私は、若い人たちに、「他流試合」の勧めを、説いています。
同じ職場や同じ業界、気心の知れた人と話すのは、それはそれで勉強になります。しかし、違う仕事や違う立場の人と話すことは、もっと勉強になります。私たちの知らないことを、学ぶことができるからです。また、当方の話をして、理解してもらえない場合も、なぜ通じないかが、勉強になるのです。
話が通じないのは、多くの場合、私たちの話が独りよがりであったり、業界用語であるからです。ノーベル賞ものの研究でも、周りの人に理解してもらえないと、評価はされません。まして、私たちの仕事は、住民や国民が相手です。「誰もわかってくれない」では、困るのです。
マスコミの人たちとも、同様です。「記者さんは、わかってくれない」というのは、記者の側に原因があっても、良い結果を生みません。勉強に来ている記者さんにすら説明できないようでは、住民にはわかってもらえないですよね。
もちろん、身内の人と話すのは楽で、特に話を聞いてくれる人はありがたいです。飲んでいると、楽しいです。自分が大将になった気分でも、あるいはお互いに傷をなめ合っている場合でも。しかし、進歩は少ないです。それに引き替え、他流試合の場合は、緊張し、苦労します。それが、役に立つのです。
若者諸君、身内と飲んでいるくらいなら、他流試合に出かけましょう。