カテゴリーアーカイブ:社会と政治

レジ袋の削減

2015年2月22日   岡本全勝

杉並区では、レジ袋の削減に取り組んでいます。買い物かごを持ってきたりして、レジ袋を受け取らない「マイバッグ持参率」60%を達成した商店を公表しています。区内で年間1千万枚以上のレジ袋を削減したそうです。「広報すぎなみ」2月21日号p6
私の行くクイーンズ伊勢丹新高円寺店は、78%です。レジ袋をもらおうとすると、1枚につき3円かかります。また、この店頭には、牛乳パックや発泡スチロールの皿(食品トレー)などの回収箱も置いてあり、1か月間の回収枚数が表示されています。これも、大変な枚数です。「捨てればゴミ、分ければ資源」ですね。

公営住宅の課題の変化、建設から住民の支援へ

2014年12月13日   岡本全勝

朝日新聞12月13日朝刊の1面は「公営住宅1/4が高齢独居」でした。朝日新聞が、都道府県と政令指定市を対象に調査したところ、全国の公営住宅で、一人暮らしの高齢者が全世帯の4分の1を占めているそうです。孤独死も多発していて、昨年度1年間では計1,320人に上っています。
公営住宅は、家を持てない人への住宅供給のために建てられました。戦後そして高度成長期に、住宅不足の対策として数が急がれたのです。そしてこの政策は、持ち家助成のための低利融資とともに、成功したといって良いでしょう。
しかし、時代とともに、課題が変わってきました。住宅の戸数は、数だけ見れば余っています。他方で、この記事が取り上げているように、住人の暮らしやつながりが問題になりました。高齢単身者だけでなく、生活保護世帯や、何らかの問題を抱えて支援を必要としている人たちの住宅にもなっています。
多くの自治体で、公営住宅は土木部の所管です。これまでは、建設することが目的でしたから。しかし、現在の状況を見ると、課題は建設ではなく、住んでいる住民の生活支援です。すると、民生部の所管なのかもしれません。また、建設なら、民間企業に委託することもできます。しかし、生活支援やつながりの維持は、やり方自体を模索中です。この問題は、復興に際しての、仮設住宅でも同様です。
拙著『新地方自治入門』で、戦後の地方行政が「役所によるモノとサービスの提供」において大成功を収めたこと、そしてその課題は終わり、「住民の関係と参加」に移っていることを主張しました。「ハードからソフトへ」「物からつながりへ」と表現する人たちも、おられます。
社会の変化とともに、行政の役割が変わり、新しい行政の手法が求められています。この記事を読んで、公営住宅に求められている政策が変わっていることを、実感しました。

倫理と法。生殖補助医療

2014年12月2日   岡本全勝

11月23日の日経新聞「日曜に考える」は「生殖補助医療、どう法整備」でした。夫婦間の不妊治療(人工授精、体外受精)は、親子関係に問題を生みませんが、第三者が関わると難しい問題が起きます。夫婦以外の人からの精子や卵子の提供、代理出産です。問題が多いので法律で禁止するという案もありますが、子供を望む親がたくさんいるので、反対も多いでしょう。そして、隠れて行う人や海外に行って行う人が出てきます。
第三者が関わった場合、誰を親と認めるのか。ここから法律の世界に入ります。親子関係を定める必要があるのです。精子を提供してもらった場合、父親はその男性か、生んだ女性の夫か。卵子を提供してもらった場合、母親は卵子を提供した女性か、生んだ女性か。代理母出産をした場合、母親は誰か。提供者をわからないままに、提供を受けた夫婦の子供にするのが、子供の幸せのような気もしますが、親を知りたいと思う子供の声にどう答えるか。
医療技術が進歩したから、出てきた問題です。現行の民法は、想定してません。どれが正しいという問題ではないので、答えを出すのは難しいです。
「臓器移植を進める際に、何をもって死と認定するか」を決めるときもそうでした。役所(官僚)が検討して、答えを出すことができるテーマではありません。論点は整理できますが、政治が決めなければなりません。倫理を政治がどう扱うか。政治や行政を論じる際の重要なテーマだと思うのですが。教科書には、出てこないようですね。

イデオロギーが持つ怖さ

2014年11月14日   岡本全勝

読売新聞「編集委員が迫る」11月7日は、佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授の「冷戦終結25年」でした。戦後日本で、マルクス主義が大きな影響力を持ったことについて。先生は、1961年のベルリンの壁建設開始直後に、ベルリンに留学されました。
・・ベルリン留学から帰り、NATOの研究を志したところ、学界からは白眼視された。NATOは米帝国主義の組織だから研究すること自体がけしからん、というわけだ。防衛大学校の教官に決まると、既に決まっていたある出版社の全集の執筆者から外された。
世界は東西冷戦だったが、日本は国内で冷戦を戦ったと言える。西欧諸国にもマルクス主義者はいたが少数派だった。知識人が二分されたのは、日本だけだ。
知識人の中で中道という考え方は人気がなかった。冷戦が終わりマルクス主義の権威は地に落ちたが、相変わらず白黒の二分法の考えで、中道嫌いは今も続いている。中道とは左右を足して2で割った考えではなく、それ自体の独立した価値がある。言い換えれば、人間性の洞察に基づく健全な常識のことだ。21世紀にこそ、中道が根づいて欲しい・・

社会の課題を解決する

2014年9月23日   岡本全勝

少子化が、日本の大きな政治課題に上ってきました。合計特殊出生率が、1989年に1.57に下がり、「1.57ショック」と呼ばれました。1994年には、エンゼルプランと緊急保育対策等5か年事業が始まりました。保育サービスはかなり改善されましたが、出生率はその後も下がり、2005年には1.26と最低になりました。昨年は1.43に回復していますが、まだ1.57にも戻っていません(9月2日付日経新聞経済教室、松田茂樹・中京大学教授)。
ここでは、社会の課題と対策について述べてみます。
同時期に問題となり対策が取られたのが、高齢者介護です。ゴールドプランが策定され、ホームヘルパーや老人ホームを急速に増やしました。2000年には、介護保険制度を導入しました。私は当時、自治省財政局の課長補佐をしていて、「こんな急速に財源手当(交付税措置)を増やして良いのかな」と、少し自信がなかったのです。しかし、これは大成功でした。高齢者が増え、介護の必要な人が急速に増えました。それだけの需要があったのです。
保険制度を取っていますが、公金でサービスを提供することは、行政は得意です。このように、成果が出ています。介護保険の場合は、それまで行政が直接サービスを提供していたものを、民間によるサービス提供に切り替え、経費や質の合理化も目指しました。
保育サービスも、お金をかければ、そして仕組みを工夫すれば、よりよいサービスが提供できると思います。
社会には公的サービス(お金や制度)だけでは、改善しない課題も多いです。しかし、そのような中でも、改善が進んでいるものがあります。女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)です。
結婚や妊娠を機に働くことをやめる女性がおられます。子育てにめどがついてから、もう一度働きに出ます。これをグラフにするとM字に似ているので、M字カーブと呼ばれています。諸外国に比べ、真ん中の落ち込みがひどかったのです。ところが、これも徐々に改善しています。9月15日の読売新聞が、「ママ世代74%労働力に。25~44歳過去最高」を伝えていました。『男女共同参画白書』平成25年版には、次のように書かれています。
・・女性の年齢階級別労働力率について昭和50年からの変化を見ると,現在も依然として「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べて浅くなっており,M字の底となる年齢階級も上昇している。
昭和50年では25~29歳(42.6%)がM字の底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成24年では,年齢階級別で最も高い労働力率(77.6%)となっている。24年を見ると35~39歳(67.7%)の年齢階級がM字の底となっているが,30~34歳の年齢階級と共に30代の労働力率は上昇しており,M字カーブは台形に近づきつつある(第1-2-1図)・・
子育て中の女性が働きやすいように、環境が改善されてきたということでしょう。それは、保育サービスの改善であり、社会の見方が変化してきた、すなわち結婚や出産を機に「やめるのが当たり前」という意識が変わってきたということです。
サービスの改善、これには公的サービスと私的サービスがあります。そして、国民の意識改革、これにも当人だけでなく周りの者の改革が必要です。社会の意識を変えるのは難しいです。しかし、できないことではありません。
現在の日本が抱えている社会問題の多くは、サービス改善では解決しません。子どもの虐待、いじめ、引きこもり、家庭内暴力、ストーカー行為、自殺、孤独死、認知症老人の迷子、男女共同参画、地方の衰退・・。続きは、次回に。