岡本全勝 のすべての投稿

2006.12.20

一昨日、昨日と、総務省のHP表紙報道資料から「新しい地方財政再生制度研究会」、19年度の地方財政対策のページにたどり着けないことを書きました。「私もたどり着きません」とか「キーワードで検索したら、膨大な数のページが出てきてお手上げでした」とのお便りをいただきました。そんなことで共感していては、困るのですがね。
一方、「19日に発表した『頑張る地方応援プログラム』は、報道資料からたどり着きます」と、関係者からメールをいただきました。これは「全勝のHPで紹介せよ」という催促だと思いますので、ここに書きます。これで良いですか、長谷川君。

政治主導・小泉改革2

朝日新聞は16、17日に「首相主導、政策決定の内実」を連載していました。
「『諮問会議と自民党の協力が深まったということじゃないかねえ・・・』記者団から『経済財政諮問会議の勢いが低下したのでは』と問われた首相はそう笑い飛ばした。予算編成方針の決定権を握り、自民党が反発する改革を次々と打ち出してきた経済財政諮問会議。だが、郵政民営化の是非を問うた総選挙を機に、今や自民党も首相指示になびく。あえて諮問会議を、自民党に改革を迫るテコとするまでもないー。そう言わんばかりの余裕がにじんだ」。
医療制度改革も、族の抵抗を一言で打破。
「ただ、首相主導のための仕組み作りについては、小泉首相就任後の5年間、曲折が続いた・・・。結局、首相vs族議員との膠着状態を打開したのは首相の解散権だった。9月の衆院・解散総選挙と抵抗勢力の排除ー。自民党の純化は進み、首相官邸と党が一体化した政策決定を実現できる」
「小泉首相がいま、首相主導のために活用する経済財政諮問会議や官邸スタッフの政治任用などの仕組みは、いずれも橋本政権が残したものだ・・・。とはいえ、その仕組みをすべての政権が活用できるわけではない・・・」
「中川氏(政調会長)は言う。『小泉構造改革の要諦は、内閣と与党の政策意思決定システムを、内閣を中心に一元化することだ。小さな政府とは、政治主導による政治主導による官主導の打破であり、官僚内閣制を終わらせることにある」。
そして、「小泉政権トップダウンの歩み」が表にされています。
2001年、首相公選制、懇談会立ち上げ→懇談会報告書はたなざらし。
2002年、道路4公団民営化推進委員会人選、「国会同意は求めない」→委員間の意見対立、委員の辞任相次ぐ。
与党の事前承認原則廃止、副大臣の党部会長兼務など(自民党国家戦略本部委員会提言)→たなざらし。
与党の事前承認抜きで郵政公社法案など提出→最終的に法案を一部修正、与党了承手続き。
「衆参の施政方針演説は一本化できないか」→断念。
2005年、郵政民営化法案、自民党総務会は多数決で了承→参議院で否決され、衆院を解散。
総選挙、法案反対組を非公認、刺客擁立→大勝、自民党純化進み、求心力増す。
また、「小泉自民党の総選挙後の成果」も、表になっていました。
党の調査会長などの任期は2期2年に(中川政調会長)→任期制導入。
道路特定財源一般財源化(首相)→一般財源化、暫定税率維持は明記。具体案は先送り。
三位一体改革、地方案を尊重(首相)→税源移譲は実現、義務教育では文教族に譲歩。
政府系金融機関、できるなら一つに(首相)→1機関に、国際協力は今年度末まで検討。
これらの表は、役に立ちます。もっとも、やや不満の残るところもありますが。

政治主導・小泉改革

政治主導、特に小泉政権の政策決定過程を分析する記事が、目につきます。一番整理されていたのが、16日の東京新聞「変わる政策決定」での、西尾勝教授のインタビュー「党主導で政府と連結、小泉後も官僚支配には戻らぬ」です。
小泉政権の政策決定面からの評価については、
「小泉内閣以前は、官僚主導体制で、ほとんどの法案は各省庁で立案され、(利害対立する別の)省庁が事実上の拒否権を持つという仕組みだった。しかし、小泉首相は、内閣の大方針と位置づけたテーマを進めるため、省庁や与党の抵抗を突破する”バイパス”を開いた」。
「経済財政諮問会議・・で『骨太の方針』を決め、閣議決定までもっていき、内閣の方針にしてしまうルートをつくった。諮問会議には全閣僚は参加していないから、『省庁間折衝で合意しなければならない』というルールが外れたことになる」。
与党側との関係、族議員の抵抗については、
「小泉首相は、彼らを抵抗勢力と名付けた。そして、与党の事前審査を受けずに法案を国会に提出する手段を時折とった。これで与党の壁も突破した」
「21世紀臨調は・・、政治主導体制確立のため、政調会長を閣僚にも起用して政府・与党一元化を図るよう提言した。小泉首相は、それを受け入れなかったが、別の形で政府・与党の連結をやった。政調会長には自分の意向で動く中川秀直氏を据え、『偉大なるイエスマン』武部勤幹事長を続投させた。そして党の立場にいる人が、全体を取り仕切り、政府・与党を連結し始めた。政調会長が閣内にいるのに近い形を実現している」。
幹事長、政調会長が官僚機構への敵意を示しているという問に対しては、「三位一体改革、政府系金融機関の統廃合、公務員の給与引き下げや純減など、小泉首相の残りの任期で筋道をつけようという課題は、いずれも官僚機構を相手にしなければならない。最大の抵抗勢力は官僚ということだと思う」。
このような政治主導は、55年体制時に言われた政治主導とは異質ではないかという問に対しては、
「政治主導という言葉は、あいまいに受け止められることが多いが、本来は首相を中心にした内閣主導で、政治を動かすということだ。地元からの陳情あっせんを仲介する『政治家主導』とは違う。また戦後日本で続いてきたような、内閣入りしていない党幹部が勢力を振るう政府・与党二元体制での『与党主導』とも違う」。
小泉首相退陣後に、昔の姿に戻る可能性がないかとの問には、
「昔ながらの官僚主導体制に戻ることは考えられない。首相のリーダーシップに対する、国民の期待感が変わっている。リーダーシップがとれない首相では、選挙に勝てないということになってくるはずだ」。
いつもながら、鋭い指摘です。新聞も毎日の政局を追うこと以上に、このような中長期の分析をしてほしいですね。もちろん学者にも、外国の政治分析の前に、過去の日本政治分析の前に、日本の現在を分析してほしいです。

2006.12.19

と書いたら、「研究会報告書は、総務省のHPに載ってますよ」と指摘をいただきました。総務省HPで、研究会の項目のうち「新しい地方財政再生制度研究会」です。報道資料などのコーナーには載っていません。さて、皆さんは、見つけられますかね。
昨日、19年度の地方財政対策が決定しました。これも、総務省のHPに載っています。でも、表紙からたどり着ける人は、かなりの達人です。元交付税課長・官房総務課長が、簡単にたどり着けないのですから(とほほ)。「サイト内検索をすればいいじゃないか」とおっしゃる方は、試しにやってみてください。どんなキーワードを入れますか。ここまで書いたら、改善されるかな。

2006.12.18

18日の朝日新聞オピニオンは、「まちの台所事情を早期検診」として、総務省がまとめた「新しい地方財政再生制度研究会」報告書を基に、宮脇淳教授と伊東弘文さんのインタビューを載せていました。研究会報告は、まだ総務省のHPに載っていないようです、見つけることができませんでした。