カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

職員同士の相談、雑談

職場で、事務室に行くと(学長は個室)、職員が別の職員の横に座って、あるいは立って、話しをしている場面を見ることがあります。この様子を見ると、安心します。
職員の悩みは、抱えている仕事をどのように進めたら良いかわからないことと、人間関係です。『明るい公務員講座』で、「一人で悩むな」と力説しました。
職員が他の職員に相談していることは、たぶん仕事の進め方でしょう。すると、彼女・彼は、一人で悩むことなく相談相手を見つけたということです。
あるいは、相談ではなく、ちょっとした雑談かもしれません。

それは、職場の風通しがよいということです。最近の言葉では、心理的安全性と言うそうですが。ちょっとしたことを言える職場が、職員を孤立から守ります。
「わからないことがあれば質問してください」は正しいのですが、それを切り出すのに「敷居が高い」ことがあるのです。

日本の職場は基本的に大部屋で、職員は係ごとに仕事をします。机は係ごとに島になっています。外国では一人ひとりに仕事が与えられ、個室やブースで仕事をします。最近では、在宅勤務も進んでいます。
しかし、大部屋で他の職員と一緒に仕事をする利点は、もっと評価されるべきです。
参考「社会人1年生が好きな時間の第一位が、同僚や上司との雑談

リーダーは桃太郎であれ

11月28日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は、杉本和行・前公取委員長の「リーダーは桃太郎であれ」でした。

「リーダーにとって最も重要な仕事は時代にあわせて組織の使命や存在意義である『ミッション』を定め、発信することです。何度もメンバーに伝えることで、一人ひとりが自分ごととして考え、使命感につながります。能力が発揮され、組織の実績も上がっていきます」

「典型的なロールモデルは童話『桃太郎』です。ミッションは鬼退治であり、それを達成するために犬や猿、キジと部下を募っていく。犬は攻撃力、猿は知力と迅速な行動力、キジは情報収集力と、部下はそれぞれの創意工夫で力を発揮する。報酬やインセンティブはきびだんご。非常に示唆が深いと感じます」

ウェルビーイングの国際規格

11月21日の日経新聞に「中高年「働きがい」向上へISO規格 指標作りのヒントに」が載っていました。

・・・企業や自治体が社員や住民のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を向上させるのに役立つ国際標準化機構(ISO)の規格がこのほど発行した。企業が指導的な役割を担う中高年の社員など向けに、仕事の意欲を高める行動計画作りの手順や効果を測る指標を考えるのに役立つ。規格に沿って取り組む企業は、人材の確保や投資の受け入れで有利になりそうだ。

ウェルビーイングは人々が身体や精神面、社会的に良い状態にあることを指す概念だ。1940年代に世界保健機関(WHO)憲章に書かれた言葉で、ここ数年は日本でもよく使われる。ただ個人の価値観は多様で、ウェルビーイングの具体的な姿は一人ひとりで異なる。そのために企業などが目標や達成する手段を設定するのが難しい面があった。
だが日本や世界では心身の病気や孤独に悩む人が増えている。WHOは2023年、うつ病に悩む人は世界で2億8000万人に達すると発表した。調査会社の米ギャラップによると世界人口の2割強が強い孤独感を抱える。特に中高年の社員は仕事の責任や加齢に伴う体の変化で体調を崩しやすい。

そこでISOは中高年の社員や住民などを念頭に、ウェルビーイングの指標作りなどに役立つガイドラインにあたる規格を作った。ISOの規格は国際的な取引を円滑に進めるために、世界で同じ品質や水準のサービスなどを提供するために作る。日本や米国、中国など約30カ国が10月に実施した投票で規格案が通過し、11月12日に発行した・・・

・・・規格は企業や自治体がウェルビーイングの向上を目指す手順を示す。まず企業の社長や自治体の首長など、議論を主導する人物を決める。次にウェルビーイングの達成度を測る様々な指標や、測り方を定める。指標は仕事への意欲や幸福感など主観的なものと、業績など客観的なタイプの両方を含む。
続いて実施する対策の効果を調べる。例えば企業ではアンケート結果などを基に社員の性格や部署との相性を人工知能(AI)で分析するツールを使い、人事面談や労働環境の改善、人員の再配置に生かす。その後に仕事への意欲がどう変化したかも調べ、次の改善策につなげる。

企業は規格の手順に従い、ウェルビーイングの向上を目指す。ポイントは主に2点ある。まずは体の健康や社員の人間関係の改善、働く意味の提示などの様々な関連分野のうちでどれを対象に選ぶかだ。次に目標に向けて適切な指標を設定することが大切だ。経済産業省が認定している健康経営に取り組む企業の事例が参考になる・・・

失敗を畏れず、失敗から学ぶ

日経新聞・私の履歴書、ヘンリー・クラビス・KKR共同創業者兼会長。10月28日の「失敗に学ぶ」から。

・・・プライベート・エクイティ(PE)投資は素晴らしいアイデアだと思ったが、我々が始めた頃は誰も手掛けておらず、成功の保証もなかった。
始めるにあたり、失敗をいとわないことは必須だった。起業家なら誰もがそう言うだろう。「私は間違えたことがない」。こう言う投資家がいたら、その人は記憶が飛んでいるか投資歴が浅いか、真実を見失っているかだ。
KKRの最も偉大なイノベーションで、率直にいって会社を最も変えた決断も、悲惨な失敗と背中合わせだった・・・
・・・失敗で何を学ぶかも重要だ。「失敗したらさっさと認め、何を学んだのかまで周囲に話してしまえ」。ジョージは社内でこう勧めている。

失敗を認めない風土は危うい。「深刻な問題がある」。1990年代に金融危機が日本を襲う前、邦銀のCEOに切り出された。「問題って何ですか?」と私。「実は大量の不良債権がある」と彼。衝撃を受けた。その後の自滅は歴史が示す通りだ。
失敗に早く向き合って治せば軽傷で済んだのだ。ゴミをじゅうたんの下に隠し続けると、じゅうたんはゴミで膨らみ掃除も難しくなる。

失敗を容認しないと、企業の成長に必要なイノベーションも起きない。ジョージは「悪いアイデアより悪いのがノーアイデアだ」と警告する。
若い人には特に、失敗とそれを克服する機会を与えた方が良い。いずれ失敗するのだ。苦労を重ねるうち、良い判断の数は失敗を上回っていく。
失敗を語ってもいい文化は、新しいことに気持ちよく挑戦する風土を生み出す。ジョージと私は、「うまく行ったら手掛けた人の手柄。行かなかったら私たち2人だけの責任だ」と言って現場の雰囲気を和らげてきた。これからそれは、共同CEOを私たちから継いだ2人の仕事だ・・・
仕事ができる人は「ありがとう」を言える人

デンマークの生産性に学べ、16時に帰宅

10月23日の日経新聞オピニオン欄、半沢二喜・論説委員の「デンマークの生産性に学べ モーレツNG、16時に帰宅」から。

・・・スイスの有力ビジネススクールIMDが6月に発表した2024年の世界競争力ランキングで、デンマークは3位。前年の首位から落ちたものの、「ビジネスの効率性」という指標ではトップをひた走る。それぞれ38位と51位に沈んだ日本とは対照的だ。

高い効率性の背景には徹底した無駄の排除と社員のモチベーションの高さ、管理職のマインドセットがある」と針貝氏は指摘する。
働く個人は仕事に優先順位をつけ、4番目以降のタスクは捨てる。会議は相手の時間を奪うため、参加者を厳選し延長しない。ランチは30分で済ませ、午後4時には仕事を切り上げる。家族との夕食や私生活を大切にするからだ。仕事優先で家庭を顧みなければ離婚を迫られることも度々ある。効率化の原点は生活を重視する姿勢にある。

「上司は部下を管理するのではなく、ファシリテーター(促進役)に徹している」と針貝氏は話す。信頼ベースで若い人にも大きな仕事を任せ、日本のように細かく口出しするマイクロマネジメントは一切しない。そんな時間的余裕もないからだ。適材適所を最重要視し、組織のパフォーマンスを最大限に引き上げることを目指している。
上司が業務の必要性を説明できなければ、部下から拒否されることもあるという。就業時間中にスキルアップに取り組めるのはもちろん、週に1日、自由な行動を認める企業もある。個人をプロとみなすフラットな組織運営が士気と挑戦心を高めるわけだ・・・