カテゴリー別アーカイブ: 自然科学

「近代発明家列伝」

橋本毅彦著『近代発明家列伝ー世界をつないだ九つの技術』(2013年、岩波新書)を読みました。なぜこの本を読もうと思ったのか、思い出せないのですが(反省)。

なぜこの9人が選ばれたのかは、次のように説明されています。
最初の3人は、時間、動力、空間に関わる技術で、地球規模での一体化をつくる先駆けでした。
ハリソン──世界時刻の計測
ワット──産業革命の原動力
ブルネル──大英帝国の技術ビジョン

次の3人は、音声や通信技術に革命をもたらしました。
エジソン──発明と経営の間で
ベル──電信から電話へ
デフォレスト──無線通信とラジオ放送

最後の3人(4人)は、現代人の活動範囲を飛躍的に拡大させる交通技術をもたらしました。
ベンツ──ガソリンエンジン搭載の自動車
ライト兄弟──空間意識を変えた飛行機
フォン・ブラウン──宇宙ロケットとミサイル

皆さん、どれだけ知っていましたか?
もう一つ、この本が訴えているのは、技術が革新的なだけでは普及せず、それを社会の需要に適合させること、「売れる」ようにすることが必要です。この部分は、発明家ではなく、起業家の役割になります。本人が行う場合もあります。「人に知られることなく研究していた」では、社会に認められず、普及もしません。時には、発明家の意図とは違う目的で使われる場合もあります。
科学の社会史

強い心臓

ここで言いたい「強い心臓」は、強心臓などとは違います。
人間や動物の心臓は、素晴らしいですね。一生の間、一度も休むことなく鼓動を続けるのです。止まると、死にます。それどころか、しばらく休憩しただけで、死んだり、脳死になります。

インターネットで調べると、哺乳類の心臓は一生の間に15億回打つ、動物はその大きさにかかわらず23億回と書かれています。「視野の時間的広さ・ゾウの時間 ネズミの時間2

人間の心臓は、1分間に60~80回収縮し、約5リットルの血液量が全身に送り出されているとのこと。5リットルとは、1リットルのペットボトル5本分です。すごい量です。
拍動の回数は1日約10万回、一生の間には40億回以上も打ち続けるという記述もあります。1日10万回、一生に40億回と聞くと、自分の心臓を褒めてやりたいです。
その心臓に感謝して、休ませてあげたいですが、それをすると死んでしまうし。逆に、ハラハラドキドキして心臓に負担をかけています。良くないですね。

鎌田浩毅著『大人のための地学の教室』

鎌田浩毅・京大名誉教授が『「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室』(2025年2月、ダイヤモンド社)を出版されました。

宣伝文には、次のように書かれています。
「東日本大震災によって日本列島は地震や火山噴火が頻発する「大地変動の時代」に入った。その中で、地震や津波、噴火で死なずに生き延びるためには「地学」の知識が必要になる。本書は、京都大学名誉教授の著者が授業スタイルの語り口で、地学のエッセンスと生き延びるための知識を明快に伝える」

いつもながら、わかりやすいです。400ページを超える本ですが、1800円(税抜き)です。今時、この値段でこれだけの内容の本は、めったにないでしょう。

後書きに、産業技術総合研究所の地質図が紹介されています。その一部(大分・熊本県境の宮原地域)は、鎌田先生が若き日に実査をして作られたとのこと。縮尺5万分の1の地質図を1枚作るのに、15年間没頭されたのです。

消費電力の半分はモーター

12月15日の日経新聞「エネルギーの新秩序・国富を考える」は「1%改善モーターに脚光」でした。

国際エネルギー機関(IEA)によると、21年の世界の消費電力量は24兆700億キロワット時で、この半分はモーターが消費する電力だそうです。
モーターの性能を1%上げれば(消費電力を1%減らせば)、1200億キロワット時の省エネになり、それは原発13.5基分になるのだそうです。

モーターは、電車、エレベーター、冷暖房機など様々な場面で使われていることは知っていましたが、電力消費の半分とは、知りませんでした。

新しい英単語「脳の腐敗(brain rot)」

12月16日の朝日新聞1面コラム「天声人語」は「「森の生活」から170年」でした。
・・・オックスフォード英語辞典の出版社が、今年の単語に「脳の腐敗(brain rot)」を選んだと発表した。最初に使ったのはソローだが、現在は10~20代のデジタル世代の間に広がっているという▼「取るに足らない、特にオンラインコンテンツの過剰消費による精神状態や知的能力の低下」と定義されている。昨年から使用頻度が230%も増えたとか・・・

うまく表現した、わかりやすい英語ですね。日本語にしたら、何でしょうか。「腐敗脳」「脳腐れ」ではどうでしょうか。
天声人語の書き出しは、次のような文章です。
・・・19世紀の米作家で思想家のヘンリー・D・ソローは20代の末にボストン郊外の湖畔に小屋を建て、2年余りを過ごした。自然のなかで自給自足の生活をしつつ、思索を重ねた日々の記録『ウォールデン 森の生活』は、今でも世界中の自然愛好家らに読み継がれている▼ソローは結びで、複雑な考え方や多様な解釈を軽視する社会の傾向を批判した。精神と知性の衰退につながると警告し、こう問いかけた。「英国がジャガイモの腐敗を治す努力をする一方で、より広く致命的に蔓延する脳の腐敗を治す努力はしないのか?」・・・

Oxford University Press のページ
当時はジャガイモの疫病で食糧難にあったことが、この背景にあります。4年ほどで収束したとありますが、良い対処法が見つかったのでしょうか。現在では、予防対策が採られているようです。

では、今回のオンラインによる「脳腐れ」を防ぐ薬は何でしょうか。オックスフォード大学出版局の説明には、アメリカの精神衛生センターの処方箋もリンクされています(機械に翻訳してもらいます)。
・脳の衰えは、スクリーンを見る時間が長すぎることが原因で、精神的な混乱、無気力、注意力の低下、認知力の低下などの症状が現れる状態です。
・脳を衰弱させる行動の 1 つにドゥームスクロールがあります。これは、長時間にわたってインターネット上で否定的で悲惨なニュースを検索する行為です。
・脳の衰えの結果、情報の整理、問題の解決、意思決定、情報の想起が困難になります。
・脳の衰えを防ぐ、または軽減するには、画面を見る時間を制限し、気を散らすアプリを携帯電話から削除し、不要な通知をオフにしてみてください。

ドゥームスクロールについては、ウィキペディアは次のように説明しています。
ドゥームスクロールまたはドゥームサーフィンとは、ウェブやソーシャルメディア上で大量のニュース、特にネガティブなニュースを読むことに過度の時間を費やす行為である。ドゥームスクロールは、短編動画やソーシャルメディアのコンテンツを長時間にわたって止まることなく過度に消費することとも定義される。この概念は、特にCOVID-19パンデミックの文脈で、2020年頃に造られた。
調査や研究によると、ドゥームスクロールは若者の間で主流である。これはインターネット依存症の一種と考えることができる。2019年、米国科学アカデミーの研究では、ドゥームスクロールが精神的および身体的健康の低下に関連している可能性があることが判明した。ドゥームスクロールの理由は、ネガティブバイアス、取り残されることへの恐怖、不確実性をコントロールしようとする試みなど、数多く挙げられている。