カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」第29回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第29回「社会的共通資本 地域で安心して暮らす条件とは」が、発行されました。
第2章では、「暮らしを支える社会の要素」を議論しています。その1は「公私二元論から官共業三元論へ」でした。今回から、その2「社会的共通資本」に入ります。

私たちが社会で暮らしていく際に、どのような「装置や環境」が必要かを、いろんな面から考察します。
その1では、社会を律する決まり、仕組みの違いから、見てみました。そこでは、従来の公私二元論ではなく、官共業三元論の方が、私たちの社会をより良く理解できました。

その2では、町の暮らしに必要な要素を詳しく見てみます。第1章で、津波に流された町を再建するには、インフラだけでなく、サービスや人間関係も必要だと指摘しました。
そのような視点から、まず「社会の財産」を列挙し、分類してみます。「個人の財産」(といっても、建物や預貯金だけでなく、資格や友人を含めたもの)や「地域の財産」という考えを、社会に広げてみます。
今回載せた図表「社会の財産の分類」は、かつて『新地方自治入門』や大学の授業で「地域の財産の分類」として使っていた物を、拡充したものです。右筆1号、2号から、重要な指摘をもらい、わかりやすくなったと思います。右筆に感謝です。

これで、年内の掲載は終わりです。4月から連載を開始して、29回になりました。よく頑張りました。1月分は原稿を提出して、ゲラになっています。ところが、その続きに難渋しています。冬休みは、原稿と格闘しますわ。

連載「公共を創る」第28回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第28回「公私二元論から官共業三元論へ 中間集団の意義」が、発行されました。

前回、民間非営利活動として、NPOを取り上げました。今回は、その他の中間集団のもつ意義について説明しました。
近代の政治思想では、市民は自立し、政府や市場と向き合います。経済学でも、個人は自ら合理的な選択をします。しかし、個人はバラバラな砂のようなものではなく、政府もまた、個人を別々には把握しません。

中間集団の政治的機能を考える際に、中間集団を嫌う政治体制を考えると、わかりやすいです。
一つは、大革命後のフランスです。そこでは、結社は禁止されました。
もう一つは、全体主義国家、ナチスドイツ、戦時中の日本、現在の中国です。そこでは、中間集団は否定されず、促進されることもあります。ただし、国家は、それらの組織を通じて国民を把握し、国家や党の意に添わない集団は禁止されます。

これまで最も身近にあった、助け合いの中間集団は、地域コミュニティです。しかし、都市においても、田舎においても、地域共同体は小さくなりました。他方で、ムラの代替をした会社も、助け合い機能は低下しています。
今後、どのようにして、孤立する個人を共同で支えるか。新しい時代の課題になっています。

連載「公共を創る」執筆状況、第2章2途中

定例のぼやきです。
第2章「1公私二元論から官共業三元論へ」の原稿を編集長に渡したのが、10月下旬。記事にして5回分あったので、しばらく余裕を持って過ごしました。
しかし、1か月は、あっという間です。貯金が、12月19日発行分で底を突きます。とうとう、編集長から「続きの原稿はまだですか」との催促が来ました。

第2章「2社会的共通資本(1)社会の財産」は書き上げて、右筆たちに手を入れてもらいました。現在執筆している第2章は、これまでに考えていたこと、このホームページでに書いたことなどを基にしています。しかし、論旨が通った文章にするのは初めてです。政治学、経済学、社会学で議論されていることも多いのですが、これだという参考になる書物はありません。二人の右筆から鋭い指摘をもらって、書き換えました。

できた分だけを出稿するという判断もあるのですが、続く「(2)この国のかたち」や「(3)次代への責任」にも、議論がつながってくるので、なかなか完成しません。先達の議論を参考にすることも多く、その確認にも時間がかかります。
しかし、催促が来たので、見切り発車しました。

ところが、出稿してから、執筆準備のために書き留めてあったメモや買ってあった本が出てきます。「あ、これも書く予定だった」と思いだして、加筆を考えます。ゲラになってから手を入ましょう。
うろ覚えだった点を確認しようと本棚を探しますが、なかなか出てきません。しかたがないので、アマゾンに発注して配達してもらっています。中古の本は安いのがあるので、ついつい買ってしまいます。
ところが、なかなか読む時間を作ることができず、執筆に反映できないのです。昼はとてもそのような時間が取れず、夜は異業種交流会から帰って布団の中で読み始めますが、早々と寝てしまいます。全然進みません。その間に、時間が経ってしまいます。困ったものです。

(2)の原稿もまだ生煮えなのですが、早い段階で右筆たちの意見をもらった方が良いと考えて、送り込みました。右筆1号と右筆2号さん、よろしくお願いします。

連載「公共を創る」第27回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第27回「公私二元論から官共業三元論へ 民間非営利活動」が、発行されました。

公私二元論に代えて、官共業三元論で社会を見ると、さまざまなことが見えてきます。行政(政府)と企業(経済活動)のほかに、NPOや中間集団も社会の重要な要素です。
民間活動は、営利活動ばかりではありません。非営利で社会に貢献するような慈善活動や、構成員の利益のための活動などもあります。ボランティア活動やNPOの発展によって、民間非営利活動が再認識されるようになりました。

また、同業団体や宗教集団、さまざまな同好の士の集まりといった中間集団は、個人に帰属意識と安心を与えてくれます。社会にとっても、個人を孤立させない重要な機能を持っています。
政治学も経済学も、まだこれらの機能を十分に位置づけていないようです。

連載「公共を創る」第26回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第26回「公私二元論から官共業三元論へ 政府と共助と企業が支える公共」が、発行されました。

前回、公私二元論に代えて、官共業三元論で社会を見ることを提唱しました。三元論で社会を見ると、二元論では見えなかったことが見えてきます。公私二元論は、国家が民間を指導します。かつてのドイツ国家学、明治以来の日本です。他方でアメリカ社会学では、自治体や政府も、会社と同じように、住民が自分たちのために作ったものです。

公・公共という言葉を、政府、世間、良い社会という使い方に分類すると、私の連載では「良い社会」を対象にします。それは、どのようにしたら創ることができるか。
そこには、他者とのつながりがあり、慣習として引き継いでいく必要があります。この慣習をどのようにしてつくり、引き継いでいくか。それを議論します。