日本の電機産業の衰退

2月10日の朝日新聞連載「平成経済18」は、「総合電機、解体への歩み」でした。
戦後日本の成功を象徴する産業だった電機。テレビ、ビデオ、パソコン、そいて半導体など、世界の最先端を行っていました。それがいまや、見る影もありません。この記事は、その実情を報告しています。
電機メーカーは残っていますが、売っている物は大きく変わりました。ある人に聞くと、「秋葉原がその象徴でしょう」とのこと。かつて電気街だった秋葉原は、今行くと電気店はなく、オタクの聖地になっています。

「選択と集中に失敗した」「先の見通しが甘かった」と言えばそれまでですが。それらは、後から言えることであって、当時の当事者は夢にも思っていなかったでしょう。
成功の次に、あるいは成功の影に、失敗が待っています。

それはさておき、ここで紹介したいのは、その記事に付いている「電機大手の従業員の推移」のグラフです。2008年に約160万人だったものが、2018年に約120万人に減っています。日立、パナソニック、三洋電機(途中で消滅)、ソニー、東芝、富士通、三菱電機、NEC、シャープです。
意外です。4分の3に減っていいます。しかし、それしか減っていないとも取れます。壊滅的状況ではないのです。関連会社などは、大幅に減っているのでしょうが。

「平成の日本は失敗の時代だった」と呼ぶ人が多いです。確かに、経済成長や支配的産業の面で、トップクラスから落ちたことは事実です。栄光の時代から低迷の時代へとです。
ところが、経済成長率も低いながらプラス、そして失業率も低いのです。いくつもの問題を抱えつつ、社会は安定しています。
後世、「あの時代は、そこそこよかったな」と言われるかもしれません。