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封筒を使った書類の整理

連休を利用して、書斎の書類整理を試みています。平日にゆっくりと読めない切り抜きや、いつか役に立つだろうという資料などが、書斎の机の上で山になるのです。まずは捨てることですが、残った書類や使用中の書類をどうするかです。これらも、それぞれの山になっていきます。
(まずは封筒に入れる)
原稿の資料や講演会の資料は、それぞれに封筒に入れて整理してあります。封筒の表に年月日と題名や講演会の場所を書いてあるので、これは一目瞭然です。職場に来たA4が入る封筒を再利用するのが便利です。結果として色が違っているので、整理に便利です。
よく使うものは、封筒の上の部分を切って、書類の一部が見え、すぐに取り出せるようにしてあります。
(封筒を箱に入れる)
次に、この封筒を並べます。かつては、職場の引き出しや棚に整理していたのですが、今は家の棚に並んでいます。封筒は立てると倒れるので、平積みになっていました。この山は大学院講義資料、次の山は原稿類、その次の山は慶応大学講義用というようにです。
今回、整理用の箱(ふたのない容れ物)を買ってきて、そこに整理することにしました。ファイル・ボックスと呼ばれているようです。それぞれをこの箱に入れ、本棚に並べました。これで、かなりすっきりしました。すぐに取り出せますし。このような整理方法は、皆さんしておられることでしょうが。
(整理では片付かないもの)
問題は、「未処理」の箱に入ったもの、なお机に積まれている未処理の書類です。これは、整理の問題でなく、早く読まなければなりません。

経済財政諮問会議の効果

内山融先生が「小泉政権ーパトスの首相は何を変えたのか」(中公新書、2007年4月)を、出版されました。小泉政権の意味を、政治学的に分析したものです。いくつも興味深い分析がされていますが、ここでは経済財政諮問会議についての分析を紹介します。
先生は、小泉総理が、諮問会議を政策議論の中心的アリーナとして位置づけるという「場の変更」を行ったことで、次の6つの機能を持ったと指摘しておられます。
1 議題設定の主導権の移動
官僚が主導権を持っていた議題(政策課題、争点、アジェンダ)設定を、諮問会議が握ったこと。官僚が議題設定すると、彼らの不都合な争点は取り上げられない。それが、「骨太の方針」に見られるように、各省のいやがるテーマが議論に上ることになった。
2 政策コミュニティの開放
これまでは、官庁と族議員が閉鎖的な政策コミュニティを構成し、政策決定を独占していた。典型が、予算編成。これに対し、諮問会議は「予算の全体像」「骨太の方針」によって、大枠をはめることになった。
3 議題の統合
これまで、各省が縦割りでバラバラに議論されていた政策が、全政府レベルで統合され優先順位や体系政も配慮されるようになった(これについては、私は先日、諮問会議の企画部機能で指摘しました)。
4 政策決定過程の透明化
これまでは、官僚と族議員によって密室で、政策原案が決まり、閣議決定で公になるときには、政策プロセスは終了していた。諮問会議では議論の過程が公開され、政策決定過程やだれがどのような主張をし、どのような対立があるか、国民に見えるようになった。
5 首相裁断の場の提供
対立の構図の中で、首相裁断の場が提供された。また、小泉総理は裁断をした。
6 外部からのアイデア注入
民間委員を登用したことで、既得権益のために固定化した政策を転換する、新しいアイデアを取り入れることができるようになった。

非常にわかりやすい、優れた分析だと思います。先日、私は諮問会議の「企画部機能」を書きました。それは、行政機構論としてです。先生の指摘は、日本の政治、政治過程論、政治権力論からのものです。私も、いずれ書こうと思っていたのですが、先生の分析を紹介することで、それに代えます。次に書くとしたら、違った角度から書く必要がありますね。
ここでは、諮問会議のさわりを紹介しましたが、本にはもっといろいろ優れた分析が書かれています。小泉政権・小泉改革について、いくつも本が出ていますが、最も優れたものでしょう。新書にはもったいないくらい、重い本です。日本の政治に関心ある方には、必読の書でしょう。

改革指向型論文

前川聡子先生らの編著になる「社会保障一体改革への途」(2007年5月、清文社)が、出版されました。
年金、医療、介護、社会福祉、公的扶助について、現状・課題・改革への青写真が論じられています。日本の社会科学は、過去の分析と仕組みの解説に偏していますが、このように社会保障など経済財政政策分野は、改革指向型の論文が増えてきています。

有意義な連休?

今週も終わり、明日から連休ですね。9連休という方も多いのではないでしょうか。小生も、特段のことがない限り「職場に出てくるな」と言われています。でも、たまった書類の整理や、原稿書き、授業の準備で、「有意義な休み」を過ごせそうです。とほほ。