「復興10年」カテゴリーアーカイブ

自民党・防災体制抜本的強化本部へ出席

今日、4月9日は自民党・防災体制抜本的強化本部に呼ばれて、話をしてきました。
防災庁をつくるに当たって考慮すべき点です。東日本大震災での被災者生活支援本部事務局と復興庁を立ち上げ、拡充・改組した経験を話しました。出席者は熱心に聞いてくださって、質問もたくさん出ました。

私が、強調したのは、次のようなことです。
1 哲学の変更=「国土の復旧」から「暮らしの再建」へ
施設の復旧だけでなく、被災者の生活の目線で。インフラ・住宅の再建だけでは、まちの暮らしは再建できない。産業・なりわいの再生とコミュニティの再建が必要。
人口減少下での、まちの暮らしの再建を考える必要がある。

2 防災庁の設計案=東日本大震災での経験を踏まえると、次のような部局構成にしてはどうか。
(1)内閣府防災部局の充実
(2)復興支援部局の創設=災害復興を支援する組織がない(復興庁では主たる業務)
(3)内閣府原子力防災担当、原子力被災者支援チーム=これらを単独で置くのではなく、防災庁に含める。
(4)復興庁の福島復興部門(将来)=復興庁の見直しの際に、防災庁への移管を検討する。

3 防災庁は窓口の一本化と司令塔機能を
・実働部隊はそれぞれに任せる
・すべてについて生え抜き養成は非効率、各省庁や非営利組織の専門を生かす
・自治体との連携と支援の強化
・大臣や幹部は最低2年以上在席を

経済同友会の能登半島地震復興支援

東日本大震災の復興の際には、経済同友会に多大な支援をいただきました。能登半島地震についても、同様の支援をしてくださっています。
私も運営委員会委員を仰せつかっていて、先日、委員会がありました。オンライン会議なので、便利です。

第一期の実績がまとまりました。292の企業・法人、37名の個人から、当初目標を大きく上回る43,777,247円が集まり、被災地の高校に寄付されました(紹介動画)。
引き続き、第二期に入ります。

復興庁オーラルヒストリー2

復興庁オーラルヒストリー」(3月16日)の続きです。「東日本大震災に関するオーラルヒストリー」に、順次、関係者の話が載っています。被災者生活支援本部事務局を立ち上げたときに直ちに呼び寄せ、支えてもらった右腕と左腕(助さん格さん)の山下君と福井君の記録もあります。
山下 哲夫 元被災者生活支援チーム事務局参事官
福井 仁史 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(調査1班)

北村 信 元復興庁設置準備室参事官、元復興庁審議官
前島 明成 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(復興特区班)
阪本 克彦 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(法制班)
といった、初期に一緒に苦労してくれた官僚のほか、助けてもらった非営利団体の方も載っています。
田村 太郎 震災ボランティア連携室企画官、復興庁上席政策調査官、復興推進参与

それぞれに、苦労した点と、うまくいった点やそうでなかった点を話しておられます。よい記録になっています。読んだ地方公務員からも、「このような過程を記録し検証するところにも、その組織の強さが感じられます」との意見もありました。
私の知らなかったことも多いです。私一人でできることは限られていて、それぞれの職員に委ねていたからでもあります。

「首長たちの戦いに学ぶ 災害緊急対応 100日の知恵」

出版社「ぎょうせい」から「首長たちの戦いに学ぶ災害緊急対応100日の知恵」が出版されました。宣伝には、次のように書かれています。
「7つの大規模災害において、最前線で災害対応にあたった13人の現役首長をはじめ、国や関係団体、民間企業、NPO等による支援など、関係者の経験と知恵を集約!」

能登半島地震、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、平成26年8月豪雨、平成30年7月豪雨、令和4年8月豪雨災害を経験した市長や町長たちです。
大きな自然災害は、毎年日本各地で起きています。しかし、各地域、そして各首長にとっては初めての経験が多いです。不十分な情報、職員も役場も被災しています。その中で急がなければならない決断、重い任務です。

それは、事前に想定していることと違うことも多いのです。他の市町村長、そして役場幹部に役に立つ本だと思います。
そう思って、推薦の言葉を書きました。

集団移転した地区で見えた課題

NHKウェッブが、東日本大震災で「集団移転した地区で見えた課題は」を特集しています(3月17日掲載)。

・・・集団移転先として整備された住宅地は324地区。集団移転した人たちの暮らしはいまどうなっているのか。私たちは宮城、岩手、福島の地区で大規模なアンケートを実施。174の地区から回答を得ました・・・

良かった点と悪かった点が、整理されています。
近所づきあいや町内会が、安心をもたらしています。これは、行政では提供できないものです。東松島市あおい地区が紹介されていますが、小野会長が中心になって作り上げてきたものです。市役所も、災害前から町内会支援に力を入れていました。
他方で、小規模な集落では、高齢化とその維持が課題になっています。これは、当時から心配していたことです。

・・・「現在、空き家がある」と答えた地区は174地区のうち64地区ありました。一方で、「過去に空き家になったところに被災者以外の人が住んでいる」と答えた地区は37ありました。
宮城県南三陸町では、自然豊かな環境を気に入ったなどとして移住定住センターを利用して移り住んだ人がこの10年近くで140人以上にのぼっています。地区では移住者が将来の地域の担い手になってくれることを期待しています・・・