人事院の「令和6年度年次報告書」(6月6日公表)は、国家公務員が世間でどのような印象を持たれているかという意識調査をしています。「第2部 「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略~働く場としての公務のブランディング~ 第1章 公務のブランディングの必要性 第3節 国家公務員に対して持たれているイメージ」
この調査は、2025年2月に、職業等を問わず6000人を対象に実施しました。他の業界と比較する形で実施し、比較する業界として、人材獲得において国家公務員と競合する可能性の高い、商社、コンサルタント・シンクタンク、金融機関、メーカー、地方公務員を設定しています。
「やりがいのある仕事ができているイメージがあるか」という設問では、国家公務員(本府省と地方機関勤務とも)も地方公務員も、他の業界に比べて、肯定的回答の割合が低いのです。白書は、「公務員全体に対して、やりがいについてポジティブなイメージを持たれていないことが分かる」と述べています。なお、この項目では、金融機関も低いようです。
「仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多いイメージがあるか」という設問への回答においても、国家公務員も地方公務員も、他の業種に比べて肯定的回答の割合が低いです。
「第2部 第2章 公務職場の魅力の整理」には、次のような紹介もあります。
「マイナビ2026年卒大学生公務員のイメージ調査」(2025年2月17日株式会社マイナビ)によれば、国家公務員と地方公務員を含めた「公務員」になりたい理由について、公務員を就職先として考えている人では、「安定している」、「休日がしっかりとれる」という項目に次いで、「社会的貢献度が高い」、「社会・市民のために働ける」が挙がっています。
転職希望先では、「ビジネスパーソン6500人に聞いた「官公庁・自治体への転職」意識調査」(2025年1月6日エン・ジャパン『エン転職』『AMBI』『ミドルの転職』3サイト合同調査)では、「官公庁・自治体への転職に興味がある」と回答した者が興味を持つ理由の上位は、「安定した収入を得たいから」、「仕事を通じて社会貢献をしたいから」となっています。
これに対して、国家公務員採用総合職試験等に合格して2024年4月に採用された職員へのアンケートでは、国家公務員になろうとした主な理由は、「公共のために仕事ができる」、「仕事にやりがいがある」、「スケールの大きい仕事ができる」が上位となっています。総合職では、「安定している」ことではなく、やりがいが理由になっているのです。もっとも、転職希望者調査でも「仕事を通じて社会貢献をしたいから」が二番目であり、これも広い意味で「やりがい」でしょう。
では、現役官僚はどう考えているか。内閣官房内閣人事局の2023年度「国家公務員の働き方改革職員アンケート」では、「私は、現在の仕事にやりがいを感じている」という問について、「とてもそう思う」が12・5%、「どちらかと言えばそう思う」が45・5%、合わせて58%です。他方、「まったく思わない」が6・2%、「どちらかと言えばそう思わない」が12・6%で、合わせて18・8%です。「どちらとも言えない」が23・2%です。6割が満足し、2割が不満を持っています。これは、満足度が高いと考えても良いのでしょうか。
その際に、働きがいと関連している割合が高いものは、「成長を実感できている」、「国民・社会に貢献していると実感できている」です。他方で、数年以内に離職意向を有する職員についてその要因を見ると、「自分にとって満足できるキャリア形成ができる展望がない」に次いで「成長実感が得られない」が高くなっています。現役職員については、「成長実感」の有無は、働きがいと離職意向の双方に関連しています。