次に、仕事の仕方があります。上司からは明確な指示が出て、部下がそれに答えているか。指揮命令系統は、はっきりしているか。各人に与えられた目標は明確か、成果はきちんと評価されているか。
また、庶務がしっかりしているかどうかも、重要です。職員が仕事をしやすいように、パソコンや備品をそろえたり、出張旅費や福利厚生を素早くやってくれるかです。表からは見えにくいですが、「縁の下の力持ち」です
このほかに、「社風」とも言うべきものがあります。職員が新しい仕事に挑戦する雰囲気にあるか、会社がそれを許すか。自由闊達な雰囲気で、風通しがよいか。職員は、のびのびと仕事ができるか、それとも上司の顔色をうかがっているか。派閥で人事抗争を繰り返しているかなどなど。これは、最も目に見えない要素です。
同じように職員をそろえていても、良い上司がいて、良い雰囲気の職場だと、良い成果が出ます。その逆もあります。
このように、単に人数を集めただけではダメ、職員一人ひとりの質を向上させるだけでもダメなことが、わかってもらえるでしょう。組織の能力とは、職員の数と質の合計ではないのです。
さて、職員の人数は多い方が、そして職員の質は良い方が、上司としてはありがたいですが、常に満足できる水準とは限りません。ほとんどの場合は、不足している中で、やりくりを考えなければなりません。
他方、組織編成、明確な指揮命令系統や指示、職員にやる気を出させること、社風は、上司が努力すれば、かなりの部分は改善できます。そして、経験不足の職員を育てること、腐っている職員を再活性化することも、上司の仕事です。
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生き様-仕事の仕方
組織の能力。職員の数と質、組織の編成
ずーっと考えていることに、「組織の能力は、何で決まるか」があります。それは、「組織の能力を向上させるには、どうしたらよいか」でもあります。
会社や官庁が良い成果を出すためには、責任者は「業務の管理」と「組織の管理」をしなければなりません。良い成果を出すために、「いつまでに、どのような成果を出すか。そのために何をするか」と、業務を管理する必要があります。しかし、それを支える組織がきちんと動かないと、成果は出ません。上司が指示を出しても、「笛吹けど踊らず」です。組織を管理する、すなわち組織を作り、その質を向上させる必要があるのです。
まずは、人数が必要です。仕事量に応じた職員数がないと、仕事はこなせません。
次に、その職員集団をどのように編成するかという、分割・編成論があります。製品や政策ごとに分けるのか、地域ごとに分けるのか。全体を、どのような「分野別」小集団に分けるかです。そのような分野別(縦割り、方面軍)とは別に、本社(参謀系、官房系)の組織があります。人事、会計、企画などです。これらは、縦割り小集団を側面から助け、統一を取る、横串になります。そして、この縦割りと横串を、どう組み合わせるかです。これらをうまく分別し、組み合わせないと、組織全体は能率良く動きません。
その次に、職員の質があります。能力のある職員とそうでない職員。また、その仕事に向いている職員と向いていない職員がいます。さらに、やる気(モラール)の差があります。能力があっても、腐っている職員では、良い結果が出ません。それぞれのポストにふさわしい人を配置する人事配置も、重要です。ここまでは、職員とその質の問題です。
この項、続く。
夜の残業から早朝勤務への転換、3
昨日、朝早く出勤すると、仕事がはかどると書きました。それは、電話が鳴らない、職員が「攻めて」こないからです。もう一つ、もっと重要な要素を、書き忘れていました。
朝は、気力と体力が充実していて、能率が良いのです。それに比べ、夕方5時頃だと、もうヘトヘトになっていて、「中央演算装置」(脳みそ)の処理能力が低下します。
夜の残業から早朝勤務への転換、2
昨年夏に、「伊藤忠商事が、社員の労働時間を朝方にシフトさせ、残業を減らすための賃金制度を導入する。時間外手当の割増率を、夕方以降の残業より、早朝勤務の方が高くなるように見なおす」ことを紹介しました(2013年8月2日)。2月4日の日経新聞キャリアアップ欄に、その後の実績が載っていました。
昨年10月から実施され、夕方以降の残業より、午前5時~8時台に時間外手当の割増率を高く設定しました。対象は、役員と海外社員を除く、2600人の正社員です。導入から4か月が経ち、東京と大阪の本社では、約3割の社員が午前8時までに出社し、前年同月比で約2倍に増えました。他方、一人当たり月平均37時間だった残業時間は、4時間半減ったそうです。
記事では、別の会社で、朝6時半過ぎから働く社員や、7時から働く社員の例が取り上げられています。早朝は、電話がかかってこず、職員から声をかけられて仕事を中断されないので、集中するにはもってこいです。その人の経験では、残業では3時間かかった仕事が、朝なら1時間半で片付くのだそうです。
霞ヶ関の多くの職員は、9:30~18:15が勤務時間です。私は、8:30~17:15にしています。職員が出勤し始める9時までが、仕事がはかどります。もっとも、17:15に退社できることは、まずありません。もう一つ、仕事がはかどるのは、休日です。しかしこれは、残業削減の趣旨に沿っていません(反省)。
国会が始まりました
今週もあっという間に終わって、今日は金曜日です。26日月曜日から国会が始まったので、霞が関の多くの部署は、国会対応時期に入りました。今風にいえば、「国会モード」です。幹部は、質問が出るのを待って、答弁作り。そして、早朝の大臣へのご説明。若手職員は、国会質問が出そろうまで、職場で待機。関係部署は答弁案ができるまで、残業です。大臣が朝から夕方まで国会に出席しておられるので、その間は現地視察どころか、私たちからの説明もできません。事前に審議日程が決まらないことも、予定を立てられないので、困ります。
もちろん、その間に、国会提出法案の準備があり、通常業務もあります。しかし、人間に与えられているのは1日に24時間です。国会中心の仕事になると、他の仕事の優先順位が後回しになります。答弁案に、完成時刻が28時とか書いてあると、「う~ん、この担当職員に、今日新しい仕事を与えるのは、あかんなあ」と考えてしまいます。国会での審議に答えるのは、民主主主義の基本です。しかし、公務員の仕事や待機を、もう少し効率化できないかは、大きな課題です。