12月22日の朝日新聞1面は「長時間労働、女性正社員に壁 「育児と両立困難、非正規に」 67職種調査」でした。
・・・男性の労働時間が長い職種ほど、正社員として働く女性の割合が少ない傾向にあることが、朝日新聞の分析でわかった。結果からは、長時間労働を前提とした正社員の働き方が、子育て世代や女性の負担になっていることが浮かび上がる。
朝日新聞は、慶応大学の山本勲教授(労働経済学)の監修のもと、総務省の就業構造基本調査(2022年)で集計された計67の職種別に、男性正社員の週平均の労働時間と、女性正社員割合の関係を調べた。働き方の変動要因がより小さいとみられる男性の労働時間でみた。
その結果、男性正社員の労働時間が長い職種ほど、女性正社員の割合は低い傾向があった。
就業者が最も多い「一般事務職」は、労働時間が約45時間で女性割合は48・8%と高い。一方、労働時間が約46時間の「営業職」は女性割合が19・6%だ。
山本教授は「男性が長く働いていない方に女性が多くなる傾向が出ている」と説明する。
ソーシャルワーカーなどの「社会福祉専門職」や「介護サービス職」は約43時間、「会計事務職」は約44時間で、女性割合が6割を超えた。
労働時間が約50時間の「医師」は女性割合が24・9%で、約53時間と最も長いトラックドライバーなどの「自動車運転従事者」は、女性割合が2・8%とほかの職種に比べて著しく低かった。
総務省の労働力調査(2023年)によると、女性(15~64歳)の就業率は73・3%で、国際的にも高かった。ただ、非正規雇用者の割合は男性が17・3%なのに対し、女性は50・2%と高い。
また、女性の正社員の割合をみると、20代後半をピークに下がり続ける「L字カーブ」を描くという特徴がある。
一方、世界では長時間労働に依存せず、生産性を上げる働き方が広がっている。日本生産性本部によると、2023年の日本の就業1時間あたりの「労働生産性」は、経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中29位。ドイツの年間労働時間は1343時間と加盟国の中で最も短く、労働生産性は日本よりも7割近く高かった。
山本教授は「長時間労働が当たり前になっている日本では、育児と仕事の両立が難しいために、非正規雇用を選ぶ女性が多い。長時間労働や硬直的な働き方は、女性活躍の最も大きな阻害要因となっている」と指摘する・・・