先日紹介した、田端博邦著『幸せになる資本主義』に引用されていて、興味を持ったので、ミッシェル・アルベール著『資本主義対資本主義』(邦訳1992年、竹内書店新社)を、読みました。概要は、田端先生の本に紹介されている通りです。ごく簡単に言うと、共産主義が崩壊し、世界は資本主義に一元化される。しかしその中に、2つの型の対立がある。アングロサクソン型(レーガンのアメリカ、サッチャーのイギリス)と、ライン型(ドイツや日本)である。アングロサクソン型は魅力的だが、フランスとしてはライン型を目指すべきだという主張です。筆者は、フランスの高級官僚で経営者です。原著は1991年に出版されています。約20年前です。1898年にベルリンの壁が崩れ、1990年にドイツが統合され、1991年にソ連が崩壊しました。第1次湾岸戦争が1991年、日本でバブルが崩壊したのも1991年です。まだ、EUはなく、通貨統合もされていません。この時点で、このような洞察をしていたのですね。ただし、バブル崩壊直前で、日本の評価が最も高かった頃です。アルベール氏は、その時点で、日本がアングロサクソン型に近づきつつあることを、危惧しておられました。アングロサクソン型は、個人の成功と短期的な金銭利益を土台としている。何事も利益追求のチャンスとし、人びとを競争へと駆り立てる。しかし、他人にはおかまいなしで、リスクもある。他方、ライン型は、集団での成功、コンセンサス、長期的な配慮に価値を見出す。連帯を大切にし、文化や人間にも一定の場所を与える。着実で成果も大きいのだが、魅力に欠ける。
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国家による経済への介入と道徳への介入
今、話題の、マイケル・サンデル著『これからの正義の話をしよう』(2010年、早川書房)に、次のような下りがあります。政治と宗教との関係の章p318です
1960年代と1970年代に(アメリカで)発言力を持った公共哲学では、政府は道徳・宗教問題に関して中立で、個人が自由に自分なりの善良な生活の構想を選べなければならないとされる。
(アメリカの)2大政党はともに中立の考え方をアピールしたが、その方法は異なっていた。おしなべて言えば、共和党は経済政策にこの観念を利用し、民主党は社会的・文化的問題に応用した。共和党は、自由市場への政府の介入に反対だった。その論拠は、以下のようなものである。個人は自由に経済上の選択をし、自分の金を好きなように使うべきだ。政府が納税者の金を使ったり、公共の目的のために経済活動を制限したりするのは、万人が共有するわけではない国家公認の共通善の押しつけだ。
民主党は、経済に政府がより大きく介入する措置を擁護した。だが、社会的・文化的問題になると、やはり中立性という言葉を持ち出した。政府は性行動や生殖に関する決断の領域で「道徳を法制化」すべきでないと民主党は主張した。一部の人の道徳的・宗教的信条をほかの人に押しつけることになるからだ。政府は妊娠中絶や同性愛を規制するのではなく、そうした道徳性を帯びた問題に対して中立を保ち、個人に自ら選択させるべきである・・。
なるほど、国家の介入が、市場経済と社会生活の2つの分野で、違ったのですね。納得しました。
新型インフルエンザ終息
WHO(世界保健機関)が、10日に、新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)が終息したと宣言しました。新聞が伝えています。警戒水準をパンデミックである「6」に引き上げたのが、昨年の6月でしたから、1年2か月かかったことになります。感染が確認されたのは214か国と地域、死亡者は1万8千人だそうです。
今回の新型インフルエンザは、弱毒性で被害は比較的軽くてすみました。最初の頃は、かなり厳重な対策をとりました。飛行場で体温を測ったり、隔離し、学校を休校したり。覚えておられると思います。危機管理としては、良い訓練になりました。しかし、強毒性の感染症だと、こうはいきません。
お墓の管理と経営
8月11日の朝日新聞オピニオン欄は、お墓の特集でした。長江曜子聖徳大学教授が、次のようなことを発言しておられます。
・・欧州では、お墓の問題を、福祉行政の一環として位置付けています。例えばスウェーデンでは、所得の0.07%を埋葬税として支払い、葬儀や墓の使用権の費用に充てています。無縁の墓は整理されますが、政府がその後も責任を持って遺骨の管理と祭祀を続けます。民間がお墓を経営することは、「永続的に管理できるかどうかリスクが高い」として、認められていません・・
日本では、お寺さんなどの墓地や民間の霊園と、地方自治体の墓地があります(地区の住民が管理しているのも、あるのでしょうか)。国によって違うものですね。
情報爆発
24日の朝日新聞別刷りbeに、グーグル副社長のインタビューが載っていました。記事の表題は、「『情報爆発』読み解く検索」です。
・・「人類が誕生から2003年までに蓄積した情報は、5エクサバイト。いまは同じ量の情報が、2日ごとに作られている」・・グーグル幹部は最近しばしばこう語る。5エクサバイトは50億ギガバイト、DVDだと10億枚以上の量だ。その多くが、インターネットにアップロードされているとみられる。
初期のインターネットにアップロードされる情報の大半は、文字(テキスト)だった。だが、いまは写真、音声、動画といった非テキスト系の情報が急増している。今年3月に、ユーチューブは「1分ごとに24時間分の動画がユーチューブに投稿されている」と発表した。昨年5月の段階では、毎分20時間分だった・・
すごい増加量ですね。鉄や石油などの資源について、人類が使った(作った)量のほとんどが20世紀後半だと、読んだことがあります。人口も爆発していますが、情報の爆発のすごさは比較になりません。
ちなみに、私がこのホームページのために、使っているニフティのサーバーは、現時点で36メガバイトです。私のホームページは、ほとんど文字情報なので、データ量は多くないようです。