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地方行財政-地方財政改革

税源交換

8日の経済財政諮問会議に、増田総務大臣が「地方の元気が日本の力第2(地方税財政上の対応)」を出されました。p2、p3で、法人2税を国税の法人税(交付税財源)に移し、代わりに同額を消費税(交付税財源)から地方消費税に移す案を提案しておられます。交付税財源を使った、国税と地方税の交換です。消費税1%分だと、2.6兆円を交換することになります。
地方税総額は変わりませんが、法人2税は東京都の割合が26%、地方消費税だと14%なので、都の税収はその差12ポイント分減ります。それがp2に出てくる3,000億円です。愛知県の減収が800億円。これらの分が、その他の県に回ります。それが、p3の真ん中の帯グラフです。
国の取り分は変わらないので、国家財政には迷惑をかけない案です。ただし、財務大臣は消極的な意見を述べておられます。
なお、国と地方の税源配分の現状は、「税源配分その2」の図1をご覧ください。図の中で、法人課税については、法人2税9.6兆円(青色)から2.6兆円を、法人税の交付税部分(灰色)へ移します。消費税は、国の消費税のうち交付税部分3.1兆円(灰色)から2.6兆円を、地方消費税(青色)に移します。青色(地方税)と灰色(交付税財源)は入れ替わりますが、白色(国の取り分)には影響ありません。
さらに簡単な図を載せました。税源配分その2の図4です。
財務大臣の反論のうち、「3 国と地方の税収比」について質問があったので、解説します。3は、次のようなものです。
「国と地方の業務量の比率(4:6)と税収比率(6:4)との差は、地方交付税などで賄われており、地方に必要な財源は確保されている。業務量の比率に税収比率を近付けるということは、地方税を拡大して、その分地方交付税などを削減することになるとともに、財源超過団体の税収が一層増加することになるため、地域間の財政力格差は一層拡大することになる。したがって、国と地方の税収比については、あらかじめ数値を設定して取り組むべきものではない。」
このうち、前段の「国と地方の税収比6:4と業務量の比4:6の差を、交付税などで賄っている」という指摘はその通りです。地方に必要な財源が確保されていなかったら、大問題です。我々は、交付税と国庫補助金とで「財源を移転していること」を問題にしているのです。
(1)財務大臣資料は、なぜか国庫補助金に触れていません。地方が問題にしているのは、交付税より国庫補助金です。
(2)そして、わざわざ補助金と交付税で国から地方へ移転しなくても、地方税として地方が徴収すればいいのです。国が、国税として徴収し、補助金で地方へ配るというのが、「中央集権システム」なのです。
 後段の「地方税を拡大し交付税を削減すると、財政力格差が広がる」というのも、それだけだと事実です。
(1)まず削減すべきは、交付税でなく補助金です。なぜか、ここでも補助金は触れられていません。補助金は全団体に交付されていますが、交付税は交付団体にしか交付されていないので、それを先に削減すれば格差は広がります。
(2)格差が拡大しないように、今回提案されているような、法人2税と消費税との交換などの知恵を出しているのです。

税収格差

30日の日経新聞経済教室「法人二税を考える」は、片山善博慶応大学教授(前鳥取県知事)の、「格差縮小に国依存は禁物。税源偏在是正急げ、財政調整制度で補完を」でした。片山さんは、知事になる前は、地方税財政の専門家でしたので、論点が明確に整理されています。(10月30日)
31日の日経新聞経済教室「法人二税を考える」は、小西砂千夫教授の「地方消費税と税源交換を」でした。
読売新聞は、青山彰久編集委員が「地方の税収格差是正、税財源全体の充実不可欠」を解説しておられます。

交付税の解説

22日の読売新聞「なるほど経済」は、地方交付税の今年度算定結果を、小野田徹史記者が解説していました。
企業の税収が増えた市は、交付税が減ったこと。これは当然のことです。今年の特徴は、これまで富裕な住民が多く不交付団体だった市で、三位一体改革の影響で個人住民税が減り、交付団体になった場合があったことです。この点も、良く解説してあります。一般の方になじみのない交付税制度を、このように解説してもらえるのは、ありがたいです。
欲を言えば、解説の図が、全団体の合計で示してあります。これを、市町村の例、すなわち裕福な団体と貧乏な団体とを並べて示してもらえれば、なおよく分かったのですが。次回を期待します。

2007.07.04

4日の日経新聞「経済教室」は、神野直彦先生の「国・地方で税財政大再編を。消費税の配分厚く、法人事業税は外形標準化」でした。同じく読売新聞「論点」は、西川一誠知事の「税源の偏在是正、納税者の思いを形に」でした。