「教育」カテゴリーアーカイブ

子どもの花粉症

2月25日の日経新聞夕刊に「子供もツラい花粉症 10代の5割発症、無呼吸症候群リスク」が載っていました。

・・・今年も花粉症の季節がやってきた。つらいのは大人だけではない。最近の調査によると、10代の半数がスギ花粉症にかかっている。鼻詰まりや目のかゆみで、勉強にも支障が出かねない。子どもの花粉症の予防法や治療法について、耳鼻咽喉科医で日本医科大学大学院教授の大久保公裕さんの助言を紹介する。

子どもの花粉症はスギ花粉によるものが大半だ。全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象としたアンケート結果によると、5〜9歳でスギ花粉症にかかっている割合は1998年に7.2%だったが、2019年には30.1%を占めた。
全世代で1番多かったのは10〜19歳。98年の19.7%から19年には49.5%に増えた。
ロート製薬が24年に実施した調査では、小中学生の48%が花粉症の症状を感じていた。発症年齢は平均で6.5歳だった。

スギ花粉症はかつて成人が発症するものとされていたが、今では年代を問わない病気となっている。子どもの頃から適切な予防と治療が必要だ。
症状は大人と同じように、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどがみられる。花粉自体に害があるわけではなく、体の免疫が花粉に過剰反応することで、こうした症状を引き起こす。
鼻で呼吸しづらくなり、夜熟睡できなくなる子どももいる。鼻呼吸は大人より重要で、詰まっていると睡眠時無呼吸症候群になってしまう恐れもある。睡眠不足になって学校で勉強に集中できず、授業中に寝てしまう子どももいる。

花粉症の子どもが増えている要因の一つは、子どもたちの体が「自然に負けやすくなっている」ことだ。
家の中でテレビゲームやスマートフォンで遊ぶことが増えて、外で土と触れ合ったり、細菌と接触したりする機会が減った。自然の環境に体が慣れておらず、花粉に過剰に反応している可能性がある。
このため、花粉症にかかりにくくする予防策として、普段から外でよく遊ぶようにしてほしい。毎日バランスのよい食事をとり、免疫力を高めておくことも大切だ・・・

社会の変化に追いつかない意識

先日「増えた大卒、希望する職とのずれ」を紹介しました。ここ30年で高卒就職者は7割減ったのに対し、大卒就職者が4割近く増え、製造や建設などの現場が人手不足に苦しむ一方、事務職は求職者が求人を17万人上回っています。

2月18日の日経新聞夕刊、曽和利光さんの「就活のリアル」に「新卒の3年内離職率35%」が載っていました。
・・・大学の新卒入社の3年以内離職率は高まり、直近のデータでは約35%となっている。学生側が優位の売り手市場とあって、企業側のみならず、学生の側にも原因があると専門家は考えている。
大学の新卒入社(2021年)の34.9%が3年以内に離職していることが厚生労働省の調査でわかった。これは直近15年間で最大だ。企業は離職防止努力はしている。採用基準を精査し、面接担当者にトレーニングを施し、管理職にマネジメント力向上研修を実施している。しかし、残念ながら数値が改善される様子はない。

ただ、離職の増加は企業だけのせいではない。学生の側が自分に合う会社を見誤っているという側面もある。自己分析や企業研究が曖昧であれば、「なんとなく」合っていると思う会社を受け、深い吟味をせず入社する。当然ミスマッチとなりやすい。売り手市場で内定が取りやすいので、そんなことも起こりうる・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。
多くの人が高卒で就職し、大卒が少なかった時代の意識が、まだ続いているのではないでしょうか。
そのような時代だと、大卒は「選ばれた社員」で、幹部候補として育てられました。しかし、大卒が増えると、増えた分は、それまで高卒の社員が従事していた仕事に就くことになります。みんながみんな、かつての大卒のようには出世できません。
また、農業や自営業が多かった時代は、企業、それも大企業に就職することは、憧れでした。そして、テレビなどでは現場の作業員ではなく、事務職がきれいな職場で働く姿が描かれます。会社も募集活動の際に、「うまくいった先輩」の例を示し、そうでなかった先輩の事例は説明しないでしょう。学生は、職場の実態を知らずに就職し、描いていた理想像と異なることに悩むのでしょう。
しかし、大卒の新卒入社の35%が3年以内に離職するとは、驚きです。

「高卒男子を囲い込む」政策の失敗」も、社会の変化に追いつかない意識の一例でしょう。「30年という時間、体感と社会の変化」で、この30年間の日本社会の変化は少なかったと書いたのですが、この点では違っています。

ヨーロッパ、校内スマホ禁止

1月29日の朝日新聞に「欧州、苦肉の校内スマホ禁止 中高で広がる、法制化も議論」が載っていました。
私も、最後に引用した「たばこが特定の年齢や特定の場所でしか喫煙ができないように、スマホについても検討すべき時が来た」との意見に賛成です。お酒、賭博、有害図書などと同様に、未成年の発育を妨げるものは規制すべきです。

・・・ベルギーでは、日本の中学・高校にあたる多くの学校で、スマートフォンを禁止する動きが出ている。欧州各国にも広がり、それに反対するデモまで起きる事態になった。

11~18歳が在籍する、首都ブリュッセルから南西へ約30キロにあるこの学校では、約10年前から先駆的な取り組みとして、学校にいる間のスマホの使用を禁止している。ニコラ・スピルスティンズ校長(48)は「生徒同士の会話の時間が増え、SNSによるトラブルも起きにくい」と説明する。
スピルスティンズ校長ら教師の悩みの種になっているのがSNSだ。
利用者の好みに合わせて投稿が表示される「おすすめ」を見続けることで依存的になったり、同級生らの顔写真を使った「なりすまし画像」の投稿がいじめにつながったりするのだという。「スマホに依存すると、子どもは『孤立』する。校内だけでも使わせないのが一番の解決策だ」とスピルスティンズ校長は指摘する。
校内でのスマホ使用を禁止するとともに、SNSの危険性や影響、なぜ他人の写真を勝手に投稿してはいけないのか、といったことを教える授業も始めた。

一方、スマホの校内での使用を禁止する動きは、各国にも広がっている。ユネスコが2023年に発表した報告書によると、世界の4カ国に1カ国が、学校でのスマホの禁止を法律やガイドラインで定めている。
フランスもその一つで、18年に幼稚園から中学校までを対象に、校内でのスマホの使用を全面的に禁止する法律を定めた。オランダでは「勉強の邪魔になる」として昨年から、小学校から高校を対象に、スマホだけでなく、タブレット端末やスマートウォッチも禁止に。イタリアは昨秋から中学校までを対象に、デジタル教育などの教育目的も含めてスマホを全面的に禁止した。

世界保健機関(WHO)は、若年層のSNS依存を防ぐために、学校でのスマホ禁止は有効との見方を示している。
昨年9月に発表した欧州、中央アジア、カナダの11歳から15歳の約28万人を対象にした調査の報告書によると、全体の11%がSNSの使用を自ら止められない「依存状態」であることがわかった。男子の9%に比べて女子は13%と割合が高かった。
WHO欧州地域事務局のナターシャ・アゾパルディ・ムスカット国別保健政策・システム部長は、「たばこが特定の年齢や特定の場所でしか喫煙ができないように、スマホについても検討すべき時が来た」と指摘し、規制が必要との考えを示した・・・

増えた大卒、希望する職とのずれ

1月20日の日経新聞に「増えた大卒、職とミスマッチ 「事務希望」は17万人過剰」が載っていました。

・・・製造や建設などの現場が人手不足に苦しむ一方、”人手過多”となる職種が生まれるミスマッチが起きている。特に事務職は求職者が求人を17万人上回る。ここ30年で高卒就職者は7割減ったのに対し、大卒就職者が4割近く増えたことが一因だ。成長に必要な労働力を確保するには、働き手を増やすだけでなく求人と求職者のズレを埋める必要がある。

厚生労働省がハローワークの状況をまとめた一般職業紹介状況(24年11月、パートを除く)によると、「建設・採掘」は求人が11万2千人で求職者(1万8千人)の6.2倍、ドライバーなど「輸送・機械運転」は2.4倍、製造などの「生産工程」は1.7倍に上る。情報・通信技術者や看護師など「専門的・技術的職業」も2.1倍だ。
対照的に大卒文系の多い「事務」は求職者が30万5千人と求人(13万3千人)を大きく上回る。

背景には過去30年で新卒就職者の学歴構成が大きく変わったことがある。
学校基本調査によると、24年に就職した高校(全日・定時制)新卒者は12万9千人で1994年の45万9千人から7割減った。高卒は製造・建設業などの人材供給源だったが、同分野への就職者は直近で6万人程度と30年前に比べて6割減った。団塊の世代が2010年代に65歳以上となって退職が相次いだ影響もあり、人手不足が深刻化した。
大学新卒者は45万2千人で30年前(32万5千人)より4割近く増えた。以前から多かった専門職や事務職に加え、販売職やサービス職も増え進路が広がったものの、製造業や建設の現場を選ぶ人は少ないままだ。
きついイメージのある職が敬遠されやすいほか、賃金面の要因もあるとみられる。賃金構造基本統計によると、専門職の39万1千円、事務職の33万円に対し製造現場など「生産工程」は30万2千円となっている。

・・・労働需給のギャップは一段と開く。リクルートワークス研究所の推計で、ドライバー(輸送・機械運転・運搬)は40年に99万8千人が不足。413万2千人の必要人数に対し不足率が24%に達する。建設は65万7千人で不足率は22%。生産工程は112万4千人で同13%だ。

・・・相次ぐ大学や学部の新設もズレを広げた。大学数は1974年度の410校から2024年度は813校になり、学部数も2倍以上になった。
金子元久・筑波大特命教授(高等教育論)は「1960年代以降、法学や経済学、商学など比較的に低コストの分野の学部が増えた。企業側は採用後に自ら訓練するのが前提だったので大学での教育内容を問わなかった」と説明する。
少子化による生産年齢人口の縮小が進むなか、個々人の知識や技能、能力などを最大限引き出す「人的資本経営」の考え方が広がる。社会・経済に必要とされるのはどんな人材で、どう育てるのか。限られた働き手を生かすには、教育界と企業が向き合い”昭和型”の人材育成から脱却することが求められている・・・

学校の制服

1月17日の読売新聞に「学校の制服 必要?」が載っていました。
・・・中学校や高校で服装について見直す動きが広がっています。従来は学校が指定する制服の着用が一般的でしたが、性的少数者(LGBT)への配慮や自主性を養うために服装の選択肢を増やしたケースもあります。進学を控えた季節、制服のメリットやデメリットを考えてみましょう。

〈A論〉身なり悩まず済む 連帯感や責任感も
茨城県立下妻第一高校(下妻市)は創立125周年を迎えた2022年4月、付属中学設立にあわせて制服を刷新しましたが、伝統の黒色は残し、男子向けの詰め襟も踏襲しました・・・
・・・大手制服メーカー「菅公学生服」(岡山市)が23年7月に全国の中高生1200人を対象に行った調査では、制服が「あった方がよい」との回答が「どちらかと言えば」も含めて84%に上りました。制服の良いと思う点(複数回答)は、「学生らしく見える」59%、「毎日の服装に悩まなくてよい」54%、「どこの学校か一目で分かる」39%、「服装による個人差がでなくてよい(平等である)」33%などの順でした。
同社企画開発部の吉川淳稔部長は「制服は連帯感や学校への帰属意識を生み、服装から家庭の収入格差を感じずに済むメリットもある。制服代は入学時には負担に感じるかもしれないが、3年間着られる耐久性を考えて、エコな服装として愛着をもって着てほしい」と呼びかけています・・・

〈B論〉私服で自主性育む 個性考える機会に
東京都立井草高校(練馬区)は、指定の制服がありません。服装は自由で毛染めやメイク、アクセサリーの着用も認めています。生徒会長の2年中西夏希さん(17)は「いつも好きな洋服を着られて、季節によっての温度調節も楽」と話します。
生徒が同校を進学先に選ぶ際、制服がないことが魅力となっています。私服での登校は少なくとも約50年前から認められていたようで、多くの地域住民に「井草らしさ」として受け入れられています。私服を認めることは、生徒の個性を尊重し、自ら考える自主性を育むメリットがあると考えられています。生徒会担当の中野健教諭(44)は「体育祭や文化祭など、教員が関わらなくても自主的に動く気質の生徒が多い」と胸を張ります・・・

都道府県立高校(全日制)のうち制服や標準服がない学校は、3007校のうち101校で約3%です。詳しくは、記事をお読みください。
私は、奈良女子大学附属高校の生徒会長時代に、制服(男子は詰め襟、女子はセーラー服)を廃止しました。それまでの制服は標準服として残しました。何人かは引き続き標準服を着ていましたが、ほとんどが私服を着るようになりました。家庭の貧富の差も指摘されましたが、友人が「制服の下に着ているものや腕時計で、制服でも差が出ている」と反論しました。自由化して、毎朝何を着ていくか困りました。そんなに服を持っていなかったからです。
大学生や社会人になると、いやおうなく服装を考えなければなりません。その訓練を受けていない若者は、大学時代はとんでもない服装をし、社会人になると「紺のスーツ」という制服を選ぶことになります。「夏服・クールビズ騒動