あなたが休んでも仕事は進むか

4月9日の日本経済新聞夕刊「連休前、情報共有は具体的に 属人的な仕事を解消」が載っていました。
この記事は、長期休暇後に職場に復帰する際の、要点を取り上げたものです。
その点とともに、長期休暇を取る要点として読むと、有意義です。すなわち、これまでの日本の職場では、職員は休まないことを前提に、仕事が進められていました。
今後、働き方改革が進むと、休暇、長期休暇も当然のこととして、仕事をしなければなりません。それは、職員本人とともに、職場・上司の意識と仕事の仕方においてです。
「Aさんがいないから、あの件がわからない」といった事態が、起こらないようにするのです。

次のようなことが紹介されています。「山ごもり休暇」という9日間連続の休暇を義務づけている会社の、営業課長兼新卒採用責任者の広遥馬さん(26)です。
・・・「自分がいなくても回るように、誰に何を委任するか、どんな対応が必要かを具体的に書くように工夫している」と話す。広さんは対面で指示を伝えながら担当する顧客10社を3人に、学生対応を1人の社員に引き継いだ。各顧客にも事前に「この期間は不在です」と伝え、1カ月前から引き継ぎ相手の同僚も含めてメールのやりとりを進めた。顧客も同社の制度を理解してくれるようになったという。
山ごもり休暇のねらいはまさにここにある。9連休中は電話やメールの連絡を禁止しているため、事前の引き継ぎで業務を棚卸しして共有し、属人的な仕事をなくすことを目的としている。社内の共有サーバーに引き継ぎ専用のExcel形式のファイルを設けており、誰でも閲覧できるようにしている。広さんも休みに入る3日前までには旅程と引き継ぎ資料を共有した・・・

引き継ぎ書をつくっておく、関係書類が部下や同僚もわかるように作っておくことは、長期休暇の場合だけでなく、ふだんの休暇や病気の際にも役に立ちます。
かつては、係ごとに全員で業務を処理していましたが、近年はパソコンが普及し、個人で仕事をすることが増えました。気をつけないと、Aさんが何をしているか、周囲の人にとってわからなくなるのです。上司にとっては、難しい時代になりました。
そして、いつでも引き継げる状態にしておくことは、本人にとっても、自分の処理している業務を、客観的に見直す機会になります。