このホームページで時々紹介する。川北英隆教授のブログ。山歩きの記も楽しいですが、鋭い指摘も多いです。3月13日は「男女差別考のついでに」でした。「男女差別とは何か」の続編です。
・・・男女差別を考えたついでに、いくつかの用語が頭を過った。書いておこう。
先日使おうとして、「差別であかんかも」と思ったのが「雌伏」である。反義語として、適切かどうかはともかく「雄飛」がある。伏せても飛んでも、結果が駄目か成功かは何とも言えないのだが。たとえば獲物を狙うとき、ライオンは伏せ、ワシは飛ぶのだから
「雄弁」というのもあった。実際は、弁が立つのは女性の方だと思うので、これこそ「男の方が優秀」との思い込みの結果かもしれない。
「雄大」というのも差別的なのだが、「雌」を冠した対義語は見つからない。ということは徹底的な差別ではないのかもしれない。
とにかく「雄」は良い意味で使われている。だから目にする機会が多い。これに対して「雌」の使用頻度は少ないとしか思えない・・・
この後に出てくる「雄々しい」「女々しい」は、しばしば差別的だと言われますが、雄飛と雌伏もそうでしょうかね。でも、雌雄は、雄雌ではなく、女性が先に来るのです。
古典漢文に長じた肝冷斎に聞くと、次のようなことを教えてくれました。
・・・陰陽、雌雄、牝牡、少長は控えめな方が先になり、天地、
ところで、「夫婦」は「めおと」と和訳しますが、「めをと」は「妻夫」のはずでは、と気になりませんか。
なお、戦国期から使われている「雌雄」は中立的ですが、「雌雄を決す」で初めて差別語になるのではないかと思います。「雌雄を決す」は「史記・項羽伝」が初出のようです・・・