「復興10年」カテゴリーアーカイブ

能登地震、県庁欠けた主体性

8月2日の朝日新聞が「能登地震、甘かった想定・欠けた主体性 県の初動、検証委が報告書」を伝えていました。

・・・昨年1月に発生した能登半島地震での石川県の初動対応について、有識者による検証委員会が報告書をまとめ、1日に公表した。最大の課題として、災害対応における県職員の当事者意識の欠如と事前の想定の甘さを指摘。それが対応の遅れにつながったとした。
検証委は、発生から約3カ月間の初動対応をめぐり、県職員約3500人に加え、国や自治体、支援団体約100団体にアンケートを実施。その結果から53の検証項目を洗い出し、それぞれ課題や改善点を列挙した。報告書では、各項目の検証結果を踏まえ、ポイントを七つに整理した。

県組織の災害対応体制については、職員自身や家族が被災したり、年末年始で帰省したりしていたため、出勤困難者が多数にのぼり、参集した一部の職員に負担が集中。一方、発生から1週間の出勤率が50%を下回る人も多く、全庁的な対応に至らなかったとした。
また、庁内に組織横断チームを設けたものの、情報を集約・整理して共有する体制になっておらず、発生直後はチームの情報が各部局に伝わらなかったため、業務に支障が生じたとした。
これらを通じ、「職員の災害対応意識、組織として全庁体制で対応する意識が希薄で、対応が受け身」だったと厳しく指摘した。

県の受援・応援体制をめぐっては、被災6市町に連絡・調整役として派遣した職員に関し、市町へのアンケートやヒアリングで、「指示がなければ動かず、何をしているのか分からなかった」「相談しても『市町の仕事』との返事が多く、県で何ができるかを検討してほしかった」との回答が寄せられたという。
「派遣の意義があるのか」という厳しい意見もあったといい、「被災市町を支えるという姿勢が不十分」と指摘した・・・

制度や組織は作っただけでは、機能しません。全体の目標設定、下部組織への適確な指示、職員の意識の共有など、運営に左右されます。

大好評、福島の桃

7月31日の朝日新聞夕刊に「あかつき、フィーバー 直売所に行列、数百箱50分で完売 福島のモモ」が載っていました。

・・・モモをめぐり、一大産地の福島が毎週末、大変な事態になっている。直売所に開店前から長い行列ができるのが、当たり前の光景になった。予想を超える「モモフィーバー」に、JA関係者も「こんな人気は初めて」と驚く。早朝の直売所を訪れてみると……。
日曜の27日午前7時半。福島市郊外にあるJAの農産物直売所「ここら矢野目店」には、すでに260人の行列ができていた。駐車場は満車で、とまっていた100台のうち、29台は県外ナンバーだった。
目当ては「あかつき」だ。硬さが特徴で、糖度が高く、福島県のモモ生産量の約半分を占める主力品種。贈答品としても人気だ。ただ、収穫時期が7月下旬から8月中旬の2週間ほどと、旬は短い。
行列の3番目に並んでいた男性(65)は栃木から来たという。先週も福島に来て2店を回ったが「あと一歩で買えなかった」。今回は「一番乗りして必ず手に入れる」と午前6時半に訪れたが、すでに2組がいた・・・

・・・店は午前9時に開いた。1箱12~13個入りで、値段は1600円前後。用意された数百箱分は50分で完売した。最後の1箱を手にした、埼玉県志木市の女性(66)は「モモは柔らかいものだと思っていたが、去年初めて硬いモモのあかつきを食べ、はまってしまった。買えてラッキーでした」
開店前に並んだ500人近くは、全員が買うことができた。店のスタッフによると、あかつきが販売されるこの時期、年々人出は増えているが、ここまでの行列になったことはなかった。並んでいた福島市の女性は「地元にいながら、あかつきを買うのがこんなに大変になるとは」と嘆く。
店のスタッフは「なぜ急に人気になったのかは、私たちもわからない」と話す。県外客が一気に増え、知名度が上がったのはうれしいが、「これ以上増えると、どう対応したらいいのか」・・・

福島の桃は、おいしいのです。でも、他の産地より出荷が遅いので、隠れています。
私は福島復興に従事してから、そのおいしさを知って、果樹園から直送してもらっています。

福島被災地視察

7月8日9日と、福島県の被災地を視察してきました。原発事故被害地では、避難指示が解除された地域で復興が進んでいます。特に解除が遅くなった町を見てきました。

大熊町では、かなりの面積で稲作が再開されました。田んぼに雑草が生えているのと、稲が育っているのとでは、風景が大きく違います。
最初の復興拠点として開発した大川原地区は、住宅や施設が完成しています。次の拠点となる大野駅前の開発も進み、たくさんの人が作業をしていました。
ゆめの森では、予想以上の数の子どもたちが学んでいます。規格にはめる教育でなく、個性を尊重した教育で、視察も多いとのこと。リンクを張った学校のサイトをお読みください。
双葉町も、駅前の開発が進んでいます。さらに地域を拡大します。工業団地も順次企業が進出しています。浪江町も、駅前開発と工業団地建設が進んでいます。もちろん、まだ着手できない地域もあります。

私は、発災直後は、放射線量の高い地域は、人が戻ることはないだろうと考えました。政府もそれを前提に、全損賠償をしたのです。しかし、放射線量の減衰が予想より早く進み、可能な地域から除染をして、復興拠点を作ることにしました。その際も、ここまで早く街が戻るとは思いませんでした。当時を知る役場幹部と、そのような話をしてきました。
今後も、着実に復興が進むことを期待しています。間違いなく、そのように進むでしょう。先日皇居で、天皇陛下にも「日本国民の力をもってすれば、必ずや復興します。これからもお気にかけてください」と申し上げました。

「サヴァ缶」販売終了へ

6月27日の読売新聞に、「「サヴァ缶」販売終了へ 復興支援の商品」が載っていました。
発売時には、その命名にうなりました。フランス語の「Ça va?」を連想させます。このような理由で販売が終了するとは、残念。

・・・国産のサバを使って岩手県内で製造されていた缶詰「サヴァ缶」が販売を終了する。サバの不漁が主な要因。東日本大震災で被災した漁業者の支援を目的に誕生した人気商品で、惜しむ声が上がっている。
サヴァ缶は2013年に発売。オリーブオイル漬けやレモンバジルなど5種類の洋風な味付けに加え、カラフルなパッケージデザインが話題を呼び、累計約1200万個を売り上げた。

一方で、近年は海水温の上昇などでサバ類の水揚げが減少。同県でも21年の2万6800トンから、24年は1万2200トンにまで落ち込み、継続的な製造が難しくなった。在庫が店頭からなくなれば販売終了となる。商品を扱ってきた「道の駅釜石仙人峠」(釜石市)の佐々木雅浩駅長(63)は「販売終了は地元にとっても大きな損失」と惜しむ。販売元「岩手県産」(矢巾町)の坂本昌樹総務企画課長(47)は「全国で取り扱っていただき感謝している。今後、サヴァ缶に代わる新商品を開発したい」と話している・・・

東日本大震災復興予算、2026年度から5年間1.9兆円

6月21日の朝日新聞が「復興予算1.9兆円、政府決定 26年度から5年間 立ち入り制限緩和検討、課題山積」を載せていました。

・・・東日本大震災の復興政策を決める政府の復興推進会議(議長・石破茂首相)は20日、2026年度からの5年間(第3期復興・創生期間)に投じる予算規模を、総額1・9兆円とすることを決めた。
東京電力福島第一原発事故からの復興事業が中心で、福島県への事業に1・6兆円を充てる。ハード面での整備がほぼ完了した岩手・宮城両県にも1千億円ずつを配分するが、「中長期的に取り組むべき課題」としている心のケアや被災した子どもへの支援は「真に必要な範囲」に縮小する。
復興予算は25年度までに33兆円が使われる見通しで、30年度までの20年間では34・9兆円になる。

原発事故の影響で福島県の大熊町や双葉町など7市町村に残る帰還困難区域では、立ち入り制限の緩和も目指す・・・
・・・福島県内には、原則立ち入りが禁じられている帰還困難区域が残る。面積は東京23区の半分ほどで、境界にはバリケードなどが設置されている。中に入れるのは元々住んでいた住民や防犯パトロールなどに限られ、自治体などの許可も必要だ。
国は区域内を除染して人が住めるようにする取り組みを進め、22年6月以降、役場周辺など区域全体の約8%で避難指示を解除。今はそのほかのエリアでも29年までに帰還希望者が戻れるように自宅などの除染を始めている。ただ、除染されずに残る約9割のエリアをどうしていくかの具体的な計画はない。国が基本方針に盛り込んだように、安全確保を前提に自由に活動できるようになれば大きな転換となる・・・