今日は3月19日。9年前のこの日から、東日本大震災被災者生活支援本部が本格的に活動を始めました。
時あたかも、新型インフルエンザが単なる病気を超えて、社会に大きな被害を与えています。9年前の経験を振り返って、いくつかの論点を書いておきましょう。
1 まず、体制です。
被災者支援本部では、官房副長官や大臣らと事務局幹部による本部会合と、官僚による事務局の2層制にしました。事務局は、各省から、一定の分野に土地勘のある官僚を集めました。
本部は、意思決定をする場です。事務局は、そこに提案する事案の整理と、決定された事項の実施です。
本部会合は、毎日時間を決め、集まれるメンバーで行いました。大臣たちは忙しく、こればかりにかかわっているわけにはいきません。ある程度、事務局に任せてもらわないと、仕事が回りません。
また、総理と政治のリーダーシップは重要なのですが、総理や与野党には、少し離れたところからこれら本部の動きを見ていていただき、欠けている点を指摘していただきたいのです。もちろん、マスコミも同じです。「ここが足りない」という指摘が、対策本部と事務局にはありがたいのです。
2 政策分野と優先順位
何をしなければならないか。それを整理することが重要です。前例がないことなので。
今回のウイルスも同じです。病気対策や蔓延対策だけでなく、外国との往来の制限、経済対策と(悲鳴を上げている)産業対策、学校対策、フリーランスや困っている弱者対策など、多岐にわたります。
それら課題と、何をするかを整理して、本部会合に示し、さらには国民に示す必要があります。
それを、一元的にする事務局とその責任者が必要です。
そこには、担当する役所がはっきりしている分野と、そうでない分野があります。フリーランスや困っている弱者対策は、担当する役所はないでしょう。セーフティーネットからこぼれ落ちる人たちを、どのように拾うかです。残念ながら、国の省庁は供給者側からできています。
3 緊急対策と長期見通しと
実施する対策には、いま急がなければならない対策と、中長期の見通しがあります。
対策は、きちんとしたものを決めることは困難です。走りながら考えるのですから。感度よく、そして柔軟に変える必要があります。そのためには、情報が上がってくるように、仕組みを整える必要があります。
被災者支援事務局では、各分野を担当する職員の他に、漏れ落ちた課題を拾い新しい部門をつくることを検討する(企画担当)職員と、その部門の職員たちを集める(人集め)職員も配置しました。
この次に何が起こるか、何が必要かを考えること。特に今回は、国民にそれを示す必要があるでしょう。
また、長期戦になるとするなら、その時間軸と、どのようにして次の段階に行くのか、また終了させるかも重要です。