モノとコト

モノとコトという表現、あるいは「コト消費」という言葉を、聞かれたことがあるでしょう。でもコトって、何の意味かわかりますか。いろいろ考えてみました。専門家はまた違った解説をするのでしょうが、門外漢の私の理解を説明しましょう。

まず「コト消費」から。
ウィキペディアによると、コト消費は「一般的な物品を購入する「モノ消費」に対し、「事」(やる事・する事、出来事=出来る事)つまり「体験」にお金を使う消費行為のことで、特に非日常的(アクティブ)な体験が伴う経済活動を指す」とのことです。
体験型の消費とは、一方的にサービスを受ける、例えば散髪などと異なり、消費者が参加する体験型のサービス商品ということでしょう。
でも、そのような視点から商品を分類すると、モノとサービスがあり、そのほかに権利とか情報なども商品として扱われます。このサービスの中から、体験型の商品を特に「コト消費」と名づけたのでしょう。商品として売る際には、わかりやすいのでしょうが。

かつて、社会学の先生に、その違いを教えてもらったことがあります。「モノ」と「コト」の区別は、もともとはアリストテレスなどにある言葉だそうです。人間の外に実在するのが「モノ」、人間の心の中にあるものが「コト」で、過去や未来、観念などです。
それはひとまず置いて、現代社会を観察する際のモノとコトの区別は、私の理解では次の通り。
質量があるのが「モノ」、質量がないのは「コト」。コトとは、モノとモノの相互作用のこと。

社会科学は、「人(個人)とその関係」を研究します。モノに当たるのが「人」で、コトに当たるのが「人と人との関係」です。
自然科学、特に物理学では、対象を物質と運動に分解して考えます。物質がモノで、運動(これも物質間に働く力で関係と見ることができます)がコト。
厳密な科学的説明ではありませんが、私たちが世間を理解する場合には、このような切り口が有用でしょう。