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地方行財政-三位一体改革

三位一体改革68

2月1日の経済財政諮問会議で、歳出・歳入一体改革の考え方の議論「財政健全化目標の明確化:③ 国および地方の権限と責任を明確にした国、地方それぞれの目標(国と地方の財政健全化のバランスに留意)」に関して、竹中総務大臣が次のような発言をしておられます(議事要旨p8)。
「2ページ目の③で、国・地方それぞれの目標を掲げろという指摘は正しいと思う。地方にとっては大変だと思うが、地方財政はどのような目標を立てるか私も真剣に議論したい。もちろんその際に重要なのはフローの目標、つまりGDP比の赤字だけではなく、ストックの目標もその中に入れるということだと思う。なぜならば、国の債務残高は、今はOECD平均の2.2 倍あるから大変だが、実は、地方の債務残高はOECD平均の5.9 倍もある。このように、フローで見ると地方財政の方が少しいいように見えるが、ストックで見ると地方の方が悪いという姿がある。だから、フローとストックの観点から、国と地方を見る必要があるということだと思う。
地方交付税については、ご承知のように、本間議員にも入っていただいて大変抜本的な議論をしているので、その議論をぜひ反映できるようにしたい。ただ、社会保障や公共投資と同じ序列で地方交付税が出てくるというのは、正確ではないと思う。社会保障は最終支出だが、地方交付税は中間支出だ。例えば、あえて極端な議論をするが、地方交付税をゼロにして、それと同額の地方債を発行するということもできる。また地方交付税をゼロにして、それと同額の税源移譲を国から地方にするということもできる。この両方とも地方交付税は減るが、国・地方全体のプライマリー・バランスは何の影響も受けない。そういう改革であってはいけないわけだから、最終支出を減らすということと中間支出の扱いはきちんと分けて議論をしなければいけないと思っている。
それと、地方交付税制度の改革をやるが、その改革だけで国と地方の権限と責任の明確化をすることはできない。やはり国と地方の税源配分をどうするかという、まさに根本的な議論をしなければならないと思う。先ほどの与謝野議員ペーパーには税源配分の問題も明記されていたので、この観点についても当然議論がなされると思っている。」(2月12日)
2日の読売新聞解説面では、高倉正樹記者が都道府県の新年度予算案を解説していました。各県とも税収が増えても、三位一体改革によって実質的に歳入減になること、団塊の世代の大量退職による退職手当の増加によって、歳出削減が進んでいることを指摘しています。(3月2日)
6日の朝日新聞社説は、「分権改革、地方交付税に注目だ 」でした。
「霞が関の官庁街に『分権疲れ』が広がっている。いわゆる三位一体改革が一段落したためだ。1993年に衆参両院が地方分権を進める国会決議をして以来、税源や権限を自治体に渡せと言われ続けた。『そろそろ分権はお休みにしたい』ということらしい。しかし、昨年末に政府与党は『地方分権に向けた改革に終わりはない』と宣言している。立ち止まっている場合ではない・・・」(3月6日)
7日に、地方6団体の第4回「新地方分権構想検討委員会」が開かれました。(3月7日)
7日の経済財政諮問会議で、歳出削減の中心として社会保障と地方財政が議論されました(8日付け朝日新聞・日経新聞による)。経済財政諮問会議が「骨太の方針」を出し始めた2001年も、歳出削減の柱として公共事業・社会保障・地方財政がやり玉に挙げられました。その時の議論は、「地方財政改革論議」に整理してあります。
地方財政は国の歳出削減の対象されますが、補助金や地方交付税は地方にとっての収入です。何度も説明したように、国が地方に対して義務教育や介護保険を義務づけておいて補助金や交付税を削減しても、別途地方は借金をしなければなりません。交付税は独立変数でなく、多くが国の義務づけによる従属変数なのです。
また、竹中大臣は、近年のプライマリーバランス改善は地方の努力によるところが大きいと説明しています(諮問会議資料)。かつて、バブル期の税収増を、地方財政は過去の特例的借金の返済に充てました。一方、国家財政はそのようなことはせず、使ってしまいました(「新地方自治入門」p122)。地方の借金残高が国よりも少ないのは、このような努力にもよるのです。こんなことも、思い出しました。(3月8日)
昨日書いた7日の経済財政諮問会議について、何人かの人からメールが来ました。「与謝野大臣が記者会見で『仕送り先でうな重だ・・・・』と言っておられますが、当町では吉野家の牛丼すら食べることができません」とか「諮問会議の委員に、地方の実情をもっと説明してください」とか。
そうなんですが、東京の人は、地方の町村がどんな苦労をしているか知らないのです。新聞や週刊誌は、一部の自治体の無駄遣いや変な手当を報道します。それがすべての自治体だと思っています。でも一部の自治体とはいえ、事実なので反論のしようがないのです。まず、そんな無駄は早くやめてください。他のまじめな自治体にとって、えらい迷惑です。
また、まじめにやっている市町村は、記者さんたちに「我が町はこんな苦労や工夫をしています」ということを発信してください。ぼやいているだけでは、良くならないのです。(3月9日)
10日に参議院本会議で地方財政計画・交付税法・地方税法が質疑されるなど、国会審議が続いています。主要な論点は、次のようなものです。
今回の三位一体改革は、不十分ではないか。
義務教育の負担率を引き下げたのはなぜか。生活保護の負担率引き下げがなかったのは良いとして、児童扶養手当などが引き下げられたのはなぜか。
補助率引き下げは、地方の自由度を高めない。三位一体改革の目的に反する。そもそも、方針に含まれていなかったのではないか。
施設費補助金の税源移譲率5割は少ない。
公共事業の補助金廃止税源移譲はどうするのか。
4兆円の補助金廃止に対し、税源移譲は3兆円であり、地方はそれだけ苦しくなっている。
所得税から3兆円税源移譲したことで、交付税率をそのままにしては3兆円×32%=1兆円が地方の減収になっている。交付税率を引き上げるべきではなかったか。
今後三位一体改革その2は、どう進めるのか。
交付税総額が大きく減っている。今後の見通しはどうなるのか。
(3月11日)
13日の毎日新聞社説は、「地方交付税改革、分権と同時並行で進めよ」でした。「国と自治体という財源調整では、補助金のみならず交付税にも見られるような、国が権限を確保するという関係が残りかねない。地方の自主性を尊重した改革にするというのであれば、三位一体改革の一環であった税源移譲を大幅に進めることだ・・」(3月13日)
読売新聞「時代の証言者」では、石原信雄さんの「国と地方」が続いています。17日は、1960年代の交付税の変化(総額の増加と配分方法の変更=事業費補正の導入)が述べられていました。(3月18日)
20日の読売新聞「時代の証言者」石原信雄さん「国と地方」は、高度成長期の中央集権化がテーマでした。特殊法人の設立や管理権を国に引き上げることで、地方が持っていた仕事が国に吸い上げられたのです。私たちは「明治以来の中央集権」と言いますが、実は戦後に強化された部分も多いのです。義務教育の国庫負担制度もその一つでしょう。(3月20日)
読売新聞「時代の証言者」石原信雄さん「国と地方」は、23日はオイルショック後の借金財政でした。交付税特別会計で借金をするという知恵を、大蔵省と一緒に編み出されました。もっとも、この方法については、後に「隠れ借金」という批判が出ました。その点について、次のように言っておられます。
「まるで子供の生活費を親が内緒で借金するようなもので、本来は絶対やってはいけないんです。私は『あくまで緊急措置なんだ』と自分に言い聞かせました」。
拙著「地方交付税-仕組と機能」p78~では、この借り入れと返済の歴史を含め、戦後の地方財政の歴史と交付税総額の変化を、10年ごとに区切って整理しておきました。
24日は、1985年の国庫補助率削減です。「奥野(誠亮)さんによれば、日本のような単一主権国家では、国民向けの重要な行政の中には、国が立案して責任を負う仕事があって、その経費の負担割合は国の責任に応じて決まり、これが国と地方の財政の『大黒柱』になるので、安易に変えてはならない、と言う訳です。もっとも、こうした大黒柱は未来永劫に続くのではなく、国と地方の役割を見直せば変わることもありうるでしょうが、少なくとも地方へ安易に財政赤字のつけ回しをする発想はいけないということです」
「今度の三位一体改革は、奥野さんの言う『大黒柱』を歴史的に変えるかどうかの重い意味がありました。しかし、生活保護費をめぐる一連の国庫負担率引き下げ議論のように、『地方が怠けているから負担を重くすればまじめにやるだろう』と言ったり、義務教育費の国庫負担金問題のように、国の負担率を3分の1に減らすだけで国と地方の責任のあり方を変えなかったりしたのは、私には理解できません。もっと徹底的な議論をすべきことだったのです」(3月25日)

三位一体改革67

(政治主導)
11月30日の日経新聞は、「改革仕上げ、首相二様」「政府系金融、1機関意地貫く。三位一体、調整丸投げで迷走」を書いていました。
「小泉純一郎首相が改革総仕上げの柱に掲げた政府系金融機関の再編と国と地方の税財政改革(三位一体改革)が29日、相次いで合意にこぎ着けた。政府系金融は『できれば1機関』との首相の強い意向を反映した決着に。半面、三位一体は『地方の意見尊重』と大枠を示すのみで自ら調整に乗り出さなかったため、最終段階で迷走した」
「調整を担ったのは安倍晋三官房長官で、関係7省に具体的な削減額を割り振るなどしてとりまとめを主導した・・・安倍氏は生活保護費、施設整備費をともに削減対象とする『痛み分け解決』を模索したが・・・」。
30日の毎日新聞は、「小泉改革の決算」「三位一体、ワンフレーズで押し切る」を詳しく書いていました。「この間、小泉首相は『地方の声を尊重』のワンフレーズで押し通した。『生活保護費を入れることも考えたが、総理の指示もあり除外した』。安倍氏は29日夜、記者団に淡々と語った」(12月18日)
22日の読売新聞では、青山彰久記者が「仕切り直し、分権改革」を解説しておられました。
「分権改革は、もう一度、仕切り直しが必要になった。当面、次の舞台は、経済財政諮問会議が来年6月に策定する『経済財政運営と構造改革に関する基本方針』(骨太の方針2006)になる。焦点は、これらの議論を通じて、どんなビジョンを描くかだ」
「戦後の行政システムは疲弊した。たしかに、ほとんどの公共サービスが全国均一に供給される。どこの自治体も、地方税の税率はほぼ同じ・・。その代わり、地方の仕事に国が細かな指示を出してコントロールし、国が決めた画一的な仕事を地方ができるように補助金を使い、複雑な地方交付税制度で財源の保障と財政調整を行った。結果的に、国と地方は一体化した。地方の自由は二の次になり、責任はあいまいになった」
「しかし、これからが本当の対立を迎えるだろう。本格的な分権化を目指せば、究極的に二つのタイプに分かれるからだ。一つは、国と地方の役割をはっきり分ける米国型・・・。もう一つは国と地方が協調する北欧型。ただし、教育や福祉などは地方の責任で、地方には十分な税源を与え、具体的な基準づくりや執行は地方が独自に行う。もちろん、地方へ十分な税源を与えることが不可欠だが、どちらのモデルに軸足を置くかが分かれ道だ・・」(12月23日)
【18年度の地方財政】
平成18年度地方財政収支見通しの概要」が発表されました。18日に決まった「地方財政対策」に、国の予算が決まったことによる要素などを付け加えたものです。考え方や大まかなことは、地財対策で決まっています。このあと、国の予算とともに精査して、国は予算を、総務省は「地方財政計画」「地方交付税法改正案」を作って国会に提出します。今の段階では、歳入欄に国庫支出金の金額が、歳出欄に国庫補助事業の金額などが入っていません。「18年度地方財政対策」の資料は、なぜかHPで見ることができない状態にあります。すみません、至急復旧してもらいます。(12月25日)
早速、復旧してくれました。もっとも、17年度分はまだつながりません。(12月26日)
27日の毎日新聞「記者の目」では、清水隆明記者が「三位一体改革、裁量広がらず地方完敗」「住民もリスク負うべし」を書いていました。
「今月1日に決着した三位一体の改革は、全国知事会など地方6団体が猛反対した生活保護費の国庫負担金引き下げが小泉純一郎首相の裁断で退けられ、地方側が勝利したような印象がある。しかし、私に言わせれば、今回の結果は地方側の完敗だ。3兆円の税源移譲は実現したものの、肝心の権限は国がしっかり握ったままで、地方分権がほとんど進まない内容だからだ」
「敗因は、首相の指導力を頼った地方側の戦略にもあった。07年度からの第2期改革を本道に引き戻すには、地方側が分権の意義を分かりやすく世論に訴える主体的努力が必要だ」
「国民も自覚が必要だ。地方分権の本質は、単なる自治体の権限や財源の強化ではない。中央の官僚や政治家に我々の未来を委ねる『お任せ民主主義』からの脱却だ。住民も政策決定に自ら参加し、そのリスクを負わなければならない。主役は自治体でも、省庁でも、まして小泉首相でもない。私たち一人一人なのだ」
前段は厳しい見方ですが、こういう評価もありますよね。後段も、もっともな指摘です。ただし、住民多くの理解を得るためには、自治体がまず「主役」になって、先導する必要があるでしょう。「国民みんなの理解を得て」という台詞はきれいですが、これはまた、物事を先送りするときの常套句でもあります。(12月27日)
2006年
平成18年度分が決まったので、「地方財政改革の経緯」「三位一体改革の経緯(簡略版)」を加筆し、「三位一体改革(補助金改革・税源移譲)金額内訳」を全面的に書き換えました。また、「三位一体改革の目標と実績」には交付税改革の実績を付け加え、使いやすくしました。「三位一体改革・交付税改革」も転記しました。どうぞ、ご利用ください。
遅くなって申し訳ありません。公式発表では、補助金改革は平成16~18年度の3か年ですが、税源移譲額では15年度改革分を取り込んでいること、16年度決定分には17年度と18年度の実行分が含まれていることから、数字の整理は結構ややこしいのです。(2006年1月2日)
(国民の理解)
1月1日の北日本新聞など地方紙に、日本世論調査会の世論調査結果が載っていました。三位一体改革については、「高く評価する」が6%、「ある程度評価する」が55%でした。一方、「あまり評価しない」は28%、「全く評価しない」は4%でした。
評価の理由は、「財政赤字が減らせる」が29%、「自治体の自助努力を促す」が23%、「地域の特性にあった事業が行えるようになる」が18%です。逆に、評価しない理由は、「税収が少ない地域の切り捨てにつながる」が34%、「自治体に任せるとかえって無駄遣いが増える」が21%、「全国一律に行政サービスの水準を保つ必要がある」が17%です。
6割の人が評価しているということは、ありがたいですが、理由の第一が財政再建であることは、残念です。もっとも、今回の三位一体改革では目に見えるかたちでの分権は進んでいないので、もっともな反応だともいえます。(1月6日)
8日の東京新聞は、「大胆予測、06日本の政治」で地方分権と取り上げていました。「交付税、都会vs過疎地も」という見出しです。(1月10日)
13日には、地方六団体の研究会も開かれました。(1月14日)
12日に、竹中総務大臣の指示による地方分権の将来像について議論する懇談会の初会合が開かれました。10年後の国と地方のあるべき姿を議論することとなっています。(1月13日)
知事会などによる「新地方分権構想検討委員会」の第1回議事録を見つけました。(1月27日)
6日の朝日新聞「時流自論」は、浅野史郎元知事の「本物の改革へ道半ば」でした。
「この決着は、地方の期待を裏切るものであった。国から地方への補助金配分権限によって、地方としての施策遂行の裁量が狭められているのだから、補助金つきの施策を廃止して、廃止した補助金の総額に見合う金額を国から地方に税源として移譲することが求められていた。4兆円の補助金を廃止して、3兆円を国から地方へ税源移譲するという数値目標は、小泉首相の指示で明確にされた」
「3兆円の数値目標は達成された。しかし、政府はそれに見合う金額の補助金付き施策を廃止するのではなく、義務教育、児童手当、児童扶養手当の国庫負担率を3分の1に引き下げるという奇策をもって、決着としたのである・・。これでは地方の財政上の裁量拡大にはつながらない」
「三位一体改革は、財源をめぐっての国と地方の綱引き合戦ではない。自治体として、納税者から集めた税金を、住民の最大幸福のためにどう使うか。有権者でもある住民を巻き込んだ形で、税財源の使い方を自主的に決めていくというシステム確立につながる構造改革である」
「国の側から見れば、霞が関の役人が『補助金配分業』に埋没せず、国際化への的確な対応にこそ時間と労力を傾注するシステムへの転換である。牛海綿状脳症、鳥インフルエンザ対策、がん撲滅作戦など、国でしかできないことに、人材と精力を集中すべきである」(2月7日)

三位一体改革(補助金改革・税源移譲)金額内訳

16年度から18年度まで
補助金改革 4兆6,661億円
(H15年度改革分を除く)
税源移譲額
3兆94億円
内訳
年度
スリム化・
交付金化
1兆7,829億円
税源移譲に結びつく
補助金改革額
3兆1,176億円
(15年度改革分を含む)
(H15改革分
2,344億円)
H15決定
(H16分)
1兆314億円
5,565億円
スリム化4,235億

交付金化1,330億
(H15改革分義務教育共
済等2,344億円)

H16改革分4,749億円
公立保育所等2,440億円
義務教育(退手等)2,309
億円

6,559億円

義務教育共済等H15改革分
2,051億円
公立保育所等2,198億円
義務教育(退手等)2,309億

H16決定
(H17・18分)
2兆3,980億
6,441億円
スリム化3,011億

交付金化3,430億
1兆7,539億円
 
公営住宅家賃補助、養護
老人ホーム等2,211億円
国民健康保険6,862億円
義務教育8,467億円
1兆7,429億円
公営住宅家賃補助、養護老
人ホーム等2,101億円
国民健康保険6,862億円
義務教育8,467億円
H17決定
(H18分)
1兆2,367億
5,823億円
スリム化2,640億

交付金化3,183億
6,544億円

公営住宅家賃補助、児童
手当等5,854億円
公立学校施設等690億円

6,106億円
公営住宅家賃補助、児童手
当等5,761億円
公立学校施設等345億円

(作成協力 森山正之さん)

税源移譲に結びつく国庫補助負担金の改革(3兆1,176億円)の内訳
平成16年度税源移譲に係るもの:計7,093億円
・義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金
(うち共済長期給付負担金及び公務災害補償基金負担金) (2,184億円)
(うち退職手当及び児童手当) (2,309億円)
・児童保護費等負担金(うち公立保育所運営費) (1,661億円)
・介護保険事務費交付金( 305億円)
・軽費老人ホーム事務費補助金( 167億円)など
平成16年政府・与党合意(H16.11.26)に係るもの:計17,539億円
・義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金(8,467億円)
・国民健康保険国庫負担(6,862億円)
・養護老人ホーム等保護費負担金( 567億円)
・在宅福祉事業費補助金(うち介護予防・地域支え合い事業(緊急通報体制等整備事業等)等) ( 125億円)
・公営住宅家賃対策等補助(うち公営住宅家賃収入補助) ( 641億円)
・協同農業普及事業交付金(うち職員設置費の一部) ( 146億円)
・小規模企業等活性化補助金(うち小規模事業経営支援事業費補助金等) ( 96億円)
・消防防災設備整備費補助金(緊急消防援助隊関係設備分を除く) ( 61億円)など
平成17年政府・与党合意(H17.11.30)に係るもの:計6,545億円
・児童扶養手当給付費負担金(1,805億円)
・児童手当国庫負担金(1,578億円)
・介護給付費等負担金(うち施設等給付費に係るもの) (1,302億円)
・地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(うち都道府県交付金) ( 390億円)
・公営住宅家賃対策等補助(うち公営住宅法に基づく国庫負担金分等) ( 620億円)
・公立学校等施設整備費補助金(うち不適格改築の一部等) ( 170億円)など
地方交付税改革については三位一体改革・交付税改革

三位一体改革の経緯(簡略版)

詳しい経緯は地方財政改革の経緯
年 月
決定・実施事項
14年6月




15年度予算


「骨太の方針2002」閣議決定。
国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検
討し、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革行程を含む改革案を、今後
1年以内を目途にとりまとめる。
三位一体改革の芽だし
・国庫補助負担金5,625億円の削減
・義務教育費(共済長期給付、公務災害補償)2,334億円の一般財源化(1/2
を特例交付金、1/2を交付税)
15年6月



16年度予算









「骨太の方針2003」閣議決定
「改革と展望」の期間(18年度まで)に、国庫補助負担金については、おおむね
4兆円を目途に廃し、縮減等の改革を行う。

1兆円の補助金改革
・税源移譲に結びつく改革 4,749億円
(公立保育所運営費 2,440億円、義務教育退職手当等 2,309億円)
・スリム化、交付金化    5,527億円

税源移譲等
・所得譲与税       4,249億円
(公立保育所運営費 2,198億円、義務教共済長期等15年度改革分 2,05
1億円)
・税源移譲予定交付金 2,309億円
(義務教育退職手当・児童手当)
16年6月






8月



9~11月


11月







17年度予算

「骨太の方針2004」閣議決定
平成17年度および18年度に行う3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程
表、税源移譲の内容および交付税改革の方向を一体的に盛り込む。
そのため、税源移譲は大旨3兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体
に対して、国庫補助負担金の具体案を取りまとめるように要請し、これを踏まえ
て検討する。

地方の改革案を政府に提出
・税源移譲 21年度までに8兆円程度、18年度までに3.2兆円
・国庫補助負担金の見直し 21年度までに9兆円程度、18年度までに3兆円

国と地方、政府部内、政府与党の調整
国と地方の協議の場 7回、四大臣会合 17回、政府与党協議会 4回

政府与党合意「三位一体の改革の全体像」
概ね3兆円規模の税源移譲を目指す。
その8割方(24,160億円)について次のとおりとする。
・義務教育費(暫定)      8,500億円
 (17年度分  4,250億円)
・国民健康保険、公営住宅等 9,100億円
・16年度分            6,560億円

補助金改革 1.8兆円
一般財源化 1.1兆円
(所得譲与税化7千億円、税源移譲予定特例交付金化4千億円)
17年4月

6月


7月

10~11月

11月

18年度予算

総務大臣から地方6団体に対し、残る6,000億円の改革案検討を依頼

「骨太の方針2005」閣議決定
残された課題については、平成17年度秋までに結論を得る。

地方6団体改革案(2)を政府に提出
・18年度移譲対象補助金(9,973億円)を選定
・19年度以降「第2期改革」
・「国と地方の協議の場」の制度化

国と地方、政府部内、政府与党の調整
国と地方の協議の場 4回、四大臣会合 12回、政府与党協議会 2回

政府与党合意
追加補助金改革(税源移譲対象) 6,540億円(昨年度までの決定分3.8兆
円に加え、4兆円を上回る国庫補助負担金改革を達成)
・義務教育 小中学校を通じて負担割合を3分の1とする(8,500億円)。
・児童扶養手当(3/4→1/3)、児童手当(2/3→1/3)。生活保護の適正化
に取り組む(負担率引き下げは行わない)。
・施設費 5割の割合で税源移譲対象とする。
今回の補助金改革(税源移譲6,100億円)を含め、合計3兆90億円程度の税
源移譲を行う。18年度は全額を所得譲与税とし、18年度税制改正で所得税か
ら個人住民税へ移譲する。

補助金改革 1.2兆円
税源移譲額 0.6兆円
(税源移譲総額3兆円、18年度は全額を所得譲与税(都道府県2兆1,794億
円、市区町村8,300億円)、19年度に住民税へ。)

(作成協力 森山正之さん、鈴木雄介さん)
(最終加筆2006年1月2日)

三位一体改革66

(地方からの評価)
地方6団体は、12月1日に、次のような声明を出しています。
「3兆円という大規模な税源移譲を基幹税により行うこととしており、これはこれまでにない画期的な改革であり、今後の地方分権を進めるうえにおいて大きな前進である」。
また、生活保護費が盛り込まれなかったこと、施設整備費を対象に採り入れたことは、地方の意見が反映されたものとなっているものの、児童扶養手当や児童手当、義務教育費国庫負担金の負担率の引き下げなどは、地方分権改革の理念に沿わない内容や課題が含まれていると批判しています。
そして、「今回の内容は、地方分権の今後の展望を拓くための第一段階と受けとめており、引き続き平成19年度以降も更なる改革を進めるべきである・・・。我々地方六団体は、真の地方分権改革を着実に実現するため一致結束し、改革を前進させるためにも「国と地方の協議の場」の制度化を求めるとともに、地方分権改革が国民各位の幅広い理解が得られるよう一層努力していく」と、決意表明しています。
12月4日の読売新聞は、47知事のアンケート結果を詳しく載せていました。それによると、評価できると答えた知事は9人、評価できないが25人だそうです。評価できない点は、地方案にない項目での税源移譲が23人、義務教育国庫負担率引き下げが15人、地方案の反映度が低いが13人などです。
2日の日経夕刊では、47知事のアンケート結果は、どちらかといえば評価できるが12人、評価できないが6人、どちらかといえば評価できないが19人でした。政令市長13人では、どちらかといえば評価できるが11人、どちらかといえば評価できないが1人でした。
知事と市長の反応の差は、県負担である義務教育の国庫負担率が引き下げられ、市の負担(町村部は県負担)である生活保護がいじられなかったことなどが、主な理由でしょうか。
2日の毎日新聞では、47知事のうち、評価するが9人、評価しないが19人、どちらともいえないが19人です。また、小泉首相の指導力については、15人が発揮された、発揮されなかったが8人、どちらとも言えないが24人でした。(12月13日)
(解説・評価)
12月1日の読売新聞では、青山彰久記者が「地方の提案力、次に生かして」を解説しておられました。「大正デモクラシー期までさかのぼる日本の自治・分権の歴史からみれば、この改革はどう位置づけられるのか」
「今回の骨格は、これまでに前例がない3兆円の税源移譲を掲げたり、族議員と各省の頭越しに地方へ改革案を求めたりした点で、首相主導でつくられた。西尾勝国際基督教大学教授の指摘によれば、各省間の折衝で合意できたものだけを閣議にかける『霞が関の慣行』に穴を開けたのが、小泉政権の成果の一つといえる。きっかけは、橋本内閣で創設を決めた経済財政諮問会議だ。これを小泉内閣が最大限に活用した。各省が反対しても同会議で決めた骨太方針は閣議決定され、従来のルールを崩した」
「たしかに、95年から6年間続いた政府の地方分権推進委員会が税源移譲には進めなかったことを思えば、一定の成果といえる。だが、最終的にまとまった補助金改革と税源移譲の姿はどうか・・・」「地方が国の下請けになる構造を変え、地方に税源と責任を与えて効率的な政府体系を作るのがこの改革のゴールとすれば、まだ遠い」
「改革の再出発には、公共事業、社会保障、義務教育などで、改めて国と地方の任務を決め直す制度設計が必要だろう。その際、今回の改革過程で生まれた『国と地方が同じテーブルで協議する』という方法は生きる。これまで霞が関の各省に政策立案を依存してきた地方が、補助金改革や生活保護制度などで新しい制度を提案した経験は貴重だった。これをステップに地方が責任ある政策の提案力を高め、全体の制度設計を提案し参加する体制を整えることが、次の改革の扉を開けることにつながるように思える」
5日の日経新聞では、中西晴史編集委員が「地方分権、生みの苦しみ」として、大きく解説しておられました。「政府が地方分権推進の議論を本格化してから10年。今回決着した国と地方の税財政改革(三位一体改革)で、地方側は初めて国から大規模な税源移譲を勝ち取った。『画期的』と評価する声もあるが、『補助率引き下げなど国の関与が残る内容が多く、自治体の創意工夫を生かすには不十分』との批判が多い。残る地方交付税の見直しは手つかずで、真の地方の自立への道はなお険しい」。
「初の税源移譲、10年で勝ち取る」「施設整備には風穴」「交付税には及び腰」「敵は霞が関だけではない、潜む地域間の溝」という小見出しが並んでいます。
7日の朝日新聞では、坪井ゆづる論説委員が「三位一体総括・上」で、「分権への効果期待外れ」「省益温存許した首相、『脱霞が関』貫く覚悟なし」を書いておられました。
「そもそも、改革の出発点は中央集権型の行政のなれの果てといえる政府と自治体の計800兆円近い借金だ。だからこそ、財政再建と同時に、分権社会への転換が声高に叫ばれた。霞が関の現状を前提にしたような議論で進む改革ではない。中央集権のもとで経済成長を志向してきた国と地方の関係を見直すものであり、『この国の統治構造を変える改革』(石原信雄元官房副長官)とも位置づけられた。だが、小泉首相はこの局面で『脱霞が関』を貫き、この国を根っこから変える必然性への自覚も、その覚悟もなかったようだ」
「最初に火花を散らしたのは、財政再建とりわけ地方交付税の減額を迫る財務省と、それに税源移譲で対抗した総務省だ・・・。財務、総務両省の『肉を切らせて骨を切る戦法』の具体化を迫られた各省は、それぞれの
方法でかわした。文部科学省は・・・単なる数合わせで、中教審答申の論理的な正当性をないがしろにしてまでも、制度堅持は果たした格好だ。厚生労働省は、『地方への負担引き渡し路線』だった。安倍官房長官と連携し、懸案の生活保護負担率引き下げをめざした。その揚げ句に、何の議論もないままに児童手当など別の負担率を下げた。・・・国土交通省では交付金化が目立った。・・国交省が補助金配分業としての権限を温存する実態は変わらない。各省とも、自治体が自己責任、自己負担で自己決定する分権社会への流れを、あえて無視しているようにしか見えない」
「自治体側は小泉首相から要請された補助金廃止案づくりを、2度まとめた。利害の異なる自治体が結束して培った政治力が、内閣官房長官のもとに初めて国と地方の協議の場を設けさせた。だが、最終局面の政府与党の協議には結局、外側から注文をつけただけだった・・・。一方で自治体側、とくに知事会は反転攻勢の機会を逸した。今年9月の総選挙である。候補者アンケートで、義務教育や生活保護の負担率引き下げへの賛否を確認しておけば、それを担保に国会議員への発言力を確保できた可能性がある」
「自治体側は、さらなる改革を求めている・・。だが、自民党も各省もうんざり顔だ。『地方要求通りに補助金を削ったら、うちの局がなくなる』と言う局長もいる・・・だれが首相でも霞が関依存体質のままでは、今回と同じ結果になるのは明らかだ。そのときは民主党の存在感が相対的に増すかもしれない・・霞が関との縁遠さも利点になりうるからだ」。
8日の「下」では、松田京平記者たちが、「広がらぬ自治体の裁量」「反映しにくい地域事情、権限の多く国に残る」「改革リード意欲も必要」を書いていました。
それぞれ、幅広い視野に立った的確な指摘だと思います。
3日の読売新聞「談論」では、吉田和男京大教授、神野直彦東大教授、片山善博鳥取県知事が、評価を述べておられました。片山知事は「一連のドタバタ劇は『霞が関の病理』そのものだ。過去の合意事項をこっそり読み替えるし、権限も手放そうとしない。国民からみてつまらない補助金の配分も、役人には権限になり、財政当局にとっても予算査定を通じた『うまみ』らしい。・・真の改革には、霞が関の改革が急務であることを改めて認識させられた」。(12月15日)
(これからの動き)
今回の三位一体改革(第1期)に対する私の評価は、12月11日に書いた通りです。①補助金廃止・税源移譲が3兆円も実現することは、画期的なこと。②しかし、地方の自由度が高まったとはいえない。③今後、補助金廃止・税源移譲が進めば、今回はその突破口として大きな評価がされるであろう。しかし、これだけでとどまるなら、良い評価にはならないだろう、ということです。
となると、今後、第2期改革をどう進めるかが、課題となります。「霞ヶ関と永田町は、もううんざりしている」と伝えられています。今回の課程で、地方から案を出したこと、国と地方の協議の場を作ったことは、大きな前進です。しかしながら、昨年も今年も最後は国(政府与党)が決め、地方の参画はありませんでした。それに対し、政府与党案の決定について、官僚機構(補助金所管省と財務省)は大きな影響力を持っています。
補助金廃止・税源移譲は放っておいては、進みません。このまま立ち消えることが、霞ヶ関にとっては好都合なのです。第2期改革を進めるためには、地方側は作戦を練り、団結して当たらなければばなりません。
①改革の目標・内容
まず、どの補助金をどれくらい廃止するのか、を決めなければなりません。これについては、6団体は昨年大枠を決め、国に提出しました。しかし、義務教育が中途半端な形になりました。施設整備は税源移譲対象となりましたが、移譲額は2分の1になりました。これらをふまえ、もう一度整理し直す必要があります。そして、どの税金を移譲してもらうか。これについては、議論が進んでいません。
②戦術・戦略
もちろん、6団体が結束して、国に案を突きつけることが必要です。しかし、国と地方の協議の場の「限界」も見えました。すると、その経路以外の攻勢も、考える必要があるでしょう。今回、地方は、生活保護負担金切り下げ案に対して、事務の返上で対抗しようとしました。このような「場外乱闘」が有効なのか、そのほかの手段はないのかを議論すべきでしょう。
そして、回りくどいようですが、味方を増やす必要があるでしょう。国会議員、マスコミ、オピニオンリーダーたちです。国民にも支持してもらえるようにする必要があるでしょう。分権・三位一体改革は、連日のように新聞の1面を飾るようになりました。かつてなく盛り上がっています。ほとんどの人が総論は賛成ですが、各論になると異論が出てきます。これを最終的に押し切るのは、やはり世論でしょう。
次の節目は、6月にも予定される「骨太の方針2006」でしょう。ここに、どう書き込むか。地方に与えられた時間は、それほど多くはありません。(12月17日)