岡本全勝 のすべての投稿

新しい仕事34

再チャレンジ支援では、働き方を中心に、日本の単線型社会の問題点を取り上げました。その延長線として、大学教育も、大きな問題を持っているようです。
入学試験が一斉に行われます。それは、資格のある人が随時入学する仕組みではありません。そして、一斉に卒業してくること。これを企業が一斉に採用します。多くの学部で、入学試験は難しいが、卒業試験は簡単なこと。それは、入り口での選別であって、製品(卒業生)の品質が保障されていないこと。企業も、卒業生に専門知識・技能を期待せず、大学名=ブランドで採用すること。その証拠に、文化系では、学部卒も大学院卒も処遇に大きな差がありません。資格を得るところとは、認識されていないのでしょう。
一括採用(入学)同時昇進という、企業と同じ丸抱えシステムなので、大学間の移動がないこと。そして、ある大学で単位を取っても、他の大学で認められることが少ないこと。評価が十分でないので、できないのでしょう。これなんかも、企業とそっくりです。他流試合をしないことは、教授が自校の卒業生で占められていることにも表れています。
そして、日本では威張っているけど、国際的には評価は低いこと。特に文化系です。日本語で授業を行っていることが、致命的だそうです。確かに、国内で威張っている分には、日本語で良いのでしょうが、国際的に開かれ評価されるためには、英語での授業も必要でしょう。もちろん、日本人だけの教授陣も、問題ですね。
大学は、単線型日本の延長線でなく、それとセットになった仕組み、単線型日本社会の入り口です。

2007.02.15

2007年度の国と地方の税源配分全体像を乗せました。課税対象別の大きさと、国と地方の取り分、交付税・譲与税による移譲後の取り分を、一つの箱に入れた図です。2006年度は、2007年度に行われる国から地方への3兆円の税源移譲を加味した試算でした。今回は、それが実現した後の数字です。
この図は、日本の税収総額を、「国が集めて国が使う分」「国が集めて地方が使う分」「地方が集めて地方が使う分」の3つに分けて、一目で見えるようにしてあります。なかなか優れものだと、自賛しているのですが。どうぞお使いください。

税源配分その2

平成19年度
1 2007年度国と地方の税源配分
2007年度予算と地方財政計画を元に、作りかえました。この図1の見方は、国と地方の税源配分(18年度)を見てください。
2006年度試算と違う大きな点は、国地方とも税収が増えていることです。これは、定率減税がなくなったことと、景気回復によって税収が増えたことによります。2007年度では、税源配分は国57対地方43です。交付税などの移転後は、41対59になっています。
今回も、自治税務局職員の協力を得ました。(2007年2月15日)
2 国と地方の財源移転
その財源移転(交付税、国庫補助金など)を図示したのが、次の図2(パワーポイント)です。この図は、ご覧になったことがあると思います。税収は2005年度、歳出は2004年度です、これが直近の数字なので。
右側に、国と地方の税収配分を5:5にするためには、あといくら税源移譲が必要かを試算してあります。
2005年度決算では、8.8兆円。2007年度予算では、6.8兆円です。
この間に、3兆円の税源移譲がありましたが、国地方とも税収が伸び(国の方が大きく伸び)たので、必要額は3兆円縮まらず、6.8兆円になっています。(なお、図1は地方財政計画外税収を含まず、図2は含んでいるので、地方税収額が少し違います。)
3 税収偏在の要因
次に、税収偏在の状況(税目による分析)を、見てましょう。
次の図3(パワーポイント)は、県民一人当たり税収(市町村税を含む)の最大と最小との差を、平成元(1989)年度と平成17(2005)年度とで見ています。最大は東京都、最小は断りがない限り沖縄県です。右へ行くほど、偏在度が高まります。吹き出しで書いてあるのが、主な税目の偏在度です。法人2税が偏在が大きく、個人住民税、固定資産税、地方消費税の順に偏在が小さくなります。
元年度は、税収全体で4.7倍の差がありました。格差を引き上げているのは、法人2税です。9.5倍もありました。
平成17年度では、3.2倍に是正されています。この要因は、地方消費税が導入されたこと、バブルがはじけ都の税収が落ち込んだことです。すなわち、地方消費税は県間格差が2倍です。これが導入されると(増えると)全体のばらつきを引き下げます。次に、都の税収が減少すると(他県はそれほど落ちないので)、県間格差が縮まります。
18年度以降、更に格差が縮小するはずです。それは、まず17年改正で、法人事業税の分割基準を見直し、富裕県から貧乏県に税収を移しました。この影響は18年度から出ています(まだ決算が出ていません)。次に、19年度に税源移譲をする際に、個人住民税を10%の比例税率にしました。これで、都など富裕県より貧乏県の方が税収が増えます。このような制度改正の効果が、出てくるのです。もっとも、都の税収が急激に増えれば、バブルの時のようなことが起きる恐れがあります。しかしそれは、都がますます金持ちになるのであって、貧乏県がますます貧乏になるのではありません。
4 今後の考え方
今後税源移譲をするとして、どうすれば偏在が少なくなるか、考えてみましょう。
図3から言えることは、法人2税を増やすと、偏在度が大きくなります(図では、「全体」という目盛りが右に行きます)。地方消費税を増やせば、偏在度は小さくなります(「全体」という目盛りは左に動きます)。個人住民税を増やしても、偏在度は縮小します。(法人2税を減らしても、偏在度は縮小します。)
(2007年4月28日。今回も自治税務局と、福田補佐の協力を得ました。)
5 増田プラン
2007年11月8日経済財政諮問会議に、増田総務大臣が、法人2税と消費税の交換を提案されました。
詳しくは、地方財政改革の動き2をご覧ください。
それを簡単な絵にしたのが、図4です。
(2007年11月12日)

新しい仕事33

15日の日経新聞は、未就学児を持つ専業主婦の95%が再就職を希望していると(リクルート社の調査結果)伝えていました。また、育児・介護支援制度を利用している部下を持つことについて、約7割の管理職が抵抗感はないと答えていると(日本能率協会の調査結果)も伝えていました。

2007.02.15

今日は、月刊「ESP」の座談会に出ました。お話をしていただいたのは、大沢真知子日本女子大学教授、樋口美雄慶應義塾大学教授、山岸秀雄NPOサポートセンター理事長で、私は司会です。座談会というのは、各人の放談会になったり、議論が発散したりすることもあり、なかなか難しいものです。まとまったらまとまったで、知っていることばかりで、時間の無駄だったり。今日は、テーマが再チャレンジで、うまくまとまるかどうか心配していました。でも、その心配は杞憂でした。
もっとも、私が考えていたシナリオは、半分しか役に立ちませんでした。先生方が、いろんな実のあることを教えてくださり、司会者がシナリオを外れて質問をしたので。原因は私です、ハイ。活字にするには加筆が必要で、これまた労力がいります。発行は、3月とのことです。