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梅雨の中休み
東京地方は、今日も快晴。とても、梅雨とは思えません。昨日が、夏至だったそうです。
雨が降らないので、家の椿と夏椿に、水をまかないといけません。夏椿は、次々ときれいな花を咲かせています。幹の3分の2が枯れたのは、どうやら、水やりがたらなかったからだそうです。お向かいのSさんのご主人の見立てです。木には、すまないことをしました。
国力と世界秩序
19日の朝日新聞「日米安保条約発効50年」、加藤良三前駐米大使の発言から。
・・冷戦が終わり、世界ではBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼ばれる国々が台頭してきた。しかし、中国は、日本など先進民主主義国とは、社会システムや価値観などが明らかに異なる。最近、話をした米国の知識人は、おしなべて中国が傲慢さを増していることを懸念していた。アヘン戦争以後、中国は被害者意識を持っている。そこから脱却するために米国とは、戦略的提携ではなく、最終的には追いつき追い越そうと考えているようだ。
先進民主主義国側は、BRICsが民主主義や人権などのルールを受け入れるよう、エンゲージメント(関与)政策をとってきた。成否は、両者間の国力の相関関係で決まる。
先進民主主義国側が成功するには、軍事力や経済力を含む国力で優位を保ち、価値観や文化、ライフスタイルなどで主流派であることを維持しなければならない・・
人は失敗で進歩する
ギリシャの財政危機に端を発した、ヨーロッパの共通通貨ユーロの暴落が、ユーロ制度に対する不安をもたらしています。20日の日経新聞は、1面で「通貨混沌-ユーロ不安と世界」の連載、読書面では「ユーロ体制、危機に直面」の特集でした。他方、経済面では、太田泰彦編集委員が「災い転じてユーロ進化論」を、書いておられました。
・・単一通貨制度が近く崩壊するという予言や、地域統合を目指す壮大な実験が失敗に終わったと断じる論評もある。本当にそうだろうか。
たとえば老舗のプライベートバンク・・独メツラー銀行の共同経営者、ヴィースホイ氏は「ユーロの仕組みに対する一般の認識が深まり、制度改善の土台ができた」と語る。80歳になるコール独元首相も、珍しく口を開いた。「欧州統合は戦争か平和かの問題であり、ユーロが平和を保証している」・・
ユーロは、主権国家はそのままに、通貨発行権を上部機関に委ねるという壮大な実験です。神ならぬ人間がつくった制度、しかもいろんな妥協を重ねた「実験」です。最初から、完璧なものはできません。まさに、試行錯誤。いろんな問題を解決しながら、進んでいくのでしょう。
問題をあげつらうだけでは、あるいは問題があるからといって踏み出さないなら、進歩はありません。2008年の世界金融危機に発する世界同時不況を、大恐慌に陥ることなく、ほぼ克服しました。これは1929年の痛い経験があったからです。そして再発を防ぐため、金融監督制度は、改善が検討されています。
制度が問題なく運営されている時は、制度が非常に良くできていて、問題を発生させない場合や問題が起きても吸収できている場合のほかに、たまたま問題が顕在化しなかった場合があります。それらの場合は、制度を改善・改革しようという動きは出てきません。改善・改革は、問題が顕在化した時に進むのです。
鎌田京大教授の活躍
鎌田教授が、また本を出されました。「中学受験理科の王道」(2010年、PHPサイエンス・ワールド新書)です。先生は「科学の伝道師」を名乗っておられますが、そのウイングが、さらに広がっています。
また、紀伊国屋大阪梅田店で、6月21日から1か月間、「鎌田浩毅が選ぶ一生モ ノの古典」フェアを、行うそうです。先生は、週刊「東洋経済」で「一生モノの古典」を連載中です。その50冊に加えて、世の中の人に読んで欲しいと思う古典を、計220冊選んだそうです。
「東洋経済」の連載は、私も時々読んでいますが、まあ、たくさん読んでおられますね。文系の私が恥ずかしくなるくらい、思想、哲学や社会学の古典を読み込んでおられます。