空気を読んで違うことを言う

しばしば「空気を読む」、あるいは「空気が読めない」と言われます。
その場の状況を理解して、自分が何をするべきか、何をしてはいけないかを判断することです。多く使われるのは、「空気が読めない人が困る」という場合です。

確かに、その場の議論とは全く違った話をするような人は困ります。でも、そのような場合には、「空気が読めない」とは言いません。大勢の方向が見えてきた場合や上司の意向が見えてきたときに、それに反したことを言って「逆らう」場合のようです。
「空気を読む」人は、上司の意向を先読みして、「ヨイショ」をしてその方向に持って行きます。度が過ぎると、忖度になります。
しかし、それは正しいことでしょうか。十分な検討をせず、すなわち反対意見を検討せず、結論を急ぐ。空気に従うことは、判断を誤る元です。

職場での議論は、試合での応援や、飲み会での盛り上がりとは違います。ヨイショ~では困ります。
正しい職員の在り方は、空気を読んで、ひとまず違ったことを考えて発言することだと思います。空気を読んで賛成する、あるいは黙っていることは、楽なことです。それに対し、反対意見を考えることは、しんどいです。
みんなが思ってもいないような角度から、問題点を指摘する。正しい結論を導くためには、必要なことです。上司としては、そのような指摘をしてくれる職員はありがたい職員です(もっとも時には、自説に反対する部下を疎ましく思う上司もいるので、そこは要注意です)。
そのためには、上司から早々と「これでよいよな」と、部下に結論を押しつけないことです。そう言われると、部下は「いいえ」とは言いにくいです。

拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』P79で、「悪魔の代理人」をお教えしました。問題点を指摘するのは、反対するためでなく、結論を補強するためです。もちろん、指摘した問題点にみんなで答えることができない場合は、原案がまちがっているのでしょう。
その場の空気を読むだけでなく、社会全体の空気(世間からどう見られるか)と将来の空気(10年後はどう評価されるか)という、離れたところの空気を読むことが重要です。