『現代日本の公務員人事』

現代日本の公務員人事-政治・行政改革は人事システムをどう変えたか』(2019年、第一法規)を紹介します。この本は、稲継裕昭・早稲田大学教授の還暦記念論文集です。先生にゆかりのある方による、共同研究の成果です。

はしがきに、次のように書かれています。
・・・戦後半世紀もの間、日本の発展を支えてきた社会経済システムは、21世紀の到来を前に深刻な制度疲労に陥り、内外の大きな情勢変化に的確に対応することが困難となった。そこで、1990年代から「明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革」というスローガンの下、様々な制度改革が連続的に行われてきた。
本書の狙いは、そのような一連の改革を経験した日本の公務員人事システムがどのように「変化」したかを多角的に捉えることである・・
そして、様々な観点からの分析が集められています。

公務員人事行政も、近年いくつも改革が行われるとともに、期待される役割、社会での位置づけなどが変化し、過去の教科書が使えなくなりました。さらに、政治主導の強化とともに、特に国家公務員がかかわる不祥事・不正が続き、制度でなく実態や運用の変化も大きくなっています。そして、その変化はさらに続くでしょう。
この本は、時宜を得たものです。ありがとうございます。

稲継先生は、公務員経験もあり、日本の公務員人事を研究してこられました。そして、行政関係の著作もたくさんあります。そのエネルギーに感心しつつ、このホームページでも紹介してきました。
これだけの研究者が集まり、還暦記念論文集を出版してもらえるのは、稲継先生の人徳ですね。