カテゴリーアーカイブ:仕事の仕方

夢を実現する、日本のサッカー

2018年8月31日   岡本全勝

先日から「夢と計画と構想」を書きました。これに関して、日本のサッカーの隆盛を思い出しました。

かつて、日本でスポーツと言えば、野球でした。サッカーは、少数者のスポーツでした。もちろん、プロリーグもありませんでした。
サッカーワールドカップ2018で、日本代表が活躍しました。今でこそ、日本代表チームはワールドカップに続けて出場していますが、これも最近のことです。日本にとって、世界は遠かったのです。

長沼健・元日本サッカー協会会長・日本代表監督のインタビューを見て(かなり昔です)、印象に残っていることがあります。「私には、3つの夢があった」とおっしゃいました(うろ覚えなので、正確ではありません)。
1つめは、日本代表がワールドカップに出場すること。
2つめは、日本でワールドカップを開催すること。
3つめが、何面ものコートを持つナショナルトレーニングセンターを作ること、でした。
長沼会長は、生きている間に、この夢を3つとも実現されました。2は、2002年日韓ワールドカップです。3は福島にあるJビレッジです(現在は他の地域にもできています)。もちろん、彼一人でできたわけではありません。

夢を実現する、多くの人にとって、あこがれです。一人で実現できること、すなわち出世や金儲けなどもありますが、社会を巻き込まなければ実現できないこともあります。
日本サッカーが強くなったのは、プロリーグ化です。しかし、これも簡単ではなく、関係者も半信半疑だったのです。
為せば成る。やればできる。挑戦しない限り、夢は実現はしません。
「夢」と笑われるような、難しい目標を持つこと。そして大きな計画を作りつつ、地道に努力を重ねること。さらに、周りの人を巻き込む能力が必要です。大きな夢を実現するための秘訣でしょう。

夢と計画と構想2

2018年8月30日   岡本全勝

夢と計画と構想」の続きです。
私たち行政の世界でも企業の世界でも、上に立つ人、新しいことを実現する人には、この「構想力」と「実現する力量」が必要です。

ここで注目したいのは、後者の「実現する力量」です。先を読み、構想を練ったあと、関係者を説得し、賛成者を増やしていく課程です。よい計画や構想を立てることは、かなりの人ができます。しかし、この「計画・企画を実現する力」は難しいです。

その際には、周りの人を巻き込む能力が必要です。関係者を納得させ、実現に向けて進めなければなりません。一人で「私が正しい」と言っても、進みません。すると、「あの人の言うことなら」といわれるように、支持者を増やさなければならないのです。
そのためには、小さなことから始めて、難しいことを実現してみせる。そして信頼を増やしていくことが必要です。ここは、政治の世界です。

自然科学の世界では、仮説を立て、実験を繰り返すことで、実証することができます。しかし、行政や企業の世界では、関係者の理解を得ないと実現しないのです。
(以下、蛇足のことながら)
逆に、変な案でも、関係者に支持されると実現してしまいます。戦争、無責任な政策(例えば財源裏打ちのないばらまき)、ポピュリズム、売れない製品など。この項続く

夢と計画と構想

2018年8月29日   岡本全勝

きょうは、少し毛色の変わった話を。

「構想」という言葉を、気に入っています。
鈴木淳著『維新の構想と展開』 (2002年、講談社、日本の歴史20。講談社学術文庫に再録)が出版されたとき、このタイトルを見て、「構想」ということばを、再認識しました。
官僚になってから、いえ官僚を目指して東大法学部で勉強をしていた頃から、官僚の役割は何かを考えていました。当時は、政治家の回顧録や評伝などを読んで、漠然としかわからなかったのですが。
官僚になって、また自治省という職場の特性から、早い時期から管理職として、組織、地域、日本をどのように作っていくのか・変えていくのかを勉強させられました。
その頃、漠然と思っていたことが、この「構想」という言葉で、はっきりしたのです。

「構想」は、「夢」や「計画」とは、少し意味が違います。夢は持っているだけで、そこに至る計画や実行がなければ、実現しません。まさに「夢想」であり、しばしば「夢物語」です。
計画があって、夢が実現に向けて進み出します。しかし、計画は単一のものです。いくら良い計画でも、しばしば他のものと競合し、時に邪魔されて、実現しません。

構想は、計画より広い内容です。一部の計画でなく「全体の内容」が必要です。部分だけではダメです。ぴったりした英語は見当たりませんが、和製英語だと、「グランドデザイン」でしょうか。
あわせて、「それを実現するための方法」も含みます。絵空事でなく、実現するための工程が必要です。そして、それに従った実行も。「計画倒れ」ではダメなのです。

この講談社の「日本の歴史」シリーズには、佐々木隆著『明治人の力量』(2002年、講談社)もありました。「力量」もよい言葉ですね。
この項続く

事故を起こした際の説明

2018年8月19日   岡本全勝

8月12日、大阪府警富田林警察署の留置施設から犯人が逃げた事件が、世の中を騒がせています。周辺の住民は、心配でしょうね。連日、報道が続いています。
ところで、警察署はどのような対応をして、どのような説明をしているのか調べようと、署のホームページを見てみました。
富田林警察署のホームページには、8月19日朝でも、この件については一言も載っていません。大阪府警のホームページには、「加重逃走事件の犯人を捜しています」というお知らせが載っていますが、犯人に逃げられた経緯や対応についての説明はないようです(見逃していたらすみません)。

これに対して、環境省の対応は、素早かったです。平成23年に環境省に送りつけられた放射性物質に汚染された土壌を保管していたのですが、誤って廃棄したようです。
それがわかると直ちに(8月14日)、官房総務課長と会計課長が記者会見を開き、事情の説明とお詫び、今後の対応を説明しました。ニュースでご覧になった方も多いでしょう。概要については、環境省のホームページに載っています。

事故や事件は起こさない方が良いのですが、起きた際の対応は、その組織の力量が問われます。

社員は出世のために仕事をする

2018年8月16日   岡本全勝

8月16日の日経新聞私の履歴書、安斎隆さんの「バブルの予兆」 から。

・・・本店考査局考査役に就いたのは1987年5月。バブルが膨らみ始めた時期だった。考査役の仕事は、金融機関の資産と経営内容の検査(日銀では考査と呼んでいる)だ。当時は「バブル」という言葉は使っていなかったが、地価や株価が急騰する経済情勢の中で金融機関は道を踏み外していないかと目を光らせた。部下とともに金融機関への聞き取り調査を重ね、経営の実態をつかもうとした。
全国各地で、担保価値が100の案件に対して120の資金を貸し出すような事例が急増し、雨後のたけのこのように地域開発プロジェクトが生まれていた。バラ色の開発計画を合計してみると、日本の人口が何倍にも増える見込みになっている。明らかに無謀な計画だった。

金融機関の中には、過剰融資に危機感を持つ人もいたが、内部は厳しい競争社会であり、「自分はまともにやっているから内部の評価が上がらず、変なことをやっている人間の評価が上がる。無理をしてでも実績をあげよう」という声のほうが勝っていた・・・

・・・90年代にバブル経済は崩壊し、日本の金融機関は長い時間をかけて総額100兆円を超える不良債権を処理した。「宴が佳境に差し掛からんとしたときにテーブルの上の食事やワインをさっと片づけるのが中央銀行の役割」という言葉があるが、金融引き締めのタイミングを見極め、実行するのは本当に難しい・・・

自分の仕事を「おかしい」と感じても、社内の風潮に流される、出世競争に負けると思うことで、その仕事を続けてしまうことがあります。そこで、異を唱えることができるか。難しいところです。
すると、それを止める立場にある上司、幹部の責任が重くなります。もっとも、彼らの多くも「期末の評価を気にするサラリーマン」です。