「あなたが大うそつきか、日本の財務省が狂っているか、どちらかだ」

日経新聞夕刊「人間発見」今週は、ウェルスナビ社長の柴山和久さんです。柴山さんは財務省在職中にアメリカのハーバード大学に留学し、アメリカ人と結婚します。その後、イギリス財務省に出向します。
13日の記事「日本の働き方、妻に通用せず。官僚辞め仏の経営大学院に」から引用します。
「帰国し財務省主計局の課長補佐に。働き盛りで帰宅は連日深夜。それが当たり前と思っていたが、米国人の妻にはそんな日本の官僚の生活がまったく理解できなかった」という書き出しです。

・・・英国財務省に出向していた時も、日本の財務省に戻ってからも、仕事は同じ予算作りです。英国時代、勤務時間は10時から16時まででした。それが帰国後は日付が変わっても帰ってこないし、泊まり勤務も珍しくない。日本の官僚社会では、それが普通だと説明しても、妻はまったく聞いてくれません。「あなたが大うそつきか、日本の財務省が狂っているか、どちらかだ」。
もう辞めるしかないなと思いました。妻の言い分も、もっともだと思ったからです。例えば日英に共通した官僚の仕事に、国会での野党議員の質問対応があります。日英ともに議員は72時間前に質問内容を通告することになっています。英国では時間通りに通告があり、48時間前には官僚の手で答弁資料が作成され、24時間前には大臣に渡されます。十分に吟味し、準備する時間がありますから、野党議員と大臣の国会での議論は中身の濃い、見応えのあるものになります。
日本では72時間前に質問内容を通告する野党議員は、まずいません。多くは前日の夜遅くです。それから答弁資料を作成し、大臣に説明し、慌ただしく討議に入るのです。準備不足の大臣を立ち往生させ、失言を引き出すのが狙いなのでしょう。ただ、私自身も、妻と歩調を合わせるように、非効率きわまりない仕事に、どこかむなしさを感じ始めていたのも事実です・・・