砂原教授、政策会議の分析

季刊『行政管理研究』2020年3月号に、砂原庸介・神戸大学教授他による「政策会議は統合をもたらすか―事務局編制に注目した分析」が載りました。ここで取り上げられる政策会議は、首相を長として閣僚や有識者が参加して議論する会議です。

これまでも、中曽根政権での第二次臨時行政調査会、橋本政権での行政改革会議といった審議会や私的懇談会がありました。小泉政権では、経済財政諮問会議が有名です。
安倍政権になってから、首相を長とする、特定課題の会議が、たくさん作られています。「内閣に置かれた会議一覧」。その事務局が内閣官房に置かれます。「内閣官房組織図

2001年省庁改革以降の政策会議の増加や内閣官房・内閣府との関係、政策の統合からの観点などが、よく整理されています。
小泉政権での経済財政諮問会議と、安倍政権での各種政策会議とは、全く機能が異なっています。
小泉首相は、この会議を使って、与党や各省の既得権に切り込もうとしました。反対者を押さえ込む手段として使いました。安倍首相の場合は、そのような与党や各省との対立は見られません。
また、経済財政諮問会議は、それまでの審議会が個別分野ごとに議論していたものを、一つのテーブルに載せることで、総合調整をしようとしました。社会保障と税財源との議論が一緒に行われたのです。一緒に行えたのです。それに対し安倍内閣の政策会議は、個別課題ごとに設置され、政策の統合機能はありません。

かつて、審議会は「官僚の隠れ蓑」と批判され、省庁改革の際に大幅に整理統合するとともに、役割を制限しました。私が担当参事官でした。拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』(良書普及会)2001年2月号、7月号。
審議会は、「官僚に決定権はない、しかし政治家が決めてくれない。そこで審議会という形を取って議論を整理し、その結果を政策とする」という、官僚主導の時代の手法でした。政治主導になると、首相や大臣の下で、官僚機構を使うのか、有識者も入れて議論するのか、どちらかによって意見の集約をするのでしょう。このほかに、与党で議論を集約する方法もあります。