カテゴリー別アーカイブ: 2017年秋学期・地方自治論Ⅱ

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第10回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの講義。早いもので、10回目です。そこで、これまでの講義を振り返って、どのような視点で見ると分かりやすいか、どこが要点かを説明しました。
これまでに配ったレジュメを読み返し、教科書を読み直すと、全体像がよくわかります。最初読んだときには難しかった部分も、今読むと「なるほど」と思えるでしょう。部分を深めるだけでは、理解は進みません。常に、全体と部分を意識し、行き来しながら勉強してください。これは、本を読む際も同じです。少し読み進んだら、目次を見て、今どこを進んでいるのかを再確認しましょう。

特に地方財政は、個別自治体の財政と、1700団体全体の財政があります。ミクロとマクロです。そして、それを地方財政計画や交付税がつないでいます。さらに、日本経済の大きな部分を占める役割と、行政サービス提供・地域の均衡ある発展といった政治としての役割があります。財政は、経済と政治の接点です。このように、視点がいくつかあるのです。

今日は、地方債と公営企業、第3セクターを説明しました。鉄道、バス、下水道、病院など、身近なサービスを説明するので、学生も取っつきやすいでしょう。自治体が、様々な事業をしていることに驚く学生が多かったです。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第9回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第9回目でした。
地方交付税の果たしている機能について、説明しました。あわせて、戦後日本の発展について、政府の政策と効果についても。
1950年代以降、工業化の進展と経済成長にしたがって、太平洋ベルト地帯への人口集中が進み、過疎と過密が進みました。また、商工業と農業との所得格差も。
政府は、産業政策(米の買い支え、工場再配置)と、公共政策(公共事業、国庫補助金、地方交付税による均霑化)を行いました。これによって、地方でも働く場を確保することとともに、全国各地で一定水準のインフラと公共サービスを提供しました。しかし、過疎と過密を解消することはできませんでした。

もっとも、交付税による財源保障と財政調整がなければ、豊かな地域と貧しい地域で、もっと大きな差がついていたでしょう。
中国やアジアの国の政府関係者が、日本の交付税制度の勉強に来られ、説明したことを思い出します。彼らにとっても、切実な課題だったのです。「これらの政策で、どの程度成功したのか」とか「日本は、このほかに人口移動を制限していないのか」という質問もありました。

その後、国際化でこのような産業政策は無理になり、財政の逼迫で公共事業も削減が始まりました。
バブル崩壊とアジアの追い上げで、日本は、産業・経済・社会で新しい局面に入りました。その転機が、1990年~2000年代でした。社会の変化や国際化が、経済と財政に影響を及ぼすこと、そして行政の役割が変わることも、話しました。
教科書に書かれていない話、視野の広い話なので、学生からは「おもしろかった」との評価をもらいました。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第8回目

10日金曜日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第8回目でした。
先週の地方財政計画の解説に続き、今日は地方交付税の解説をしました。この分野は、かつて私の専門分野でした。説明に力が入ります。
詳しく話すと複雑になるので、なるべく簡単に話したつもりですが。

学生のアンケートをみると、地方交付税の算定方法は、理解してもらえたようです。地財計画の歳入歳出を1700団体に輪切りにしたのが、基準財政需要額と基準財政収入額であること。多くの自治体が交付税の交付を受けていることや、不交付団体がどのような税源で税収が多いかなども。
基準財政収入額の算定の際に、税収の全額ではなく75%を算入することについて。「難しかった」という人は、例えば神野・小西『日本の地方財政』p104以下を読んでください。

学生諸君
来週24日は、学園祭でお休みです。次回(12月1日)授業は、この積み残しをお話しした後、地方債の話に入ります。準教科書は、地方債の部分を読んできてください。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第7回目

10日金曜日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第7回目でした。先週は祝日で休みだったので、リズムが狂いますね。
講義は、調子が出て来ました。レジュメと資料は印刷して配布しますが、ポイントは黒板に書きながら説明します。これが、学生によくわかってもらえる方法のようです。
資料を配って説明するだけでは、眠くなるでしょう。板書だけでは、「私の字が読めないところ」もあるでしょう。それにしても、小学校や中学校、高校の先生方は、黒板に、丁寧にきちんとした文字や図表を書いておられましたね。

前回から、日本経済の中での政府の役割を話しています。
今回は、中央政府と地方政府の、予算の大きさ、その内訳、両者の関係を解説しました。国の予算編成の仕方や、地方財政計画を見積もる方法なども。
これは、学生諸君には初めて知ることだったでしょう。「国の税収がこれだけも地方に交付されていることを知りました」「国の直接の歳出って、少ないのですね」といった感想が多かったです。
では、なぜこのような仕組みが必要か。それについては、次回詳しく説明します。
「こんなに借金して、大丈夫ですか」という質問も多かったです。これも、12月には説明しましょう。

学生諸君
授業で教えた新聞の読み方は「わかる日経」を参考にしてください。例えば、読むのにかけている平均時間は30分、20%の人は15分です。p14左下。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第6回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第6回目。まず、地方財政論が、政治学(行政学それも地方行政論)と経済学(財政学)の、両方の接点にあることを説明しました。今学んでいることが、地図で言うとどのあたりにあるのか。それを理解すると、物事がよく見えます。
これは、本を読むときも同じです。時々は目次を見て、今全体の中のどこにいるのか、議論の流れを理解すると、本文の理解が進みます。
そして、先週もたくさんの質問や反応があったので、その説明をしました。学生の質問票を読むと、どこが理解されてどこが理解されていないかよくわかります。

授業の本論は、地方財政と国家財政の規模や役割分担を説明した後に、国民経済の中で政府部門がどのような地位を占めているのか、モノ・サービスの提供とお金のやりとりの中でどのような位置にあるのかを説明しました。そして、財政の3機能も。
これらは、「よくわかった」と学生からよい反応がありました。企業と家計との関係では、モノ・サービスの提供と代金は一対一の関係(取引)にあります。政府も、ものを買ったり公務員を雇用する場合はこの関係にあります。
しかし、政府の重要な機能、税金を集め公共サービスを提供する場合は、それが一対一の関係にはありません。それどころか、貧しい人からは税金を集めず、より多くの福祉サービスを提供します。
黒板に、図を書いて説明することが、学生にはよくわかってもらえるようです。