連載「公共を創る」は、副題が「新たな行政の役割」です。地方行政に限らず、日本の行政のあり方を議論しています。さらには、日本社会の特徴や問題を生む背景にも、議論が及んでいます。それが、行政に対応と変革を迫っているからです。
掲載誌は、時事通信社の「地方行政」です。地方公務員や地方行政関係者にも読んでもらいたいのですが、国家公務員や国家行政に関心ある方に読んでもらいたい内容になっています。ところが、地方行政にはいくつか専門誌があるのですが、国家行政には見当たりません。なので、「地方行政」に載せてもらっています。
私は長年、国家行政を議論する媒体がないことを問題だと考えてきました。それぞれの省庁や局には、白書や広報誌や専門誌があり、政策を議論できるのですが、国家行政を横断的に議論する場がありません。例えば国家公務員のあり方についても、関係者の議論の蓄積がないのです。行政管理については、季刊『行政管理研究』がありますが、範囲は狭いです。
「官僚が発言をしなくなった」という批判もありますが、議論できる場、意見を発表できる場もないのです。
これには、国家行政機構の形にも、原因があります。「分担管理原則」の下で、内閣の仕事、政策は各省(各局)に振り分けられています。それらを統合する仕組み、組織がないのです。人事も統一する組織がなく(採用と給料表は人事院でしたが)、各省任せでした。ようやく、内閣人事局ができました。
経済発展期には、各局がそれぞれを伸ばせば(部分最適)、全体が良くなる(全体最適)担ったのです。それを全体で調整したのが予算(大蔵省)でした。自治体には企画部や企画課がありますが、国では各省、各局にそのような組織はあっても、内閣にはありません。