「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

企業の受付対応

打ち合わせや講演に呼ばれて、企業や大学などに行くことがあります。最近はコロナの影響で、減ってはいるのですが。受付の対応に、2種類ありますね。

一つは、玄関や受付まで、担当者が出迎えてくれるところ。あるいは、受付で名乗ると、「お待ちしておりました。直ちに担当者を呼びます」と対応してくれるところ。
もう一つは、名前と用件を名乗っても、「この用紙に、名前と住所と電話番号を書いてください」という受け付け。名刺を出しても、用紙に記入しろと言われた場合もあります。

後者の場合、せっかちな私は、名前を記入することは応じますが、「おたくの用件で、呼ばれて来たんやで。××さんを呼び出してください」と「抗議」します。たいてい、そのような申し立ては却下され、「決まりですから」と言われます。派遣の職員と思われる女性や、警備会社のおじさんとおぼしき場合が多いです。

職員は、この対応に気付かないのです。自分では、受付を通したことがないから。あなたの職場は、どちらですか。外食産業で、社長が覆面で自社のお店を調査する話を聞いたことがあります。あなたが自分の会社や役所の受付態度を「覆面調査」をしてもバレるので、誰か知人に頼んで一度調査してみてください。
受付って、その組織の「顔」ですよね。委託に出すのは、考え物です。委託に出す場合は、十分な教育か対応要領を用意すべきです。

ドイツの社会的能力

先日紹介した、高松平蔵著「ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか」に、「社会的能力」の説明があります(156ページ)。
子ども向けスポーツの広告に、運動能力と並んで、社会的能力が促進されることが書かれています。では、社会的能力とは何か。商工会議所が掲げる説明が紹介されています。

1 自己認識と外部認識
自分で自分のことをどう捉えているか。他人は自分をどう見ているかを認識する能力
2 コミュニケーションスキル
まざまな人と関係をつくっていく能力です。
3 異なる視点から見る能力と共感する能力
これも、他者と仕事をしていくために、相手を理解するために必要な能力です。
4 摩擦、批判の能力
仕事がうまく行かないとき、批判されることも批判することもあります。その摩擦、ストレスに耐える能力です。
5 チームワーク
上に述べた1~4の能力は、これに収斂されます。

著者は、日本企業がしばしば求める「体育会系」との違いを指摘します。特に4は、先輩の指示を聞くだけの人物ではダメだということです。
なぜ、商工会議所の解説が取り上げられているか。ドイツでは、日本と異なり、教育と職業がかなり密接です。そして、どの会社に属するかでなく、どのような職業かが重要です。大学に進学しない場合は、職業学校への就学が義務づけられています。職業教育を終えると、試験が行われ、商工会議所が職業資格を発行します。職業人に求められる資格が、定義づけられているのです。

新年度、期待と不安

4月になって、新年度が始まりました。
職場の異動があった人、新しく社会人になった人は、大きな夢と少々の不安とで仕事を始めているでしょう。異動がなかった人も、上司との期首面談や、今年度に処理する仕事の計画を立てて、決意を新たにしていることでしょう。その意識を忘れず、頑張ってください。
週、月、年度という区切りは、仕事を進める上で重要です。区切りがないと、仕事の計画は立ちません。区切りがないと、毎日がのんべんだらりと進んでしまいます。終わったときに、「何をしたんだっけ」と反省することになります。

新入生、職場を異動した人、今年は成果を上げようと思っている人に、参考書を紹介します。拙著「明るい公務員講座」の3冊です。新入生には「明るい公務員講座」、中堅職員には「明るい公務員講座 仕事の達人編」、管理職または管理職を目指している人には「明るい公務員講座 管理職のオキテ」です。
多くの人が悩むことについて、わかりやすく解説しました。高尚なことは書いてありません。普通の職員が悩み、普通にやればできることです。読んでみて、なるほどと思ったらあなたも実践してください。知っていることばかりなら、安心してください。

仕事を、山登りに例えてみましょう。初めて山に登るときに迷わない方法は、地図を見ることと、経験者に案内してもらうことです。この3冊は、その地図になります。経験者については、先輩を見つけて相談しましょう。
悩んでいる同僚や後輩、応援したい職員がいたら、あなたの持っている本を貸してあげるか、教えてあげてください(拙著の宣伝です)。

短い演説の準備

3月18日の読売新聞1面コラム「編集手帳」に、次のような話が載っていました。

・・・雄弁家として名を残す第1次大戦時の米大統領、ウッドロー・ウィルソンにジョークめいた逸話がある。
ある人が10分の演説にどれだけの準備が必要かと尋ねた。大統領は「2週間だね」と答えた。次に1時間の演説ならどうか聞くと、「1週間だな」と答えた。では2時間の演説は? この質問に大統領は笑いながら答えた。「2時間も話していいなら、今すぐ始めてもいいよ」・・・

100%の稼働率は効率的ではない

2月28日の読売新聞、西成活裕・東大教授の「ウィズコロナのあり方 3密解消も急がば回れ」から。

・・・渋滞は時間の無駄です。渋滞学を分野横断的に展開する中で、工場などの生産現場の無駄の排除にも関わるようになりました。
実地のヒアリングによれば、工場の稼働率は30%程度の余裕を持たせた方が効率的です。誤解を受けがちですが、100%の稼働率が最も効率的というわけではないのです。フル稼働だと機械のメンテナンスの時間が取れないし、試作品も作れません。
バケツリレーを模した数理モデルによる解析でも、水の量をバケツの7割とした場合が最も効率的に運べました。

会社などの組織や社会も同じです。その時の環境に完璧に適応し無駄がないと、環境が変化した時に不安定になってしまいます。環境が変わってもそこそこ対応できるようにしておく方が、長い目で見てトータルのコストが少ない可能性が大きいのです。
コロナ禍でも病床不足などの問題が生じました。「見える無駄」を徹底的に排除し、効率を上げようという短期的視点だけを重視すると、有事に対応できません・・・

・・・渋滞学でも、車間距離40メートルを保てるかが渋滞が生じるボーダーラインとなっています。車間距離がそれ以上短くなるとスピードが落ち、後ろの車に増幅して伝わります。その結果、十数台後ろの車を止めてしまうほどの渋滞を引き起こすのです。
つまり、急いでいるからと車間を詰めるほど、時間当たりの交通量は低下します。利他心を発揮し、全ての運転手が車間距離を無駄と思わずに保つ方が結局、目的地に早く着きます。「急がば回れ」というわけです・・・