専門人材派遣

企業などから、専門人材を被災地に派遣する取り組みに、「WORK FOR 東北」があります。この試みは、復興庁が昨年から始めたものですが、今年は日本財団が主体となって運営しています。昨年度に17名を送ることができ、今年度の第1四半期(4月から6月まで)に、さらに17名を送ることが決まりました(発表資料)。
さまざまな経験を持った人たちが、産業支援、観光、商業支援、住民支援などの業務に従事しています。7月9日に説明会があり、その場で行われたパネルディスカッションの模様が載っています。派遣する企業、派遣された人材、受け入れた自治体の方による発表です。
これまで、官と民との関係といえば、会社との関係では、役所から業務を委託する契約相手でした。人材では、例えば弁護士を雇うとか、限られた専門人材を雇用する程度でした。今回の復興では、企業と一緒に取り組む、職員も専門技能を活かして一緒に働いてもらうという試みが広がっています。というか、広げています。
政府部門が公共サービスを提供し、企業が民間サービスを提供するのではなく、官(政府)・私(営利企業)・共(非営利活動)という3主体が公共サービスを提供するという考え方を、「被災地から見える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ」(共同通信社「47ニュース、ふるさと発信」2012年8月31日)で説明しました。第2章1に付けた図を、ご覧ください。
産業復興などの専門人材とともに、民間から来て現地で活躍しているのが、復興支援員・生活相談員です。また、被災地復興支援に取り組んでくれている企業も多いです。このページでも、いくつか紹介しています。もちろん、まだ新しい試みであり、住民や自治体の意識をすべて変えるまでには至っていません。一種の「意識革命」ですから、困難もあります。しかし、成功事例を積み重ねることで、国民に広く受け入れてもらえるようになるでしょう。