、後からできたと思いますが、こちらはほとんどの人が知っているでしょう。「ケア・マネージャー」となると、どうでしょうか。

宮本さんは、次のように書き出しておられます。
・・・私たちは、生まれてから死ぬまでの人生を歩む時、さまざまな幸せな出来事や不幸な出来事に遭遇します・・不幸せな時にはさまざまな手助けを得ながら持ち直して暮らしを立て直していきます。ソーシャルワーカーの仕事は、この”手助け”をすることです。つまり、この社会で生きていく中でのある種の生きづらさに遭遇してそれを緩和したい、よりよく生きていきたいと人が願う時、ソーシャルワーカーの出番がきます・・・
そして、次のような場合を挙げておられます。
・失業、疾病、老齢、障害等で、経済的に生活が立ちゆかなくなった時
・経済的には何とかなるが、疾病、老齢、障害等で、日常生活を過ごすことができなくなった時
・高齢となり身体やメンタルな介護が必要になった時
・離婚等で家族関係を再構築しなければならなくなった時
・保護者がいなくなったり、虐待をする不適切な保護者であったりする時
・学校に居づらくなったり、学校に行けなくなってしまった時
・配偶者から深刻な暴力を受けて生活を維持できなくなった時
・地域社会から孤立している時
・刑務所から出所したが生活の再建がうまくいかない時
「ひとの生活に介入し、個人と社会をつなぎ直す」とも、書いてあります。私のこのHPで書いている「社会関係リスク」の、「お医者さん」と言ってもよいでしょう。

この本では、著者の経験した実際のケースを元に、一人で暮らしていけない人を救うとはどういう仕事か、そして知識と技術と心が必要だということが、述べられています。かなり「厳しい」ケースが載っています。この職業が大変なものだとうことが、わかります。
プリマー新書は、中高生を対象とした新書のようですが、この人たちにわかるように書くのは、難しいです。だから、大人が読むと、わかりやすいです。