カテゴリーアーカイブ:行政

新しい仕事2

2006年10月12日   岡本全勝

仕事になると、急に再チャレンジの記事が、気になります。なるほどと、勉強になるものも多いです。11日の読売新聞「安倍政権に望む」は、三浦展氏の「格差拡大、若年層に絞り対策急げ」でした。安倍政権は格差を固定化させない再チャレンジ政策などを行う方針だ、という問いかけには「対策を若年層に絞った点は評価したい。専門家は『格差の6割は高齢者が増えた分だ』などと言う。しかし、私の著書『下流社会』がベストセラーになったのは、高齢者が買ったからではなく、若者が読んだからだ」。格差是正はどのように進めていくべきかとの問には、「独身で親に経済的な面倒を見てもらっているパラサイトと、2人の子供を抱えた既婚者とを同列には論じられない・・・」。
週刊「東洋経済」10月14日号では、八代尚宏教授が「時代に逆行する雇用の規制強化」を書いておられました。
「安倍新政権の大きな課題は再チャレンジ政策だが、これは働き方の多様化や雇用の流動化なしには実現できない。雇用と年功賃金が保障される正社員と、そうでない非正社員との大幅な賃金格差を是正するためには、1600万人もの非正社員を正社員にする法律を作ればよいという論理はあまりにも無責任である。規制で雇用を安定化させるという考え方は、派遣社員の契約期間を制限し、その後、引き続き働いてもらうには正社員としての雇用申し入れ義務を企業に課している現行の派遣法にも存在する。こうした規制は、企業に対してむしろ派遣期間の短縮化を強いており、派遣社員の雇用を逆に不安定にしている」
「日本のような正社員と非正社員の身分格差は、賃金の年功制や過度の雇用保障から派生している。これを欧米のような同一労働・同一賃金の職種別労働市場に近づけるためには、有期契約の長期化等、非正社員としての雇用の安定化を図る一方で、仕事能力にかかわらず雇用が保障される正社員の既得権の見直しが重要である」

新しい仕事

2006年10月11日   岡本全勝

今日、官邸で官房長官から、総理大臣名の辞令をもらいました。内閣官房内閣審議官に併任され、内閣官房におかれた再チャレンジ担当室長になりました。上司は、山本有二再チャレンジ担当大臣、坂内閣官房副長官補になります。再チャレンジ担当室は内閣官房に置かれたので、私も内閣官房の職員になって、その仕事をするということです。併任発令なので、給料は内閣府からもらいます。また、内閣府の仕事(経済社会システム担当)も引き続きするので、仕事が二つになります。幸いなことに、再チャレンジ担当室は、今の職場の同じビルの同じフロアにできます。その点では便利です。会議室を改造します。室員は、各省から集めます。彼らは、内閣官房の併任発令を受け、仕事は再チャレンジの専任になります。
今朝の朝日新聞が、20行にわたって書いてくれました。新政権の主要政策なので、注目されているようです。何人もの方々から、お祝いと励ましの電話やメールをいただきました。ありがとうございます。

教育改革

2006年10月9日   岡本全勝
9日の朝日新聞「きょうの論点」は、「教育バウチャー制度の是非」で、ワタミ社長の渡邉美樹さんと志水宏吉阪大教授が意見を述べておられました。私は、バウチャー制度導入論者です。
反対論者である志水教授は、「公立学校では均質な教育が受けることができるが、学校選択制でも学校間の格差を生んでいる。バウチャーを導入すれば格差がどんどん広がる」と主張しておられます。それは裏返せば、公立学校では低いレベルで、均質な教育を行っているということでしょう。
もう一つ、私立学校の存在と、既に都会では学校選択が進んでいるという事実、そして多くの子供が塾に行っているという事実を無視しておられます。ちょっとした金持ちで教育に熱心な家庭は、子供を私学に通わせています。そして、私学は公金投入が少ないため、父兄の負担が大きいのです。塾も同じです。それは、金持ちの子供が良い教育を受けることができるという、格差の固定化を生んでいます。
三位一体改革で義務教育国庫負担金(といっても、公立学校教員国庫負担制度です)が議論になっていたとき、もう3年ほど前になるでしょうか。文科省担当の記者が「文科省職員子弟の通っている学校アンケート」を取ろうとして拒否されたことが、新聞に載ったことがあります。匿名なら個人情報に当たらないのにと、思ったのですが。

官邸主導の成否

2006年10月7日   岡本全勝
安倍政権になって、官邸主導が議論になっています。首相補佐官の拡充と活用、従来型官邸官僚人事の変更、会議など組織の創設です。国会でも、二重行政でないかという質問もありました。
新聞も、いくつか解説をしています。例えば、6日付け朝日新聞「三者三論」では「機能するか、日本版国家安保会議」を取り上げ、6日日経新聞夕刊「ニュースの理由」では「米国の官邸主導は流動的、政権で変わる経済司令塔」を解説していました。
省庁改革以降、政治主導の方法が模索される、その一つの試みと位置づけられるでしょう。従来型の官僚主導・各省分担制を改革する挑戦です。
どのように機能するかは、実際を見てみないと何とも言えません。組織を作っただけでは、結果は出ません。ポイントは、「組織をどう作るか」「どのような任務を分担させるか」「どのような人を任命するか」「競合する組織の間をどう調整するか」などです。すなわち、組織・任務・人事・調整が重要です。私は、この中でも、任務と調整が鍵を握ると考えています。それはすぐれて、首相がどのような任務を与えどのような結果を求めるのか=方向性の指示と、組織間(補佐官と大臣との間など)の競合や対立を首相がどう裁くかです。これは、首相しかできないのです。それが政治主導です。組織の設置と人の配置は、その手段です。

省庁間調整

2006年9月29日   岡本全勝
29日の日経新聞経済教室は、塩沢修平教授の「政府内の調整ルール築け」「戦略対応を迅速に。議論の過程も開示不可欠」でした。
「日本の行政機構は、地方自治体の権限が小さく、中央省庁に集まっているといわれる。しかし、ある一つの組織や人物に権限が集中しているわけではなく、必ずしも中央集権体制とはいえない。同等の権限を持つ組織の集まりであり、実態は中央分権体制とでもいうべきものである」
「根本的な問題は、そうした組織間の調整に明確なルールが存在しないという点にある。ある種の慣行はあっても、それぞれ個別の試行錯誤的に調整を続けなければならず、それがさらに時間と労力を要する原因となっている」
省庁間調整の改善については、中央省庁改革のテーマの一つでした。改善の仕組みを作ったのですが、残念ながら十分に機能していないようです(拙著「省庁改革の現場から」p33)。また、同じ行政であっても、地方団体の場合は霞ヶ関ほどひどくないことを、「新地方自治入門」p67で分析しました。詳しくは、それをご覧ください。