カテゴリーアーカイブ:仕事の仕方

電子メール誤送信防止・フールプルーフ

2018年9月14日   岡本全勝

「フールプルーフ」という言葉をご存じですか。英語で、fool proofです。
辞書には、「利用者が間違えた操作をしても、危険な状態を招かないようにする仕組み」というような説明があります。

電子レンジが出始めた頃の話です(うろ覚えなので、不確かなのですが)。水虫を治そうと、足を入れて作動させた人がいたそうです。体内の水分が沸騰して、大やけどになります。そこで、扉を閉めないと、作動しないようにしたのです。
この時に、フールプルーフという言葉を覚えました。私は英語を直訳して、「バカ防止装置」と理解しました。「不注意による失敗防止装置」の方が、正しいですね。
(インターネットで調べると、そのような事件はでてきません。そもそも電磁波が外に漏れ出さないように、扉を閉めないと作動しないようにしてあるそうです。すると、私の記憶は間違いですね)

さて、何を言いたいか。ケアレスミスといわれる不注意による失敗は、通常なら起こらないのですが、何かの拍子にやってしまいます。職場でよくある失敗は、ファックスや電子メールの誤送信です。そこで、いろんな防止策がとられています。
・ファックスで送る場合は、2人以上で確認すること。
・電子メールを送る際に、「宛先は間違いないですか」と警告が出る仕組み。
・電子メールで、添付ファイルを送る際に、「その添付ファイルは間違いないですか」と警告が出る仕組み。
・外部の人に電子メールを送る際に、送信ボタンを押してから実際に送信するまでに、数分間時間をおいて、取り消しができるようにする仕組み。

私の職場でも、いくつかの仕組みが入っています。
私は、すべての電子メールの送信の際に、「確認画面」が出るようにしています。「面倒だなあ」と思うことがありますが。この仕組みのおかげで、何度か失敗を防ぐことができました。

役に立つ肝冷齋

2018年9月7日   岡本全勝

漢文の識者である肝冷齋は、難しい中国古典を解説してくれるのですが、時に難しすぎて、あるいは妖怪変化が多く、私の理解を超えることがあります。
たまには、わかりやすい教訓も書いてくれます。
包容力は、努力で具わる

・・・明初の名官僚で、その有能と誠実を以て、史上屈指に血なまぐさいこの時代に何度も失脚しながら復職し、戸部尚書を通算三十年ぐらい務めた夏原吉は、
徳量閎厚、人莫能及。
徳量閎厚にして、人よく及ぶ莫し。
包容力が広く、厚く、誰も敵わなかった。
と言われる。「徳量」はとりあえず「包容力」と訳しておきますが、要するに人を容れる「器量」のことです。

あるひと、問うて曰く、
量可学乎。
量は学ぶべきか。
「包容力というのは、後天的な努力で具わるものですか」
夏は答えた・・・

身につけた経済力を生かす

2018年9月1日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、先週は大和証券グループ本社会長 日比野隆司さんでした。「危機は乗り越えられる」第3回、8月29日から。入社3年目に、ロンドンに赴任されます。

・・・ロンドンに到着したのが早朝5時。迎えにきてくれた先輩と朝食をとると8時にはオフィスへ。着くやいなや仕事でした。
顧客からの電話ががんがん鳴ります。国債や円建て外債(サムライ債)の注文に、こちらから価格を提示しなければなりません。かたことの英語しか話せませんから脂汗でした。昼休みに英語で市場コメントをテレックスで送り、午後また電話対応。夜はニューヨークへファクス。へとへとの初日でした。
そのくらい業務が急拡大していました。円の国際化が進み、ユーロ円債市場も発展する時期です。「ザ・セイホ」と呼ばれ、日本の機関投資家の動きを世界が注目していました。ロンドンの金融街シティで、日本人が肩で風きって歩いた唯一の時代といっていいでしょう・・・
・・・日本は80年代の圧倒的な存在感を持続できず、実力も上げられなかった。正気を失い、バブルに踊った結果、大変な不良資産を抱えてしまった。日本にとって痛恨だったと思います・・・

日本経済が世界第2位の地位にあり、さらに円が圧倒的に強かった時代。それを生かすことはできませんでした。世界の有名ビルや会社などを買収しましたが、成功した例はほとんど無いようです。
経済学では、バブルの分析がたくさんなされています。また、当事者たちの証言も出ています。
私が知りたいのは、そのような経済分析や当事者の行動でなく、日本社会がなぜその実力を生かせなかったか、そしてそこから得た教訓はなにかです。

将来、日本が第2位の経済大国になることはないでしょうし、バブル経済はあっては困ります。しかし、身につけた(経済的)実力を、どのように活かすか。「あの頃は良かった」という懐古趣味ではなく、また「金融政策が間違っていた」という原因論や責任論でもなく。日本社会として、教訓を共有しておくべきです。

日本は、貧乏な国から出発して、戦前は一等国に、戦後は経済大国になりました。しかし、そこで浮かれて、それぞれ「敗戦」してしまいました。貧乏から努力することは得意なのですが、金を持ってからの生き方に慣れていないようです。
これに対し、ヨーロッパやアメリカの富裕層や金融機関、会社なら、どのように対処したか。彼らには、浮き沈みを含めて、長年の経験があります。その経験を踏まえて、「金持ちとしての振るまい」を身につけましょう。
司馬遼太郎さんなら「この国のかたち」として、鋭く分析してくださったでしょう。

なお、文中に次のような文章も出てきます。ここは、私と同じですね(日経夕刊コラム「仕事人間の反省」)。
・・・いつも会社にいるので、「会社の備品だな」と先輩に呼ばれましたね・・・

夢を実現する、日本のサッカー

2018年8月31日   岡本全勝

先日から「夢と計画と構想」を書きました。これに関して、日本のサッカーの隆盛を思い出しました。

かつて、日本でスポーツと言えば、野球でした。サッカーは、少数者のスポーツでした。もちろん、プロリーグもありませんでした。
サッカーワールドカップ2018で、日本代表が活躍しました。今でこそ、日本代表チームはワールドカップに続けて出場していますが、これも最近のことです。日本にとって、世界は遠かったのです。

長沼健・元日本サッカー協会会長・日本代表監督のインタビューを見て(かなり昔です)、印象に残っていることがあります。「私には、3つの夢があった」とおっしゃいました(うろ覚えなので、正確ではありません)。
1つめは、日本代表がワールドカップに出場すること。
2つめは、日本でワールドカップを開催すること。
3つめが、何面ものコートを持つナショナルトレーニングセンターを作ること、でした。
長沼会長は、生きている間に、この夢を3つとも実現されました。2は、2002年日韓ワールドカップです。3は福島にあるJビレッジです(現在は他の地域にもできています)。もちろん、彼一人でできたわけではありません。

夢を実現する、多くの人にとって、あこがれです。一人で実現できること、すなわち出世や金儲けなどもありますが、社会を巻き込まなければ実現できないこともあります。
日本サッカーが強くなったのは、プロリーグ化です。しかし、これも簡単ではなく、関係者も半信半疑だったのです。
為せば成る。やればできる。挑戦しない限り、夢は実現はしません。
「夢」と笑われるような、難しい目標を持つこと。そして大きな計画を作りつつ、地道に努力を重ねること。さらに、周りの人を巻き込む能力が必要です。大きな夢を実現するための秘訣でしょう。

夢と計画と構想2

2018年8月30日   岡本全勝

夢と計画と構想」の続きです。
私たち行政の世界でも企業の世界でも、上に立つ人、新しいことを実現する人には、この「構想力」と「実現する力量」が必要です。

ここで注目したいのは、後者の「実現する力量」です。先を読み、構想を練ったあと、関係者を説得し、賛成者を増やしていく課程です。よい計画や構想を立てることは、かなりの人ができます。しかし、この「計画・企画を実現する力」は難しいです。

その際には、周りの人を巻き込む能力が必要です。関係者を納得させ、実現に向けて進めなければなりません。一人で「私が正しい」と言っても、進みません。すると、「あの人の言うことなら」といわれるように、支持者を増やさなければならないのです。
そのためには、小さなことから始めて、難しいことを実現してみせる。そして信頼を増やしていくことが必要です。ここは、政治の世界です。

自然科学の世界では、仮説を立て、実験を繰り返すことで、実証することができます。しかし、行政や企業の世界では、関係者の理解を得ないと実現しないのです。
(以下、蛇足のことながら)
逆に、変な案でも、関係者に支持されると実現してしまいます。戦争、無責任な政策(例えば財源裏打ちのないばらまき)、ポピュリズム、売れない製品など。この項続く