被災者支援本部事務局が3月20日に発足して以来、3か月が経ちました。このホームページでも紹介してきたように、最初は混乱の中での立ち上げで、仕事もどれから手をつけたらよいかわからないくらいの忙しさでした。その後、5月21日の記事にも書いたように、仕事の内容はおおむね3つの時期を経ました。
被災者支援としてはいろいろと行き届かない点もあったと思いますが、事務局の仕事の運営としては、そこそこうまく行ったと自己採点しています。それは、次のような点です。
1 政務職と事務職による運営会議
政務職(職業政治家)と事務職(職業公務員)が、定時に集まり議論する形を取りました。責任を持つ政務職と、制度知識を持つ事務職が、協力する場です。そこに持ち込まれる問題点を検討し、事務職が回答する、各省にかかわる事案は各省に指示を出す。いわゆる司令部としての機能が、有効に働いたと思います。もちろん、各省の協力があったからです。
課題と方向は政務職が指示する、その処理は事務職が行い報告する。きちんとした役割分担ができました。
しかも当初は毎日開催し、出された課題は翌日回答が原則です。調べてもわからない数字や調査に時間がかかる実態は、「不明」として報告しました。直ちに処理できないものも、とにかく早く対応することが原則です。
政務職は防災大臣、総務大臣、官房副長官であり、関係深い事案を責任を持って議論できました。また事務職も、各省から政策を担当している課長・企画官が集まり、効果的な議論はもとより、分担を超えて各省に直結する役割を果たしてくれました。
すなわち、この会議で、責任ある回答を、迅速に行うことができました。
2 何でも引き受け各省に指示を出す仕事の仕方
事務局は、自ら事業をしていません。発災直後は、物資を調達し配送するという事業は行いましたが、主な仕事は持ち込まれる問題の解決を各省に指示することです。事務局は、形式的な権限や予算を持っていません。実際の事業は、制度と予算と知識を持っている各省に任せることが、効果的です。事務局がそれをやろうとすると、各省との二重行政になり非効率です。
ただし、被災者支援にかかわることなら、何でも引き受けました。事務局に聞けば、持ち込めば、回答がでるなり担当省につないでもらえます。「それは私の所管ではありません」という回答はありません。都合の悪い情報を運営会議にあげないという対応も、ありません。
すなわち、事務局は必ず答を出す、ワンストップ・サービスです。
3 現場主義
課題については、各省が何をしたかではなく、それが現地で実現しているかどうかを確認しました。いくら良い施策を打ち出しても、被災地の市町村職員が理解していないと、意味がありません。避難者が知らないと、やったことにはなりません。
避難所調査や現地対策本部職員による実情の把握、そして現場で市町村長と意見交換をすることで、問題点や要望を聞きました。その際の要望などには、1週間をめどに、文書で回答しています。聞きっぱなしにしません。できるだけ早く、確実に返事をするのです。
現地には、政務職と事務職が一緒に入って、責任ある対応ができるようにしました。
すなわち、現地の立場に立った仕事を心がけました。
4 情報公開
持ち込まれた課題や見つけた問題は、良いことも悪いことも、運営会議に報告しました。そしてその結果を次々と公開して、外部の人に見せました。完璧を目指さず、まずは仕事を進める。そして、外部からの批判も受けるようにしました。
公表資料には、すべて連絡先を記入しました。さらなる質問を受け付けられるようにです。
すなわち、情報は公開し、指摘を受けることができるようにしました。
今振り返ると、「すべてに逃げず、早く、責任を持って」と「政務職と事務職が協力し役割分担して」という基本が、できたのだと思います。もちろん職員がこれらを実現できるように、「明るい職場」も心がけました。