東大での夏学期の成績付けをしました。レポートには、政界再編・市民参加・構造改革といった政治と行政の仕組みを扱ったものから、年金・三位一体改革・障害者福祉・構造改革特区・市町村合併といった個別問題を扱ったものまで、様々です。また、切り口も、民主主義の問題・政治家と公務員の関係・政治に対する信頼など、いろいろなものがあります。
さすがに、文章はしっかりしてますね。院生と学部生との間には、力量の差はありますが。もっとも、誤字の多いレポートには、閉口します。学生諸君、提出する前にもう一度読み返しなさい。
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東大での教授業
大学の夏学期の成績評価は、今回もレポートです。この時代ですから、提出方法は、メールでも郵送でもどちらでもいいことにしました。すると、締め切り間際に、メールが来ること来ること・・。宛先は自宅と職場のどちらかとしたので、確認して受領書を返信するのが大変でした。中には、開けない添付ファイルがあったりして。これから、26人の力作を読ませてもらいます。でも、これを全部読んで評価するのは、大変なんですよ。3枚の精鋭派から30ページの大部派までいて。
行政評価
月刊『自治研究』(第一法規)8月号に、砂原庸介執筆「行政と評価-地方自治体の行政評価が意味するもの」が、載りました。砂原君は、東大大学院の若き社会学者です。私の東大でのゼミの「塾頭」もしてくれています。
論文は、行政評価の導入手法等を研究したのではなく、なぜ今の時期に行政評価が導入されたかを、広い視野から研究しています。そして、政治と行政に対する「信頼」確保のためであると位置付けています。『自治研究』は、公法・行政・地方自治関係では、もっとも権威ある専門誌です。地方自治体関係者など広く読んでいただきたい論文です。
神野先生の新著
神野直彦東大教授と池上岳彦立教大学教授の編集による「地方交付税何が問題かー財政調整制度の歴史と国際比較」(東洋経済新報社)が発刊されました。以下、はしがきの要約です。
「競争社会」を目指す経済学思想に基づいて、地方交付税制度は破壊されようとしている。「地方交付税は弱者に甘えをもたらし、非効率であるがゆえに、弱者となった者に非効率な乱費をもたらすだけである」などと、したり顔で主張されている。
こうした「構造改革」が失敗しているのは、「何のために改革をするのか」という改革の基本原則を無視したからである。地方交付税の改革もまた、財源保障機能の廃止を言い出すに及んでは、ヴィジョンなき破壊の典型である。必要な改革は、制度の破壊ではなく、未来の設計図を準備した改革である。本書では財政調整制度を国際比較と歴史的観点から分析し、財政調整制度の改革の方向を提示する。