カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

スーツを着ないゼレンスキー大統領

3月19日の朝日新聞に「スーツを着ないゼレンスキー氏は「敬意欠く」? 服装の政治性を読む」が載っていました。
・・・脳会談でスーツを着ないのは「敬意を欠く」か――。先月28日に米ホワイトハウスで開かれたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談で、報道陣からゼレンスキー氏の服装に対する批判が飛びだした。外交や政治の場で、装いはどんなメッセージを発するのか。識者に読み解きを聞いた。

「なぜスーツを着ないのですか。あなたはこの国の最高レベルのオフィスにいるのに、スーツを着るのを拒否している。スーツは持っていますか?」
会談の中盤、米国の新興保守派メディア「リアル・アメリカズ・ボイス」のブライアン・グレン記者が、こんな質問をした。ゼレンスキー氏は「この戦争が終わったら着ますよ。あなたと同じようなものかもしれない。もっと良いものかもしれないし、安いものかも」と冗談を交えて回答。会談後、グレン氏はXでやりとりの映像を引用し「彼の服装はゼレンスキーが我が国に敬意を払っていないことを端的に表している」とポストした。SNSにはゼレンスキー氏の服装や、記者の質問に対する賛否があふれた。

会談でゼレンスキー氏が着ていたのは、胸にウクライナの国章が入った黒い長袖シャツ。2022年のロシアによる侵攻開始以降、ゼレンスキー氏はカーキ色のTシャツやトレーナーで公の場に姿を見せており、装いによって軍との連帯を示しているとされる。米ニュースサイト・アクシオスの報道によると、トランプ氏の側近は会談に先立ち「ホワイトハウスでは軍服を脱ぐ方が礼儀正しい」とゼレンスキー氏に何度も伝えていた。一方、ウクライナ外務省は騒動を受け、「戦禍の中、ウクライナのスーツは(普通とは)違って見えるかもしれないが、究極の尊厳とともに身につけられている」とSNSに投稿した・・・

・・・一方、井上雅人・武庫川女子大学准教授(ファッション史)は、今回、ゼレンスキー氏の服装に物言いがついたのは「白人男性だからでは」と推測する。
「戦時服や軍服が礼服の代わりに用いられることはどこの国でもあるし、イスラム教徒の民族衣装や北朝鮮の人民服、女性のノーネクタイであれば何も言われなかったはず。白人男性指導者が従うべき『オールドボーイズクラブ』の服装マナーに沿っていないとみられたのではないか」・・・

鎌田浩毅先生「天災危機の今 伝わる表現で」

4月4日の読売新聞夕刊「言葉のアルバム」は、鎌田浩毅先生の「天災危機の今 伝わる表現で」でした。
・・・4年前の2021年3月、京都大で行った最終講義には約100人が詰めかけ、インターネットでの視聴者は1500人を超えた。最終講義は異例の前置きで始まった。
「過去を振り返っている場合ではない。これから大変なんですよ。日本列島が。未来に向けて皆さんに伝えたいことがある」。少し早口で訴えたのは、南海トラフ地震や富士山噴火への警告だった。

テレビや雑誌で自然災害について分かりやすく語るコメンテーターとしておなじみの顔になった。ところが、1997年に京大教授に就任した当初、講義の評価は散々だった。英語を交えながら90分。学生に「難しすぎて理解不能」と陰口をたたかれた。岩石や地層の基礎研究に没頭してきたことが災いした。
なぜ評判が悪いのか――。理由を探ろうと講義を録画し、研究室の学生に“ダメ出し”をしてもらった。「声が小さくて早口」「専門用語がわからない」「内容を盛り込みすぎ」などの指摘が続き、「好きな研究を追究しているだけでは、防災に敏感になってもらえない」と考えを改めた・・・

この欄は、私も2019年4月12日に、「批判受けても復興の決断」として取り上げてもらいました。版画は記念にいただき、執務室に飾ってあります。

鎌田先生が、PIVOTに出演して、新著を解説しておられます。

「南海トラフ地震と首都直下地震/東日本大震災を超える甚大な被害/首都直下地震はいつ起きてもおかしくない/南海トラフ地震は2030年代に起こる/防災知識が未来を守る」
PIVOTは、「ビジネス」+「学び」に特化した映像コンテンツを毎日無料で配信しているとのことです。

「第三者委員会」の現実

3月22日の朝日新聞オピニオン欄、「「第三者委員会」の現実」、円谷昭一・一橋大学教授の発言「背景に、株式持ち合い問題」から。

・・・企業が、不祥事の検証を第三者委員会任せにするのは、おかしなことです。まさにこうしたときに働くべき人として、監査役や、監査を担う取締役(監査等委員など)がいるからです。
監査役や監査等委員は株主総会で選ばれ、取締役の職務をチェックするために存在しています。第三者委は任意組織にすぎませんが、監査役や監査等委員には必要な法的権限が与えられているのです。
フジテレビの親会社でも、独立社外取締役である監査等委員3人は全員「法務・リスク」のスキルを持った人物であると株主に説明されています。いずれも大企業の元トップでもあります。こうした事態に対処できる人物として株主総会で選ばれているわけです。
にもかかわらず今回、第三者委が前面に出てきた。なぜ、独立性のある監査等委員が検証委員会を立ち上げないのでしょうか。検証委に外部の弁護士らを加えるとしても、主導的な役割を果たすべきなのは監査役や監査等委員です。

ではなぜ、本来動くべき人たちが動かず、第三者委任せになるのか。根幹にある原因は株式の持ち合い、つまり政策保有株式の問題だと私は考えます。
フジも多くの企業と株式を持ち合っています。仲間内の企業との間で持ち合う政策保有株式が多いため、株主総会で厳しい意見にさらされることが少ない。安定株主に支えられた会社ゆえに、ガバナンスの実効性が損なわれているのです・・・

・・・社外取締役や監査役が機能し、名実ともに変わり始めている企業もあります。フジでも今回、遅まきながら社外取締役が動き、臨時取締役会の開催を求めたのは良いことだったと思います・・・

第三者委員会報告書格付け委員会

「第三者委員会報告書格付け委員会」って、知っていますか。「委員会のホームページ」。趣旨は、次のように書かれています。

・・・21世紀に入ってから、企業不祥事の頻発に伴って世間の信頼を失った経営者の弁明に代わって、第三者委員会が利用されるようになった。しかし、第三者とは名ばかりで、経営者の依頼により、その責任を回避し、或いは隠蔽するものが散見されるようになった。これは多くの第三者委員会の主要な構成者となっている弁護士や弁護士会の信用を損なう結果になるとして、日弁連業務改革委員会は2011年3月に第三者委員会ガイドラインを公表した。

それ以後、多くの第三者委員会報告書はこのガイドラインに「準拠する」とか、「基づく」と表記して、委員会の独立性や透明性、説明責任の遂行に配慮するように改善されてきた。しかし、最近は、このガイドラインの重要な項目に配慮せず、或いは、それに反して「第三者委員会報告書」を僭称したと評価せざるを得ないような報告書が見受けられる事態が起きている。
そこで今般、このガイドライン作成に関わったメンバーを中心として、さらに研究者やジャーナリストの参加を得て、公共財としてのより良い「第三者委員会報告書」を世の中に送り出すために、当格付け委員会を設立することにした・・・

評価方法は、次の通り。
・・・委員会での議論に基づき、各委員が、A、B、C、Dの4段階で評価します。なお、内容が著しく劣り、評価に値しない報告書についてはF(不合格)とします・・・

で、その評価結果です。
九州旅客、高速線の安全運行、2024年12月=D7、F2
SONPOホールディングス、自動車保険金不正請求、2024年1月、D4、F4
厚生労働省、毎月勤労統計調査、2019年3月、F9

他の案件は、評価結果をご覧ください。
まあ、低い評価が並んでいます。名ばかりの第三者委員会だということですね。不祥事を起こした上で、さらに評価を下げているのです。
委員会は、評価の理由を公表しています。評価された会社や委員会は、どのような反論をしているのでしょうか。ぜひ、報道機関に検証してもらいたいです。

コンサルタントの有用性とは

2月7日の朝日新聞オピニオン欄は「コンサル頼み?」でした。
・・・今や人気就職先にもなったコンサルティング業界。企業経営を助けるプロというイメージの一方、玉石混交ぶりや「コンサル頼み」の弊害も指摘される。あなたの会社は、大丈夫?・・・

堀紘一さんの「成長には、目的と覚悟必要」から。
・・・コンサルタントがエリート大学生の人気職種だと聞き、隔世の感を抱きます。日本企業は自前主義で、経営の根幹に関わることを外に相談するなどという発想は希薄でした。
今やコンサル業界は百花繚乱です。かつては経営戦略を立案する戦略系が中心でしたが、2000年代後半以降は、ITシステムの開発・運用も支援する総合系、会計系の会社が規模を追い始め、多くの社員を抱えるようになります。
コンサルタントは一流の経営大学院を卒業した精鋭が就き、それでも7年後には2割以下しか生き残れない厳しい世界でした。企業も、社運をかけてコンサルを雇っていた。

今は全体的にビジネスモデルが戦略策定型から業務請負型へとシフトし、競争激化で価格破壊も起き、企業も気軽にコンサルを使う時代になりました。裾野が広がったことで、残念ながら質の低下は否めません。
やたらコストカットや人員削減を求める、理論を振り回す、教え諭すのがコンサルだと勘違いしている――こうした能力不足のコンサルによって、かえって会社が方向性を見失い、組織がガタガタになる事態が起きています。

これには企業側の問題もある。ある経営者に「あなたに頼むと、我が社にどんなメリットがあるの?」と聞かれて脱力したことがあります。コンサルに頼むからには、明確な目的がなければならない。そこが不明なのに安易に頼むのは失敗の元です。もちろんコンサルは万能ではありません。でも本来の価値と力を持つコンサルティングを受ければ、会社は大きく成長する可能性がある。それは経費ではなく投資です。

私の経験では、企業が自ら認識している問題が「真の問題」だったことはほとんどありません。営業力が弱い、と相談を受けて調べてみると、採用や人事に大きな問題が潜んでいる、といった具合に。
そして日本では、変革に最も有効だが痛みも伴うA案、効果は少ないが受け入れやすいC案、その折衷のB案を示すと、9割近くの企業が無難なC案を選びます。これでは、コンサルを頼む意味はない。使う方にも覚悟がいるのです・・・